ソニー、ライブ映像制作向けIP対応機器や VENICE および FX9 の機能拡張など映像制作商品群とソリューションを発表


ソニーは、IPを活用したライブ映像制作ソリューションの拡充や、コンテンツ管理システムのクラウド対応、映画制作用CineAltaカメラ『VENICE』およびXDCAMメモリーカムコーダー『FX9』の機能拡張などの新たな商品群とソリューションを発表した。高画質コンテンツの需要や配信・視聴環境の多様化に応え、高付加価値コンテンツの制作や高効率ワークフローの実現をサポートする。

 

1. IPを活用したライブ放送映像制作ソリューション

IPカメラエクステンションアダプター『HDCE-TX30』およびIP CCUエクステンションアダプター『HDCE-RX30』

発売日:2020年夏
価格『HDCE-TX30』1,600,000円、『HDCE-RX30』1,900,000円(ともに税別)

▲『HDCE-TX30』(左)、『HDCE-RX30』(右)

既存のシステムカメラと組み合わせて使用することで、映像や音声信号などのIP伝送を行い、リモートプロダクションを機動的に実現する、ライブ映像制作用IP対応機器。

『HDCE-TX30』は、IP伝送の標準規格である「SMPTE ST 2110」に対応し、カメラとCCU間の映像・音声信号を双方向伝送できることに加え、IPタリー、IPインカム、PTP同期にも対応。設置性に配慮しコンパクトに設計した本機は、中継車の乗り入れが難しい環境などにおいて、最小限の機材と人員で、ライブ中継などの映像制作を実現する。

IP化した信号とCCU(カメラコントロールユニット)が送受信する信号を相互変換するIP CCUエクステンションアダプター『HDCE-RX30』は、従来のベースバンドシステムで構築されたスタジオシステムなどIP化されていない環境で、新たにIPリモートプロダクションの運用を取り入れる際に適したモデル。カメラとCCU間に『HDCE-TX30』『HDCE-RX30』の双方を追加することで、カメラ・CCUをつなぐ距離をIPネットワークで延長できるため、既存のHDCシリーズの局内カメラシステムを生かしたリモートプロダクションが可能。

 

SDI-IPコンバーターボード『NXLK-IP51Y』『NXLK-IP50Y』の機能拡充

▲『NXLK-IP51Y』(左)、『NXLK-IP50Y』(右)

SMPTE ST 2110方式をサポートするSDI-IPコンバーターボード2機種が、2020年9月予定のソフトウェアアップデートによりする。SDIとIP信号の相互変換を行う際の、色調整や音声同期などが改善することで、ポストプロダクションが時間短縮に寄与する。なお有償ライセンス『NXLL-MC50』(2020年1月提供開始)により、HDR対応や4K・HDのアップ/ダウンコンバージョンに対応している。

 

 

2.クラウドを活用したソフトウェアベースの映像制作・管理ソリューション

2020年6月より、4K/HD映像、音声、画像、文書コンテンツなどのコンテンツ管理ソリューションMedia Backbone NavigatorX(メディアバックボーンナビゲーターエックス)が、ローカル(オンプレミス)環境に加えて、クラウドベースでの構築に対応。長寿命かつ耐久性に優れた大容量データストレージシステムのオプティカルディスク・アーカイブとの連携も可能で、コンテンツ管理の柔軟度が向する。例えば、使用頻度の高い素材はクラウドで管理し関係者間で共有、使用頻度の低いものはローカル環境のアーカイブシステムに保存するなど、ハイブリッドでの設備構築が可能。

ファイル転送速度のさらなる高速化を実現するXDCAMドライブ『PDW-U4』

発売日:2020年12月 価格:600,000円(税別)


光学ヘッドシステムDCHS (Dual Channel Head System)を2台搭載し、ファイル転送速度のさらなる高速化を実現したXDCAMドライブ『PDW-U4』を発売。『PDW-U4』は、XDCAMディスクに収録されたファイルのノンリニア編集機への取り込みや、編集後のファイルの書き出しスピードを大幅に改善、番組制作のワークフローのさらなる効率化に貢献する。

 

 

3.多様化するニーズに応える高画質映像制作機器とソリューション

映画制作用CineAltaカメラ『VENICE』にハイフレームレート収録可能なイメージャーモードを追加

2020年11月予定のファームウェアアップデート(Ver.6.0)により、ハイフレームレート収録可能なイメージャーモード3種を『VENICE』に追加。新たに追加となるフォーマットは、72fps/5.7K 16:9、110fps/3.8K 16:9および72fps/4K 6:5。これにより、『VENICE』に実装されている全てのイメージャーモードにおいて、ハイフレームレート収録が可能となる。

