独立行政法人日本芸術文化振興会(Visual Industry Promotion Organization、VIPO)は、日本国内で映画の企画開発を行っているプロデューサー・監督・および脚本家を対象に、国際的な脚本ラボやワークショップ等で指導経験のある脚本コンサルタントによる指導(フィードバック)を提供する「国際脚本メンターシップ」の参加チームを発表した。
概要
プログラム内容
選抜されたチームおよび企画に対し、国際的な脚本ラボやワークショップ等で指導経験のある脚本コンサルタントを紹介し、最適なマッチングを行う。
マッチング成立後、初期段階のフィードバックセッションについて「Film Nexus – PRO」が支援することで、脚本を強化し、国内外での競争力を持つ作品の創出を後押しする。
メンター(脚本コンサルタント)紹介
ミゲル・マチャルスキー(Miguel Machalski/脚本家)

アルゼンチン出身。脚本家、脚本コンサルタント、コーチとして30年間にわたり国際的な映画業界に携わる。これまで、コメディ、ドラメディ、ドラマ、歴史、犯罪、アニメーション、児童向けなど、多様なジャンルにわたって20本以上の脚本を執筆、または共同執筆。さらに、コンサルタントとして150本以上の映画に携わり、『入国審査』(2023)、『83歳のやさしいスパイ』(2020)など、その多くが国際映画祭で受賞を果たしている。毎年10~15回のワークショップを主宰し、映画学校、映画祭、ならびに公的・民間機関が主催する国内外のラボ等と連携しながら、世界中のプロジェクトを支援している。ヨーロッパ・メディア・プログラムの支援を受けた複数の開発・人材育成プログラムにも携わっている。
ラズヴァン・ラドゥレスク(Razvan Radulescu//脚本家)

University of Bucharestで文献学を、Music Academy of Bucharestでオペラ演出を学ぶ。1995年、短編散文アンソロジーへの参加によって文学デビューを果たし、その後2冊の小説を執筆。映画監督として、『First of All, Felicia』をMelissa de Raaf氏と共同監督。脚本家としては、Cristi Puiu監督『Stuff and Dough』『ラザレスク氏の最期』、Radu Muntean監督『The Paper Will Be Blue』『Tuesday, After Christmas』『Alice T.』、Cristian Mungiu監督『4ヶ月、3週と2日』、Calin Netzer監督『私の、息子』など、多くの監督たちと協働してきた。2006年以降、ESAV MarrakechおよびYork Universityにおいて、ドラマトゥルギーに関するセミナーの常連ゲスト講師を務める。2013年から2021年までは、Karlsruhe University of Arts and Designで映画およびドラマトゥルギーの講座を担当。2008年から現在に至るまで、TorinoFilmLab、Less is More、NISI MASA、Ateliers d’Angersなど、さまざまな脚本ラボでチューターとして招聘されている。2022年には、Severine CornemuzasおよびPierre Hodgsonとともに、ブルターニュ地方のラ・ロシュ・ジョーヌに脚本家向けレジデンス「Script Savages」を設立。
国際脚本メンターシップ研修参加者
脚本タイトル:『We don’t say I love you』
メンター:ミゲル・マチャルスキー/Miguel Machalski
森ガキ侑大(Yukihiro Morigaki/監督)

広島県出身。大学在学中にドキュメンタリー映画の制作を通じて監督としてのキャリアをスタート。映画だけでなく、日本のテレビやコマーシャルの分野でも幅広く活躍している。2017年に長編監督デビューを果たした『おじいちゃん、死んじゃったって』は、タリン・ブラックナイト映画祭で最優秀アジア映画賞、横浜映画祭第39回森田芳光記念新人監督賞を受賞したほか、プチョン国際ファンタスティック映画祭、東京国際映画祭などで上映され、国内で劇場公開された。『愛に乱暴』(2024年)は、第58回カールヴィ・ヴァリ国際映画祭のクリスタル・グローブ・コンペティションにノミネートされ、香港国際映画祭(夏季)およびシンガポール日本映画祭2024に正式出品。最新作の『架空の犬と嘘をつく猫』は2025年 タリン・ブラックナイト映画祭 公式コンペティション部門最優秀撮影監督賞受賞。自身5作目となる長編映画を開発中であり、本作が初の国際共同製作作品となる。
鈴木雄吾(Yugo Suzuki/脚本)

1996年生まれ。千葉県出身。タイ・バンコクで高校時代を過ごし、その後カナダ・トロントの4年制大学に入学し映画製作を学ぶ。卒業後の2020年より帰国し、CM/映画監督である森ガキ侑大に師事。初自主短編映画『The Head of Factory (2023)』が2023年ゆうばり国際映画祭を含め国内外の映画祭で上映される。現在は映像制作会社『示/JIJI』に所属し、広告、MV,映画など幅広くの映像作品を制作する傍ら、英語翻訳者としても活動中。
藤田可南子(Kanako Fujita/プロデューサー)

