▲Yakult1000新テレビCM「坂本龍馬」篇より

 

株式会社ヤクルト本社は、CGとAIで再現した「坂本龍馬」(リアル龍馬)を起用した『Yakult 1000』の新テレビCMを1月25日から放送する。

「坂本龍馬」の顔は、映画『竜とそばかすの姫』のCGなどを手掛けたデジタル映像プロダクション「株式会社デジタル・フロンティア」がCGで再現。

声はショートムービー『名優・松田優作がデジタルヒューマンとして映像に蘇る!』にてAIによる音声再現を担当した「株式会社ORENDA WORLD」がAIで音声を再現し、生々しく動き、熱く語る、坂本龍馬の姿を現代によみがえらせた。

公式に本人と認定されている6種類の古写真を基に、産毛や表情の変化、肌への光の当たり方など緻密にCGで造形した顔と、1万以上の骨格と声のサンプルを基にAIが顔・骨格・年齢などの情報から坂本龍馬の声の特徴を推定して生成した声など、最先端テクノロジーを駆使して、現代によみがえった「リアル龍馬」が生々しく躍動するし、自らの胸の内を熱く語る声に注目だ。

 

 

 

CMの見どころ、制作エピソード

CGとAIで作った坂本龍馬の顔と声を本物の「脱藩の道」で撮影した映像と融合

「リアル龍馬」は「デジタル・ヒューマン」というVFX技術を使ってCG造形した顔(頭部)と、顔・骨格・年齢などの情報からAIで生成した音声、実際に「脱藩の道」で撮影した実写の役者さんの表情、動きなどの演技も取り入れながら、CGアーティスト、AIエンジニア、撮影チームが一丸となって、手作業で丁寧に制作。

 

「リアル龍馬」の顔について

CGによる顔の再現を構成する3つの工程要素

顔の再現は、映画『竜とそばかすの姫』のCGや、ドラマ『今際の国のアリス』のVFXを手掛けたデジタル映像プロダクション「デジタル・フロンティア」が担当。顔を構成するCGの工程要素は主に3つあり、最初にコンピューター上で立体像をつくる「モデリング」、次に表情を付ける「フェイシャルリギング・アニメーション」、最後に現実空間のライティングをCG上で再現し実写素材に対しての合成を行う「ライティング・コンポジット」という工程を経て、坂本龍馬を再現。

現存する数少ない写真、造形物などから脱藩当時の顔を造形

顔の造形は、現存する6種類の古写真を参照した。ただ、現存する写真は正面か斜めから撮影したものばかりのため、写真から把握できないアングルは、坂本龍馬を知る方がまだ存命だった昭和初期に制作された桂浜(高知市)の銅像なども参考にしながら、現代人の思い描く坂本龍馬像にアプローチしたという。

また、頭髪は10のパーツに分け、特に生え際は細かさを重視し、制作。今回のテレビCM用に制作されたカツラを参考にしてCG上で表現し、風になびく様子などはソフトウェア上でシミュレーションを行なって再現。顔には産毛も生やし、部位ごとに毛質を変えている。ちなみに、坂本龍馬が脱藩した28歳の時の写真は残っておらず、多くの人がイメージする教科書などに掲載された写真(32~33歳時)よりも、若い頃の顔を想定して造形したという。

 

大量のカメラ、照明が配置された特殊機材で複数パターンの表情を3Dスキャン

表情は一眼レフカメラ58台、照明160個が均等に配置された「ライトゲージ」というドーム状の機材を使って、映像中で坂本龍馬を演じた役者さんの表情を30パターンほど3Dスキャンし、補完した差分も加えて、最終的に約60パターンの表情を制作。

それらの組み合わせで表情アニメーションをつけており、血流の変化による顔の赤みなども再現。また、カットごとの細かいしわの表現などは、そのたびにCGの形状を自然な表情に見えるよう調整したという。

 

人間と見分けがつかないリアルさを引き立てる肌の質感と光の当たり方

肌の質感は、脱藩当時の年齢に近い30歳前後の日本人の肌の色と、凸凹情報をスキャンしたデータを使用することで、人間と見分けのつかないリアルさを追求。

さらに、「脱藩の道」のロケ撮影にCGチームも同行し、夕日のシーンや雨のシーンなどの光の正確な情報を現地で収録し、CG上のライティングに反映。テイクごとに光の情報を収録し、OKになったテイクの記録に合わせてCGの光を合わせることによって、映像中で坂本龍馬を演じた役者さんの体と、CGで造形した顔を合わせた時、それぞれに当たる光も自然となじんで、より臨場感が高ったという。

映像制作チームが撮影現場で追い求めた美しくドラマティックな風景の中に、まるで坂本龍馬が本当にたたずんでいるかのように見せるため、コンポジット(合成)工程も映画やドラマシリーズと同様のクオリティで細部にまでとことんこだわったとしている。

 

「リアル龍馬」の声について

1万以上のサンプルを基にAIでゼロから生成

現存しない声をゼロからつくり出すことは非常に難しい中、声の制作はCG映像や仮想現実空間の制作などの事業を展開する「ORENDA WORLD」が担当。

世界中から顔と声が一致する1万以上のサンプルを基に、「こういう顔(骨格)の人はこういう声を出しやすい」というモデルをAIに学習させて、当時の坂本龍馬に限りなく近いと思われる声を3パターンほど生成。そのAIデータをCGで造形した坂本龍馬の顔に組み込んで、声を出力させ、声質や高低などの微調整を繰り返して制作。

AIでの再現が困難な土佐弁のセリフも、とある手法でスムーズに

声の再現に当たり、最も大変だったのが、抑揚をつけながら「土佐弁」でしゃべる部分だという。特に方言はAIが苦手とする分野のため、今回は「ボイスコンバージョン」という手法を用いて、土佐弁を話せる声優さんが発した声を、AIで再現した坂本龍馬の声質に変換していくというアプローチを行い、リアルな方言を追求。

また、AIは抑揚をなくす補正をかけてしまうため、声優さんにセリフをオーバーに演じていただくことで、演技の振り幅の大きいデータを収録することができ、「リアル龍馬」が発するセリフに最適な抑揚をつけることが可能になったという。

 

「リアル龍馬」の映像演出について

CG撮影の常識にとらわれない演出で生き生きとした坂本龍馬を表現

CGを使った今回のような撮影の場合、人物やカメラの動きを激しくすると、その分CGとなじませる作業に時間と技術を要するため、そうしたカットは極力回避するケースがほとんどだ。

ところが、箱守監督は目線の上げ下げや口の開き具合といった細かい表情の指示や、ぼかした被写体にゆっくり焦点を合わせていくフォーカス・アウトという技法など、あえて通常の役者さんと同じ演出をすることにこだわって、生き生きとした「リアル龍馬」を表現。

また、「その人の意志みたいなものが表れる」という考えから、目の表情を重視し、視線の動きや光の当たり具合、うつむかないでもっと上を向かせたいなど、CGチームに何度も調整をしてもらったという。

 


 

■テレビCM概要

タイトル:Yakult1000 「坂本龍馬」篇(15秒・30秒)
放送開始日:2024年1月25日(木)
放送地域 :全国

Yakult 1000:「坂本龍馬」篇 (15秒)

 

Yakult 1000:「坂本龍馬」篇 (30秒)