イベントレポート「Mashup Photo-Video Vol.3 EOS 5D MarkⅡでテレビCMを撮る!


「ビデオサロン」と「コマーシャル・フォト」とが主催するデジタル一眼ムービーのイベント「Mashup Photo-Video」の第3弾が2009年9月25日、アップルストア銀座のアップルシアターにて開催された。出演はCMディレクターで、撮影監督としても多くの実績を持つ高橋敏郎さん。今回はEOS 5D MarkⅡを使って撮影したクルマのCMのメイキングを中心にトークが展開された。
※多数のご来場、ありがとうございました。


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合成用の人物の一部をEOS 5D MarkⅡで撮影
これまでの2回と同様、多くの立ち見が出る盛況ぶりの中、イベントがスタート。最初に高橋敏郎さんの代表的なCM作品を5分ほどにまとめたムービーを上映。中には国内外の数多くの広告賞に輝いたCMも含まれており、その実績の高さが伺えた。
そのCMロールの中にもあった「トヨタ・アルファード」の最新作で、高橋さんはEOS 5D MarkⅡを使用している。撮影は今年の5月でロケ地はチェコのプラハ。女性たちが建物の窓を一斉に開いて通りかかるアルファードを見るという設定で、当初は実写一発撮りも考えたが、窓の数が多すぎて無理と判断、窓と人物の部分は現地のスタジオにセットを作って合成することにした。
ロケ撮影ではクルマの動きを追うためモーションコントロール装置を使用したが、5月の時点ではEOS 5D MarkⅡ用のフォーカスリングに取り付けるギアがまだ開発されていなかった関係で、ここでの使用はあきらめざるを得なかった。スタジオでの撮影をアリフレックスD21(今回のメインカメラ)とEOS 5D MarkⅡの2台で行なっている。
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メイキングの写真とともに解説を行った
%E9%AB%98%E6%A9%8B02.jpgスタジオ撮影は1日。人物部分はモデル30人を集め、服装などを変えながら撮影。最終的に合成で280人に見せているが、これだけの撮影が1日だけで終わるのか不安もあったというが、EOS 5D MarkⅡを加えた2台体制が功を奏し、無事撮り切ることができた。モーションコントロールで撮影・合成する部分はアリフレックスを使い、合成でカバーしきれない部分を高橋さん自らが5D MarkⅡで撮影。「(今だったら、フォーカスリングのギアがあるので)すべて5D MarkⅡで撮れたかも」と高橋さん。
実は5D MarkⅡの購入と同時に、高橋さんはFinal Cut Studioを導入して使い始め、今回のロケにもFCSをインストールしたMac Book Proを持ち込んだ。撮影後すぐにオフラインで編集してみて次の作業の参考にするなど、作業の効率化には役立ったという。
このメイキングの話のあと、高橋さんの20年を超えるCMディレクター/撮影監督のキャリアの中から、その時代ごとの最新機材を使ったり特殊な手法を用いて制作したクルマのCMの話が披露された。まだフィルムが主流の時代にベータカムを使用したり、背景に写真(静止画)を使って合成で動画に見せたり、HDカメラでスロー撮影して背景がゆっくり流れるようにしたり…。
%E3%82%AB%E3%83%A1%E3%83%A9.jpg最後に、高橋さんにEOS 5D MarkⅡの魅力を訪ねたところ、「光学ファインダーが残っていること」をまず挙げた。最新のムービーカメラの多くはファインダーがなく、CMOSを通した映像を液晶に映して見るようになっている。しかし、ファインダーがあるとナマの光を見ることができるのでライティングの微妙なバランスまで目が行き届く。オールデジタルの時代でもファインダーの重要性を説いた。
さらに、ロケハンと本番撮影に同じ機材を使えること、写真レンズの豊富な資産が活用できることなどが5D MarkⅡの魅力として挙げられた。
高橋さんの愛機にはハッセルブラッド用の拡大ファインダー(液晶用)を改造して取り付けてある。これを使って、初めて個人作品を作ろうと考えている。
Final Cut Studioにも高い関心が
高橋さんの話のあと、アップルのスタッフによる最新のFinal Cut Studioの解説が20分ほど行われた。FCSの最大の特徴であるコーデックProRes422に絞った内容で、なぜ一手間かけてProRes422に変換する必要があるのか、そのメリットは何かなどを詳しく紹介した。
最新バージョンではProResが5種類に広がったが、それぞれの特徴や使い分けについてもデモを交えて分かりやすく説明があり、来場者は熱心に聞き入っていた。
次回は、「EOS 5D MarkⅡでWEBムービーを撮る!」と題して、ファッションブランド「HARE」のプロモーション映像を制作した川口良介さん(撮影)と岩瀬政克さん(照明)、デンバクファノデザインの松平直之さんと土居誠史さんを迎えて、お送りします。またそれ以外にも10月後半に公開される予定のウェブムービーも紹介。
さらにEOS 7Dでの撮影事例もお届けできる予定です。
会場はアップルストア銀座のアップルシアター、
日時は10月26日(月)19:00~20:30 
お見逃しなく!
この「HARE」の記事は「ビデオサロン」10月号に掲載されています。
キヤノンEOSムービーサイト
http://cweb.canon.jp/camera/eosd/eosmovie/
ビデオサロンMOOK『デジタル一眼ムービー完全攻略』
http://www.genkosha.com/sp/2009/07/post_26.html

vsw