キングス・カレッジ・ロンドンにて映画学の学士号を取得後、日英の映画業界でフリーランスとしてキャリアを積む。2024年、ロンドンを拠点とする映画製作・配給会社 Felis Pictures Ltd. を設立。翌年4月より、日本にも同名の法人を登記し、現在は東京を拠点に国内外の映画製作に携わる。2025年にロッテルダム・ラボ、2024年に釜山国際映画祭のプロデューサー・ハブにVIPOより選出。加えて、ウディネ・ファーイースト映画祭のCampusプログラムや、スロバキアのアニメーション映画祭Fest AnčaのGoCritic!プログラムにも参加するなど、批評的視点を活かした国際的な活動も展開。初の長編プロデュース作品『僕らはみーんな生きている』(2022) は、ロサンゼルス日本映画祭にて最優秀撮影賞を受賞、サンフランシスコ・インディペンデント映画祭にノミネート。2023年には国内劇場公開を果たした。現在は、長編および短編の複数のプロジェクトを開発中。
脚本タイトル『とまれかくあれ』
メンター:ミゲル・マチャルスキー/Miguel Machalski
山田篤宏(Atsuhiro Yamada/監督・脚本)

東京都出身。ニューヨーク大学(NYU)にて映画制作を学ぶ。帰国後、短編映画およびミュージックビデオを中心にキャリアを重ねる。第1回木下グループ新人監督賞において、応募総数241作品の中からグランプリを受賞した『AWAKE』で商業映画デビュー。以降、映画・ドラマとメディアを横断しながら、一貫して「社会の中で居場所を見失った人物」の再起を描き続けている。主な監督作品:『AWAKE』(2020/主演:吉沢亮)、『俺ではない炎上』(2025/主演:阿部寛)など。
坂野かおり(Kaori Sakano/プロデューサー)

FAB所属。日本大学芸術学部卒業後、東北新社、KADOKAWAにて劇場配給宣伝および二次利用ビジネスに従事し、作品を観客に届けるための戦略設計と実務を経験。その後プロデューサーへ転身し、劇映画とドキュメンタリーの双方において、社会性と娯楽性を両立させた作品づくりに取り組む。 近年のプロデュース作として、菊地健雄監督による『体操しようよ』 (2018)、シビラ・パトリチア、クレメンタイン・ナット共同監督による『プラスチック・ラブ!』(2027年公開予定)など。現在は、海外監督との協働による企画開発を進めるとともに、公開待機中の劇映画を含む複数のプロジェクトに携わり、国際共同製作も視野に入れた作品づくりに取り組んでいる。
脚本タイトル『HOLD』
メンター:ラズヴァン・ラドゥレスク/Razvan Radulescu
藤谷文子(Ayako Fujitani/監督・脚本)

13歳で、映画『平成ガメラ』で役者デビュー。15歳で、雑誌『ロードショー』で映画のコラムの連載を持ち、自ら執筆した小説『逃避夢』は庵野秀明監督を触発し『式日』として映画化された。2008年、ミシェル・ゴンドリー監督作品『TOKYO』に主演。その後、ロスアンゼルスに拠点を移し、『MAN FROM RENO』に主演(JohnCassavetes Independent spirit Award ノミネート)。アメリカのテレビシリーズ『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』や『LAST SHIP』に出演。パク・チャヌク監督と共同執筆した短編『A ROSE REBORN』は、ベルリン国際映画祭で特別上映された。他にも短編映画『THE DOORS』、『BOWWOW BOW』を監督し、クレルモン=フェラン国際短編映画祭で上映されている。デイブ・ボイル監督と共同脚本を担当した長編『TOKYO COWBOY』は、2024年に劇場公開された。『HOLD』は藤谷の初長編監督作品となる。
三宅はるえ(Harue Miyake/プロデューサー)

2006年の映画『LOVE MY LIFE』以降プロデューサーとして映画を中心に活動、国内外を問わず人間に焦点をあてた作品を手がける。主なフィルモグラフィに『イン・ザ・ヒーロー』(14/武正晴監督)、『at Homeアットホーム』(15/蝶野博監督)、『KOKORO』(17/ヴァンニャ・ダルカンタラ監督)、『あの日のオルガン』(19/平松恵美子監督)、日本アカデミー賞、中国金鶏百花奨など国内外の映画賞を受賞した『閉鎖病棟-それぞれの朝-』(19/平山秀幸監督)、『アイヌモシリ』(20/福永壮志監督/トライベッカ映画祭国際ナラティブ・コンペティション部門審査員特別賞、グアナファト国際映画祭最優秀作品賞)、『樹海村』(21/清水崇監督)、『ホムンクルス』(21/清水崇監督)、第44回ファンタスポルト最優秀作品賞受賞作『世界の終わりから』(23/紀里谷和明監督)、『山女』(23/福永壮志監督)などがある。近年は配信シリーズも手がけ、NETFLIXオリジナルシリーズ「地面師たち」(24/大根仁監督)に続き、最新作はNETFLIXオリジナルシリーズ「ダウンタイム」(26予定/Yuki Saito監督)となる。

