2004年に埼玉県川口市でスタートした「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」。2023年は20回目の開催となる。白石和彌監督、中野量太監督、片山慎三監督ら日本映画の新たな才能を発掘してきた同映画祭。今年はスクリーン上映とオンライン配信のハイブリッド開催が決定している。スクリーン上映は7月15日~7月23日、オンライン配信は7月22日~7月26日まで。スクリーン上映の会場はSKIPシティホール、多目的ホールなど。

映画祭の開催に先立ち、6月14日に都内で記者会見が行われた。登壇者は国際コンペティションの審査員長を務めるアスミック・エース株式会社取締役で映画プロデューサーの豊島雅郎氏や国内コンペティションで審査委員長を務める中野量太監督ら計7名。それぞれが映画祭にかける思いを語った。

映画祭の総合プロデューサーを務める八木信忠氏は、映画祭の創設時を振り返り「映画といえばまだフィルムが主流の時代に、デジタルシネマのための映画祭を志向し、あえて『Dシネマ』と名づける形を取った。当時は応募作品のフィルムが送られてきて返送に手間取るようなこともあったが、デジタルが当たり前の世の中になり、時の流れは速いと実感しています」とコメント。

▲映画祭総合プロデューサーの八木信忠氏

プロデューサーとして、数多くのヒット作品を手掛けてきた豊島氏はアスミック・エースで、上田慎一郎監督の『カメラを止めるな!』や、中野量太監督の『長いお別れ』、片山慎三監督の『さがす』などの制作・配給で携わってきたという経歴があり、同映画祭との「縁」に言及。コロナ禍の影響でしばらく中止となっていた映画祭中のスタッフやキャストらとの交流にも期待に胸を弾ませているそう。

▲アスミック・エース株式会社取締役で映画プロデューサーの豊島雅郎氏

2012年に『チチを撮りに』で同映画祭の監督賞を受賞している中野監督は、当時『チチを撮りに』がダメだったら映画をやめようという気持ちで映画祭に応募したそうで「監督賞の受賞が次の作品へとどんどんつながっていき今がある」と感慨深げな様子。「映画祭の一番の役割は(作品やスタッフなどを)褒めること」だとし、今回の応募者たちがどんな気持ちで映画祭に応募してるかは痛いほどわかるという立場から真剣にこの映画祭に取り組んでいきたいと意気込んだ。

▲映画祭への凱旋を喜ぶ中野量太監督

今年のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭は、映画祭20周年と川口市制施行90周年を記念して、埼玉県と川口市が共同製作した作品『瞼の転校生』のオープニング上映(ワールド・プレミア)で幕を開ける。

“コンペティション”には、過去最多の1,246本の応募作から厳選した24作品がノミネートし、いずれも国内初上映だという。国際コンペティションには、102の国・地域から応募された作品から厳選した10作品がノミネート。アゼルバイジャン、シリア、トルコといった日本ではあまり観ることのできない国の作品や、ヨーロッパ、南米そして日本など、世界各国の新鋭監督の力作が揃っている。国内コンペティションでは、日本映画界の未来を担う若手映像クリエイターが果敢に表現の可能性に挑んだ、長編6作品、短編8作品がノミネート。

さらに特別上映では、2019年の本映画祭にノミネートされた真田幹也監督が人気マンガを実写化した『尾かしら付き。』をワールド・プレミアで上映。「SKIPシティ同窓会」と題した特集では、過去に本映画祭でノミネートや受賞を経て、大きく飛躍し活躍する5人の監督ら(松本優作、まつむらしんご、中村真夕、片山慎三、中野量太)最新作の上映と、これまでの歩みを振り返るトークイベントを開催。また「中国映画の新境地~KATSUBEN Selection~」では、ロカルノ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した、チュウ・ジョンジョン監督初のフィクション長編映画『椒麻堂会』を日本初上映する。

 

【イベント概要】

「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023(第20回)」

■開催期間

  • スクリーン配信:2023年7月15日~7月23日
  • オンライン配信:2023年7月22日~7月26日

■会場:SKIPシティ映像ホール、多目的ホールほか

■内容

  • 国際コンペティション(10作品)
  • 国内コンペティション(6作品)
  • 国内コンペティション(8作品)
  • オープニング上映(1作品)
  • 特別上映(1作品)
  • 特集(計6作品)
  • 関連企画

 

公式HP
https://www.skipcity-dcf.jp/