櫻井雅裕のNABレポート~AJA/ブラックマジックデザイン編


■AJAブース 
Mac用のHD-SDI対応キャプチャーボード「KONA」シリーズや「ioHD」などで有名なAJA。
AJAからは、今年も注目の新製品が発表されている。まず、XenaLHi。Windows用のHD-SDI対応キャプチャーボード「Xena(ジーナ)」シリーズの新製品となるが、今回のLHiはデスクトップ用のPCIエクスプレススロットに対応し、新たにHDMI入出力と次世代HD-SDIインターフェース3G HD-SDIが装備された。
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このXenaLHiの登場で、従来のXenaシリーズの放送用機器を中心としたシステムアップから、モニタリングに民生用のHDMIを装備したモニターを用いたり、AVCHDなど民生機器のHDMI機器から長い変換時間と手間を要するソフトウェアトランスコード等なしで、非圧縮でキャプチャーを行うことができるようになる。
さて、次の新製品はIoExpressというキャプチャーボードならぬキャプチャーボックス。すでに同社からはMac用のIoHDという、アップルProres422ハードウェアコーデックを内蔵し、FireWire800を介してPCと接続するベストセラーキャプチャーボックスがあるが、今回のIoExpressはPC側でのソフトウェアコーデック処理と、Expressカードスロットによる接続を採用した。本体は手のひらにちょっと余るくらいの非常にコンパクトな仕上がりで、DC電源駆動も可能。
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編集のみならず、撮影にも容易に活用できる可能性があるのが魅力的。HD-SDIやHDMIの装備で接続対象を選ばないだけでなく、タイムコード入出力なども装備され、さまざまな用途が視野に入れられている。
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価格も戦略的でアメリカ国内価格では995ドルとなる見込みとのこと。7月に出荷開始予定とのことで、国内でのお目見えが楽しみだ。
そして、AJAの今年の新製品の中で最も好評を博し、黒山の人だかり状態だったのが「Ki Pro」。これはAJA初のハードディスクレコーダー製品で、PCなどを介さずに単体で動作する。カメラなどと組み合わせて用いることが想定されており、AppleのProres422形式QuickTimeファイルに直接録画ができるというシロモノである。
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ポータブルタイプのハードディスク&メモリーカードレコーダーやメモリーレコーダーは各社から製品化されているが、この製品の最大の魅力はMac上での編集に最も適したProRes422コーデックにダイレクト収録でき、そのまま編集できること。そして、初めて10bitでの記録に対応することである。
従来10bit記録をしようと思えば、テープならHDCAM SRなどの放送用の中でもさらにハイエンドな製品や、据置型VTRしか発売されていないパナソニックのD-5 HD、テープ以外の記録媒体でもP2HD AVC-Intra100など、限られた選択肢しかなかった。
このKi Proのハードディスクはリムーバブルカートリッジ式となっており交換可能というのもとても魅力だ。メモリーカードはExpressカードを採用しており、市販の安価なExpressカードメモリーを使用することができる(Expressカード規格のうち、USB信号線を介して接続するものが対象なので、PCIExpressの信号線を使うソニーやサンディスク製のSxSは使用できない)。
こちらも7月に出荷開始予定で、価格は3995ドルとのこと。実現できることを考えたらかなりお買い得な新製品と言えそうだ。
■BlackmagicDesignブース
 DeckLinkシリーズなどのキャプチャーボードで人気の高いブラックマジックデザインブースでは、すでに出荷が開始されているWin/Macで利用でき、新たにHDMI入出力にも対応したDeckLinkHD Extremeなどの展示のほか、HD-SDIや9ピンリモートコントロールに対応したマトリックススイッチャー「VideoHub」シリーズの新製品として小規模なシステムに対応する16×32構成のStudioVideoHubや、144×288構成に対応するEnterpriseVideoHubに加え、HD-SDI信号をDVIやHDMI対応のディスプレイやモニターでモニタリングできるHDLinkの光HD-SDI対応モデル、短距離しか伝送できないDVI信号をHD-SDIを介して長距離伝送するためのDVIエクステンダなどを新たに発表した。
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さらに、先の光HD-SDI対応製品として、手のひらサイズのコンバーターシリーズに、光と従来の同軸HD-SDIを変換するコンバーターや、光対応のDeckLinkも発表。
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このほか、PCのPCIExpressスロットに装着することでPCで波形やベクトル、ヒストグラム、サラウンドスコープ、音声レベルメータ、ピクチャーモニタを実現する「UltraScope」も発表。
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従来高価だった単体のベクトルスコープや波形モニターの代わりとして使える製品だ。ほかにも、ミニコンバーターシリーズの新製品として、オーディオ信号をHD-SDIのエンベデッドオーディオ(映像信号に埋め込んだ映像信号)に重畳したり、取り出したりするコンバーターや、これらのコンバーター製品をラックマウントして使うスロット型(機能別の基板を本体に差し込んで使う)製品なども発表された。
従来から発売されている製品についても、HDMIキャプチャーボードのIntensityProの199ドルへの値下げなども発表され、大量の新製品投入・リニューアルとなった。