 

XDCAMメモリーカムコーダー『FX9』が機能を拡張

2020年10月予定のファームウェアアップデート(Ver.2.0)により、『FX9』の映像表現をさらに広げる機能を拡張。5Kサイズスキャンによる4K 60p収録やDCI 4K(4096×2160)収録、4K 16bit RAW出力対応に加え、ソニーのレンズ交換式一眼カメラαで培った瞳AFやタッチスクリーンによる操作(設定変更、フォーカスコントロール)など、操作性も向上。これまでのS-Log3での記録に加え、ポストプロダクションの時間を短縮しHDR映像制作を実現するインスタントHDRワークフローに新たに対応する。

 

XDCAMショルダーカムコーダー『PXW-Z750』の4K/HD同時記録機能拡張

2020年7月予定のファームウェアアップデート(Ver.2.0)により、報道取材や番組制作、スポーツ・ライブ収録などに適したXDCAMショルダーカムコーダーの最上位機種『PXW-Z750』の、4K/HD同時記録機能を拡張する。これによりXAVC 4K 60p撮影時、同時記録するHDにおいてもXAVC HD 60pが選択できるようになる。4K素材・HD素材のタイムコードが完全に一致しているため、編集の効率向上に寄与する。

 

マスターセットアップユニット『MSU-3000』『MSU-3500』

発売日:2020年夏 価格:1,000,000円

マルチフォーマットカメラ『HDC-5000シリーズ』『HDC-3000シリーズ』『HDC-2000シリーズ』『HDC-4300』などの各種設定を集中管理・制御することができるマスターセットアップユニット。両機種ともに視認性の高い16:9の新液晶タッチパネルを搭載。『MSU-3000』は横型モデル(EIAラックサイズ)、『MSU-3500』は縦型モデル(EIAハーフラックマウントサイズ)で、実装スペースに合わせた選択が可能。

 

4K 60p撮影に対応した小型リモートカメラ『SRG-XB25』『SRG-XP1』

発売日:2020年8月
価格:オープン価格
市場想定価格:『SRG-XP1』 220,000円前後、『SRG-XB25』 300,000円前後

『SRG-XB25』は光学25倍ズーム、『SRG-XP1』は水平画角100°以上の広角での撮影が可能な小型軽量なカメラ。IP対応により、ネットワークケーブル1本で電源供給やRTMP、RTSP配信ができる。また、NDI|HXに対応し、ネットワーク上の対応機器と接続することが可能。

 

 

4.忠実な色再現で高品位な映像制作を実現するHDRソリューション

HDR映像制作ワークフローSR Live Metadata

スポーツ中継や音楽ライブなどで活用されているHDRプロダクションコンバーターユニット『HDRC-4000』に加え、HDCシリーズのカメラシステムにおいて、HDR/SDRに関連する設定データ群を、各機器のSDI信号上に「SR Live Metadata(エスアールライブメタデータ)」として出力することが2020年夏より可能になる。また本メタデータは、収録時にもファイルに記録される。映像制作用プラットフォームCatalyst Prepare(カタリスト・プリペア)上にSR Live Metadataを記録したHDRファイルをロードすると、本メタデータ情報を元に、SDRへの変換が行え、現行のHD SDRポストプロダクション工程に容易に取り込むことが2020年内に可能になる。既に対応済みのプロダクションビデオサーバー『PWS-4500』や4K XAVCレコーダー『PZW-4000』に加えて、『PXW-Z750』、『PXW-Z450』のカムコーダー2機種が新たに対応予定。

 

4K HDR対応ピクチャーモニターのHDR/SDR変換対応

2021年3月予定の無償のファームウェアアップデート(Ver2.0)と有償のライセンスにより、4K HDR対応ピクチャーモニター『PVM-X2400』(24型)および『PVM-X1800』(18型)(2020年7月発売予定)が、本体上のHDR/SDR変換に対応します。モニター単体で、HDR(PQ/HLG/S-Log3)からSDRへの変換や解像度の変換(4K→HD)などのモニタリングが可能になり、利便性が向する。

 

 

◉詳細情報
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/202005/20-032/

ソニー株式会社
https://www.sony.jp/

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