アメリカでこの8月17日より新たに開局したスポーツネットワーク・Fox Sports 1。Fox Sports 1ではNASCAR(全米自動車競争協会)、UFC(Ultimate Fighting Championship)、カレッジ・フットボール、カレッジ・バスケットボール、サッカーなどのスポーツ中継をはじめ、「Fox Football Daily」、「Fox Sports LIVE」といったスタジオ番組も放送していくという。



Fox Sports 1の初披露TVCM
 同局のプレミアCMとして制作されたのが上で紹介している「Happy Days Are Here Again」。この作品ではBlackmagic Cinema CameraとDaVinci Resolveが使用されたという。

BMCCで空撮映像にも挑戦


 CMの監督を務めたHSI Productionsのジョセフ・カーン氏は、NASCARレースの模様を空撮ショットで収録したいと考えていた。HSI Productionsは南カリフォルニアの映像制作会社・Mi6 Filmsに協力を求めた。撮影場所は、ノースカロライナ州シャーロットにあるシャーロット・モーター・スピードウェイで行われることになったため、Mi6 Filmsはサウスカロライナ州のwollwerthfilmsと提携して空撮することになった。
 空中撮影を専門としているwollwerthfilmsは、シャーロット・モーター・スピードウェイでの撮影初日に行われたNASCARレースで、時速320kmの苛烈なレースの様子をキャプチャーするため、Blackmagic Cinema Cameraを装備した高性能の遠隔操作空中撮影リグを使用した。
 wollwerthfilmsのオーナーであるステファン・ウールワース氏は撮影
 「カーン監督は、ファンの歓声に包まれたスタジアムとレース場をドラマチックなワイプで登場させたいと考えていました。また、フェンスを取り外してトラックの高さで通過する車を撮影することで、長い直線のハイスピードショットを撮影しました。」
 これらのショットを撮影するにあたり、ウールワース氏は、Blackmagic Cinema CameraをPhotoShip Oneの3XPro v3というジンバル(防振装置)に搭載し、さらにウールワース氏自身が作成した空中撮影用リグにこれをマウントした。また、Blackmagic Design Mini Converter SDI to Analogもヘリコプターにマウントし、アナログ変換した映像をヘリコプターからワイヤレスでダウンリンクすることで、地上でのモニタリングを可能にした。

多くのスタッフがラティチュードの高さにびっくり


 「他の撮影で使用した高品質のカメラとマッチさせるために、最高画質で撮影する必要がありましたが、Blackmagic Cinema Cameraはこのニーズにぴったりでした。最高画質を得るために、フッテージは2.5K CinemaDNG RAWフォーマットで撮影しました。13ストップのダイナミックレンジのおかげで、必要なラティチュードを得られました。DIT(デジタル・イメージング・テクニシャン)のジャーミー・ボールもラティチュードの高さに驚いていました(ウールワース氏)」

DaVinci Resolveでのポスプロ作業


 ノースカロライナ州のシャーロットのポストプロダクションスタジオGRADEのオーナーであり、カラリスト/DITのボール氏と、プロダクションおよびポストプロダクションスタジオCinemanixのブライアン・シベリ氏は、Blackmagic DaVinci Resolveを使用してLUTの設定、データ管理、デイリーのトランスコードおよびレンダリングを行なった。
 「私たちはResolveとResolve Liteを両方使用しました。Resolveほどシステマティックに使えるツールは他にないでしょう。Resolveはポスプロの全過程を通じて、異なるタイプのメタデータを追加できますが、特に複数のカメラや複数のロケ現場で、数日間に亘って撮影しているで、この機能はひじょうに重宝しましたね。Resolveは低価格ですがとてもスピーディでパワフルなツールです。様々なカメラで撮影した多くの異なるフッテージを扱う場合でも、シームレスな処理が可能です。Resolveは現在使用されているあらゆるタイプのフッテージを扱うことができる唯一のツールではないでしょうか。私たちは撮影の初日に立ち会いましたが、Resolveがすべての撮影におけるデイリープロセスを設定したと言えます(ボール氏)」