Solidcom C1をライブ配信の現場で試してみた。放送用途としてもしっかりとした性能で、あらゆる現場で活躍するだろう。

REPORT◎マリモレコーズ 江夏由洋/金戸聡和 協力◎株式会社 RAID

 

ラインナップ

(価格はRAIDショップ)

Solidcom C1-2S (2人用)70,400円/Solidcom C1-3S(3人用)110,000円/Solidcom C1-4S(4人用)143,000円/Solidcom C1-6S(6人用)220,000円/Solidcom C1 – HUB8S(8人用+HUB/写真) 539,000円

▲セットとしてはヘッドセット本体、バッテリー、充電器、レザータイプ/フォームタイプのイヤーマフ、マイク風防。

小型バッテリーだが1本あたり最大で5時間、予備電池も同梱され最大10時間稼働。

 

 

価格に驚かされた

Marsシリーズで知られるHollyland Techから登場した新しいインカムヘッドセットシステム「Slolidcom C1(以下、C1)」は、高価で手が出しにくかったインカムの印象を大きく変えた製品だ。Hollyland Techからは、すでに「Solidcom M1(以下、M1)」というベルトパックを必要とするヘッドセットシステムが昨年登場しており、我々もM1をすぐに購入し現場に投入している。

そのため、1年経たずしてのC1の登場は予想外だったが、その低価格には驚かされた。6台セットで20万円弱という価格を聞いて、「C1を待てばよかった!」と思ってみたものの、C1はM1の後継機ではなく、新しいシリーズのインカムであり、C1、M1ともに特徴があり、現場により使い分けるといいインカムだった。これまで有線で、かつ高価なイメージだったインカムだが、このC1によりそのイメージは大きく変わるだろう。

 

機動力・操作性・拡張性が高いC1

C1は、ベルトパックやベースステーションを必要とせず、ヘッドセットだけで通信ができる。通信距離も350mととても長い。技適も取得済みで、屋外での使用も可能。質量はバッテリー込みで168gと軽く、装着しても存在を主張しない点が良い。バッテリー稼働時間は最大10時間、マイクのON/OFFはマイクブームの上げ下げでできる。

▲電池含めわずか168g、非常に軽量なうえフィット感も良好だ。

ボリューム、チャンネルセレクト、ON/OFFスイッチ、のわかりやすくシンプルなボタンレイアウト。

 

小声もクリアに聞き取れる驚きのマイク感度

C1の一番の魅力は、マイクの感度である。今回、出演者もスタッフも同じワンルームで行うライブ配信の現場に投入したのだが、C1によりスタッフは円滑なコミュニケーションでミスもなく、かつ小声でやり取りができるため配信音声にスタッフの声は乗らない、というとても満足のいく結果を得た。

使用台数は全6台。フロア、カメラマン、ディレクター、スイッチャー、映像送出、配信チェックの6名が使用したが、出演者に最も近いフロアとカメラマンの小声もしっかり全員に届いたのは驚かされた。自分のできる限りの小声でもしっかりチームに届くのである。しかもマスクをしていて、マイクを口にぴったりと当てなくてもいい。もっとも感度の高さを実感したのは、スタッフの喉が鳴る音が全員の耳に届いていた時だった。

逆に言えば、スタッフの息遣いが常にマイクに乗ってしまうほど、感度が良い。マイクをONにし続けるスタッフは、マイクの位置を常に気にするといいだろう。また、マイクブームはしっかりと上に向けないとマイクはOFFにならないため、初めて使用するスタッフは気をつける必要がある。

また、サイドトーン(自分の発した声がヘッドホンから聞こえる機能)が備わっているため、どんな小声でもチームに自分の声が聞こえているかわかるのは安心だ。小型のヘッドセットではサイドトーンが搭載していないものも多く、自分の声が相手に届いているかがわからないため、インカムにはサイドトーンは必須の機能であり、ここがトランシーバーとの違いであろう。

▲マイクの感度が抜群に良い。ペアリング情報やバッテリーの減り具合も、マイクについたランプの色で認識できる。バッテリーが少なくなると赤に点灯する。

 

撮影現場にもインカムを

この時代、現場で声を出しにくい状況が続いているため、配信や放送の現場に限らず、今だからこそインカムが必要かもしれない。小規模な撮影現場で、ディレクター、カメラマン、照明、アシスタント、制作、DITの6名がインカムを付けるだけで作業効率は大きく上がる。

 

OA音をインカムで聴きながらのトークも可能!

今回、近日発売が予定されているHUBベースを現場で使用する機会を得た。HUBステーションを使用すると、最大8台のヘッドセットと無線で繋がり、HUBベースとインカム8台のセットで、約54万円程だ。インカムを使用したことのないユーザーからすると少々高く感じるもしれないが、8chワイヤレスインカムとしてはとても安い。そしてHUBベースを使用するとヘッドセットにいくつか機能が拡張されることになる。中でも一番のオススメ機能が、ヘッドセットにOAや収録の音声を乗せられる機能だ。HUBベースの背面にある「PGM入力」のXLR端子を使用してヘッドセットでコミュニケーションをとりつつ、オンエアの音声を確認することができる。

簡易的なインカムの場合、オンエアの音は別のイヤホンなどで聴く必要があったため、左右の耳で別々のモニタリングをするという、非常に面倒なスタイルにしなければいけなかった。しかしC1では片耳で両方の音声が聞こえるため、片耳が空き、自分の周りで起きている音が聞こえる。これは安全面でも大きな利点だ。実際に使用した際、使用環境によりPGM音とコミュニケーション音に差があったが、その場合はHUBベースのメニューからオンエアなどの入力音声のボリューム調整が可能のため、コミュニケーションを取りやすい音量調整が可能だ。


▲テーブル手前にあるのがHUBベース。配信音声をHUBベースに入れることで、全員がトークをしながら配信音声を聞くことができる。

 

C1とM1の使い分け

M1との一番大きな違いは、ノイズキャンセルの具合である。M1の場合、ノイズキャンセルがしっかりと行われているため、大きな音が響く音楽ライブや、風強い屋外での使用に向いている。C1のマイクでは環境音もしっかりと入ってしまうため、コミュニケーションが取りにくくなってしまう。そういった現場では、M1をオススメする。また、M1の場合、ベルトパックが必要となり、TALK/MUTE操作を行うのもベルトパックだ。最大通信台数は、C1-8Sなら、子機8台+別売の有線ヘッドセットを加えれば1ベースステーションで9台通信できるなど実は大規模化することができる。C1はより幅広い用途で導入されていくだろう。

▲マリモレコーズではM1を撮影現場に導入してからは撮影効率が大幅に上がり、現場では欠かせない機材になった。C1はさらに低価格にかつセット自体がコンパクトなので導入しやすいはずだ。生配信現場のチーム全員が音声をインカムで聴いて作業することができると、効率がさらに増す。

 

 

VIDEO SALON2022年7月号より転載