ジンバル黎明期からユーザーの間で人気を集めてきた中国FeiyuTech社。
今回、ジンバルとしては初めて生活防水に対応するモデルG5を発売。
GoPro HERO 5 Blackと組み合わせて実際の現場で使ってみた。

レポート●松本 敦(Movie For Life

「GoPro HERO 5& FeiyuTech G5」

撮影・編集:松本 敦

 

FeiyuTech社から発売となった移動時の揺れを防ぐ3軸ジンバルG5。今回の売りはなんといっても「防水機能」。この機能を備えたジンバルを待ち望んでいた人も多かったのではないだろうか。今回、西表島のトレッキングツアーの撮影があったので、現場に投入して、その実力を試してきた。メインの「防水機能」は水中撮影が可能という意味ではなくあくまで「生活防水」であるという点には注意したい。カウンターウェイトを調整すればGoPro HERO5だけでなくHERO4も装着が可能だ。バッテリーは一本のみ使用で本体にあるUSB端子から充電する。またグリップの先端にはネジ穴が切ってあるので、三脚や一脚と組み合わせることも可能。モード変換ボタンでは、パン・チルトに左右されずカメラが一定方向を向く「ロック」や自撮りの「セルフィー」などの撮影モードを切り替えられる。

 

▲FeiyuTech G5 36,000円(Grow取扱)。電源ボタンを長押しでON/OFF。初期設定ではカメラのパンをフォローする「流し撮りモード」。ボタンを1度押すとジンバルが固定される「ロックモー ド」。2度押すとパン・チルトをフォローする「流し撮り+傾斜モード」。3度押すとカメラが180度回転し自撮りに対応できる。

 

▲Feiyu G5はGoPro HERO 4の他、HERO 5 Blackを搭載可能。

 

▲HERO 5 Black用のカウンターウェイトを同梱。

 

▲グリップ側面のmicroUSBでモバイルバッテリー等から給電できる。

 

▲専用ケースも付属する。

 

▲バッテリーは乾電池型の専用バッテリーで最大6時間持続する。グリップ先端には三脚穴も。

 

▲別売のエクステンションロッド(3,980円)では58cm延長できる。ロッドのグリップ先端にも三脚穴があり、ミニ三脚等と組み合わせて使うことも可能だ。

 

現場ではエクステンションアームが大活躍!

今回の撮影行程はカヌーに乗って移動の後、ジャングルを進んで滝を目指すというツアーだった。G5は今回のように持っていける荷物が限られる条件にはうってつけだった。カヌー撮影ではそもそも乗り込んだ位置からは移動できない。さらに周りは水に囲まれており「もし高価な機材を落としたら…」という不安な状況で撮影に臨んだが、まず防水であるという時点でかなり安心して撮影できた。また、G5と組み合わせられる延長ロッドがかなり役に立った。三段階で伸縮できるのでローアングルで足元を撮る際も腰をかがめずに撮影できたり、ロックモードで角度を固定してクレーンカットのように使うこともできた。さらにカヌー撮影で擬似ドローン空撮のような撮影も可能となった。

 

▲カヌーでの使用風景

 

▲山頂での撮影では足元から大俯瞰へのクレーンショット風の撮影ができた

 

▲ローアングル撮影でもかがまずに足元を撮影できて重宝した

FeiyuTech G5 の使用感

揺れの補正力という点では、充分な性能を持っていると思われた。ただ、急に転換したり、極端に傾けるとモーターに負荷がかかり、ガクついてしまう場面は見受けられた。モーター音に関してはほぼ気にならないレベルだったが、これも負荷がかかった時には大きくなり、収録されてしまうので操作面では注意が必要。バッテリーは予備も持参したが、今回の撮影では交換する必要もなく安心して使えた。ただ冬場の寒い場所ではバッテリーの減りも早いと思われるので予備は持っておいたほうが安心だろう。今回残念に感じたのがGoPro本体を取り付ける「ネジ式」のアダプターだった。構造上仕方のないことなのかもしれないが、装着をするとGoPro HERO 5の電源ボタンにアクセスができなくなるのだ。今回はスマホアプリでON/OFFを切り替えて使用したものの、バッテリーの減りの早いGoProはこまめに電源を切りたいので、ここはぜひ次回の改善ポイントにして欲しい。

以前までGoProはカメラ単体では防水性能は持たず、ジンバルに載せる時はむき出しにして使うため、アクティブな撮影では使えなかった。だが、ハウジングなしで防水性能を持つHERO5と今回のG5の組み合わせならば、かなり使えるフィールドが増えるだろう。

 

 

▲撮影に協力いただいた西表島カヌーツアーでガイドを務める風車の鈴木さん。 (http://kazaguruma-iriomote.jp/

 

 

●この記事はビデオSALON2017年2月号より転載

http://www.genkosha.co.jp/vs/backnumber/1611.html