本誌筆者としても活躍している岡野肇さん(まじかるふぇいす)ですが、実はこんな趣味がありました。70年代から80年代を中心にアイドル歌謡曲をエアチェックして、データベース化すると、こんなおもしろい発見があるのです、というレポートが2005年から2006年にかけて連載されていたのです。編集部としては、このデータベースはとんでもない文化遺産!だと思います。このレポートを過去に埋没させないためにも、あらためてネット上で再掲載することにしました。毎週水曜日にアップしていきますので、お楽しみに。
◆動画や音を貼りこめるファイルメーカーPro
パソコンソフトに「データベースソフト」というジャンルがあり、大きく分けると、①表計算タイプ(「Excel」など)、②カード型データベースの2つに分けられます。私がもう10年以上使用して愛してやまない「ファイルメーカーPro」も②のタイプです。一言で言えば図書館で使用されている図書カードのようにデータを打ち込み、それらを様々なレイアウトで見ることができるものです。ファイルメーカーでは動画や音、静止画も貼り込むことができます。
知り合いのあるITベンチャー企業の社長が10年前、こんなことを言いました。「このままITが普及すると、データベースの時代がくる」と。例えばテレビにおいて現在、地上波・BS・CS放送に何百ものチャンネルが存在し、ネット放送局を加えると数字を把握することさえできません。インターネットが「検索ページ」によって爆発的に普及したように、視聴者側がコンテンツ(番組)を取捨、選択していく時代になろうとしています。
そこで、というわけではないのですが、すでに私が始めているデータベース(検索・ソート)の面白さと可能性をお話ししていきたいと思います。
「カード型データベース」に話を戻します。表計算ソフトは情報が一望でき、マクロ的に判断するには適していますが、行・列の入れ替えはできるものの、視点を変えた見方は苦手です。それに比べ「カード型」は、視点を変えたレイアウトを用意することで、一つのデータから色々な結論を引き出せます。ここで私の「歌謡曲データベース」を使って詳しく見ていきましょう。
まずは1曲キャプチャーするごとに曲名・歌手名・作詞、曲家などの基本情報を入力。これらをデータベースソフトでは「フィールド」と定義しています。そしてそのフィールドの集合体である1曲あたりの情報全部を「レコード」と呼びます。私の「歌謡曲データベース」は現在2134レコードあるので、2134曲分あるということです。その1つ1つのレコードに30あまりのフィールドがあり、先ほどの基本情報のほかに番組名・放送局・放送日時・発売日・レコード会社等の情報も入力してあります。このように色々なフィールドを用意すればするほど、「カード型」は面白くなるのです。
▲①入力、および基本ブラウズ画面。
そして「レイアウト」ですが、現在主なものは3つです。①入力および基本ブラウズ用、②表形式、③大画面ムービーを見る時用、です。では、検索・ソートしてみましょう。例えば、作曲家のディスコグラフィーを作ってみます。検索モードに切り替え「作曲家」フィールドに「筒美京平」と入れ検索実行。すると2134中、筒美京平の曲だけ214レコードが「該当」され表示され、「発売日」をキーにしてソートすると発売日順に並び、完成です。
▲②表形式
▲③大画面ムービー再生用
私は大小2つのムービーをキャプチャーしていますので、①で次々見たり、③でムービーをじっくりと見たりできます。あれ、もう書ききれなくなってしまいました。この「歌謡曲データベース」はまたの機会にさらに分析していきます。こんなことやってると、すぐに時間が経ってしまいます。
岡野 肇
PROFILE
1960年生まれのかに座のB型。
18歳と10カ月で高卒後広島から上京。
伝説の番組「ザ・ベストテン」のドライアイス担当を皮切りに、
美術・録音・照明・VE・撮影・制作・演出と各分野をめまぐるしく駆けめぐり
29歳と11カ月で株式会社まじかるふぇいす(現有限会社)を設立。
現在は特に「音楽とビデオの融合」を目指し、日夜企画書と格闘中の
映像・音楽プロデューサー。趣味はナレーションとデータベース作り。