REDのフルフレームセンサー8Kカメラ、V-RAPTORの発売が開始される。KOMODOと同じ世代のプラットフォームを採用し、DSMC3世代にあたるカメラであり、これからのRED DIGITAL CINEMAの中心となるモデルにあたる。10月中旬、代理店RAIDの鶴田さんに取材した。

REPORT◎一柳

これまでのREDのフルフレーム8KカメラといえばMONSTRO 8K VV。MONSTROはミニマム構成でも850万円ほどだったが、V-RAPTORは300万円台前半であり、価格は半額以下になる。ちょうど一年前に発売開始されたKOMODOと同じ新しいプラットフォームを採用し、DSMC2プラットフォームに対して、より高画質、ハイフレーム、オールインワンのボックスタイプのボディという特徴がある。Wi-Fiによるコントロールや、RFマウントを採用するなど、KOMODOと共通部分も特徴。DSMC2プラットフォームでは、センサーの進化に合わせて、センサーを入れ替えたり、マウントを変更したりして、グレードアップを図ることができたが、V-RAPTORはボディ形状も、プラットフォームも、センサーもまったくの新規であり、新しい設計となるために、DSMC2世代からセンサー交換してのグレードアップはできない。

V-RAPTORのセンサーは8K/120p読み出しに対応したフルサイズセンサーで、リアル17stop、16bitリニアRAW記録に対応。読み出し速読は従来比で2倍という高速なので、ローリングシャッター歪みは抑えられているという。

このコンパクトなボディに8K120fps、4K240fps、2K2:4:1なら600fpsのハイスピードがR3D 16bitリニアRAW収録できるのは魅力的だ。

さっそく実機を見ていこう。

ボックスタイプの形状で天面にはファン、右側面に設定用のパネル、後部がバッテリー装着部と端子類。取材した時点ではまだ専用モニターはなかった。

センサーサイズの選択。 フルサイズで8K、スーパー35サイズで6K記録。

マウントは電子接点付きのRFマウント。マウント部にはロック機構が設けられている。

裏面端子部。これまでのREDのカメラはSDIからの出力はフルHDまでだったが、V-RAPTORは12-SDIが2本。4K/60p出力が可能となっている。音声は5pinミニXLR端子を採用。これまでのREDのカメラは簡易的に3.5mmのマイク端子があるだけだったが、今後リリース予定の別売オーディオケーブルにより、48V電源供給も可能なXLR対応となるそうだ。

 

RFレンズを装着するとAFも可能に

前述したとおり、マウントはキヤノンのRFマウント。RFレンズを装着するとAFも可能になる。

KOMODOから採用されたWi-Fiを利用したスマホからのカメラコントロール。

 

記録メディアはCFexpressだが注意が必要

これまでのREDのカメラは専用メディアだったが、V-RAPOTRは汎用規格であるCFexpress。ただし、使用可能なメディアはREDが承認/互換認定された物のみに限られるそうだ(V-RAPTORに限らず、KOMODO含めRED全機種)。メディアやバッテリーなど電子接点付き周辺機器は、カメラ本体との通信がログとして本体に残るそうで、認定外周辺機器を使って故障が起きると本体保証が無くなるので、使用する周辺機器しっかり確認が必要だ。ちなみに660GBのCFexpressカードで8K RAW記録で20分弱くらいの記録時間。

RED純正のCFexpressカードとカードリーダー、製造はエンジェルバードだが汎用品とは仕様が異なるそうだ。

RED純正のカードリーダー、製造はエンジェルバードだが汎用品とはマテリアルが異なり、REDらしいデザインで人気が高いそうだ。

 

V-RAPTORとKOMODOのボディを比較してみる

昨年秋に登場したKOMODO 6K(スーパー35センサー)とV-RAPTORのボディを比較してみる。KOMODOは天面に設定用の液晶ディスプレイが設けられているが、V-RAPTORはそこにファンが置かれ、設定ディスプレイは右サイドになっている。

V-RAPTORも充分コンパクトだが、並べてみるとKOMODOのコンパクトさが際立つ。

V-RAPTORとKOMODOはカメラの世代が同じで、操作性が同じ、カラーサイエンスも共通ということで、両モデルを併用するというケースが多くなりそうだ。

トキナーシネレンズとの組み合わせ

フルサイズセンサーの場合、シネレンズの選択肢はどうしても狭まってしまう。非常に高価格なものしかなく、300万円台のV-RAPTORとの価格バランスもとれなかったが、トキナーのシネレンズはフルサイズ以上の46.7mmの大きなイメージサークルを持ち、VistaVisionフォーマットを含むほとんどの動画カメラのセンサーに対応する。トキナーVISTA T1.5プライムレンズは、18、25、35、40、50、65、85、105、135mmとラインナップが豊富。たとえば50mmで69万円、35mmで72万円となっている。

KOMODO用に最適なのが、トキナーのCINEMA ZOOM LENSで、11-20mm T2.9は他社には選択肢がなく特に定評があるが、50-135mmに加えて、新たに25-75mm T2.9が登場した。ここでは残念ながら現物を見られなかったが、抜けていた間のレンジのズームが登場したことで、KOMODO 6KやREDヘリウム8K、ブラックマジックデザインのシネマカメラのズームレンズとして現場で多数使われそうだ。

 

ブラックバージョンも発表された

最後に追加情報として、V-RAPTORのブラックバージョンも発表された。ビジュアルイメージはこんな感じ。

【製品価格情報】

・RED DIGITAL CINEMA RED V-RAPTOR ST 8K + 6K S35 (Dual Format)

 税別価格:¥2,900,000-(税込¥3,190,000-
・RED DIGITAL CINEMA V-RAPTOR WING Grip
 税別価格:¥14,500-(税込¥15,950-)
・RED DIGITAL CINEMA RED Cfexpress Card Reader
 税別価格:¥14,500-(税込¥15,950-)
・RED DIGITAL CINEMA RED Pro Cfexpress 660GB
 税別価格:¥114,000-(税込¥125,400-)
・RED DIGITAL CINEMA RED Compact Dual V-Lock Charger
 税別価格:¥30,000-(税込¥33,000-)
・RED DIGITAL CINEMA REDVOLT MICRO-V
 税別価格:¥39,000-(税込¥42,900-)
・RED DIGITAL CINEMA DSMC3 RED Touch 7.0” LCD
 税別価格:¥326,000-(税込¥358,600-)