▲HIGHLAND代表の酒井洋一氏(左)とキヤノンマーケティングジャパンの矢作さん
10月25日、Photo EGDE2019のキヤノンマーケティングジャパンセッションにおいて『EOS Rで撮るストーリーテリングな映像表現』と題したセミナーが開催された。セミナー講師は、ビデオサロン本誌でお馴染みの株式会社HIGHLAND代表の酒井洋一氏。酒井さんはウェデイングの撮影を中心としながら、150本以上のアーティストの映像制作に携わり、ストーリーテリングの手法で海外からも高い評価を受けている。
今回、酒井さんはキヤノンEOS Rを使って、「空中分解 feat.アンテナガール」のミュージックビデオの撮影を行った。EOS RにRFレンズだけでなく、EFレンズもコンバーターを使って使用した。普段のウェデイングの仕事はキヤノンのEOS 5D Mark IVをメインで使っており、EOS Rに関してはほぼ初めてカメラと向きあったという。
今回の現場も監督・撮影が酒井さんで、メイクさんとあとは演者さんという最小人数。そのような現場でEOS Rがどのように使われたのかについて話が進んだ。
機材は、カメラはEOS R 一台のみ。レンズはRFレンズの中で一番軽い「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」、「RF24-105mm F4 L IS USM」、EFレンズは「EF50mm F1.2 L」。EFレンズを使うにはコンバーターが必要で「ドロップインフィルターマウントアダプターEF-EOSR」を使ってそこにドロップインの可変NDフィルターを使用。NDフィルターは大変需要で、明るいレンズは日中の撮影だと露出オーバーになってしまい、動画の場合シャッタースピードで光量を制限することはしないので、バリアブルでNDが効くというのはいい。特に、ドロップインのフィルターはかなり便利だったそうだ。これにDJIのRonin SCを使用。
収録は1920×1080/MP4/Canon Logで収録。
撮影場所は九十九里浜で、三日前に撮影したばかり。最初は朝日を撮りたいということだったが、雨と風が強かったため、夕方に変更した。普段はマニュアルを使うこともあるが、暗かったため瞳AFを使った。かなり暗いところでも被写体を追いかけてくれた。左手にライトを持ち、右手でカメラを持っての撮影だったが、手ぶれ補正をかけていたため、手ぶれ防止もかなりきいていた。今回の映像は演出のひとつとして、色味を変化できる照明を持っていっていろんな光を当てた。
大事なポイントは、音楽を倍速で流して撮影しており、60Pで撮っていて完パケを30pですることで最終的に倍速で流してる音楽とちゃんとリップシンクを合わせるというやり方。いい感じのリップシンクもちゃんと撮れて、倍速のスローモーションになっているという。
▲九十九里浜での撮影風景。DJI Ronin-SCが軽いため、EOS Rのようなミラーレス一眼との相性が良かったという。
セミナー終盤は、キヤノンマーケティングジャパン矢作さんによるEOS Rの機能紹介。
◉フォーカスガイド
フォーカスガイドを使用。マニュアルでフォーカスを合わせるときに四角い枠が出て、三角のガイドが2個出てそれが重なって緑になると合掌していますと。まだ合わせたくないという時時間のコントロールをあのガイドを見ながらピントを送ったりできる。前ピン後ピンの状態が一目でわかるので、ここからプルフォーカスかけるのかプッシュフォーカスかけるのかという判断もわりとしやすい。
「実際に、フォトグラファーから、動画撮る時に外部モニターとかないとピントが見えないんじゃないの?とか収録に関してもカメラ本体だけでムービーって撮らないですよね、と聞くことがあって。本体だけで撮れますよっていうのをアシストしてくれる機能のひとつかなと思う」と酒井さん。
◉手ぶれ防止
電子ISの動画ISというのがEOSRにはついている。強めの効果と中くらいの効果と2段階あり、これを入れると画角が少しクロップしてしまうが、防止効果はものすごく出る。今回は中くらいで使用しているが違和感がなかった。強で撮ると動いててもジンバルに乗せているんじゃないかというくらいで、逆に強入れるとパンニングする時とちょっと酔ってしまうので試しながらの使用が必要。今回は中くらいを使用。
◉キヤノンlog
収録面ではMP4のフルHDでの収録。ガンマをキヤノンlogで選択。
酒井さんは、
「曇の状況でフラットな光の状態だったので、多分ボーカルに光を当てないという撮影であれば、ノーマルで撮ったほうがいいかなと思っていて。そこを暗い状況の中で、ボーカルだけ浮き立たせたい、じゃあ光当てようとなったときに、logで撮って良かったなと」
▲ミュージックビデオのワンシーン。今回のようなクリエイティブな攻めた照明の時でも、白とびを抑えた画が撮れる。
▲logはRAWとは違い、収録するデータ量は変わらないが、ダイナミックレンジが広く収録できる画期的なガンマ。
▲BT.709で撮影
▲キヤノンlogで撮影。白とびが防げる。
セミナー最後は、酒井さんがEOS Rを使った感想を述べ、セミナーを終了した。
「すごく使いやすかったですね。自分が思っていたよりもコンパクトで、厚みも重量感もレンズもすごく良かったです。かなり暗くてマニュアルでは追いかけられないところがあったので、瞳AFに助けられましたね。普段の撮影ではオートだけ使うという機会はあまりないんですけど、今回はオートフォーカスの機能さまさまだったなと。Ronin SCとの相性も非常に良かったと思います。あとバリアブルNDを入れたアダプターにによって既存のEFレンズの資産もいかせるということもすごくいいなと思いました」