【EVENT REPORT】アスク・エムイー × NETGEAR 〜NDIを活用してデジタルスイッチャーで実現する! eスポーツ配信のノウハウ(講師:ウェルプレイド・ライゼスト 原田清士)


                                                                                             

2022年12月に開催されたアスク・エムイーとNETGEAR主催(VIDEO SALON後援)のイベント「デジタルスイッチャーで実現するeスポーツ配信」の模様をダイジェストでお届けする。講師は本誌のウェビナーにもご登壇いただいたウェルプレイド・ライゼストの原田清士さんです。

(動画リンクは記事の最後に掲載)

取材◎編集部 一柳

eスポーツやボードゲームなど各地で様々なゲームイベントが開催され、コロナ禍もあり、そのライブ配信が増えている。土日ともなるといくつもの配信が重なるほどだという。

ゲーム配信に特徴的なのが、参加者の画像やスコアのデータをゲーム画面にオーバーレイして表示するテロップ。しかもそれを更新していかなければならないし、イベントの進行に合わせて、素材を入れ替えていく必要がある。そうした煩雑な作業に応えられるのがデジタルスイッチャーだ。代表的な存在はTriCaster。かつては配信業者向けという存在だったが、最近ではインハウスでの業務に導入したり、映像の切り替えだけでなく、画面レイアウトが必要な配信が増えたことでユーザーの裾野が広がっている。

TriCasterシリーズで今注目を集めているのがNewTek社が開発、提唱しているNDIというLANを介して映像やコントロール信号をやりとりできる規格。このNDIとデジタルスイッチャーをゲームイベント配信の現場でどう活用すればいいのかを明らかにしていく。

NDIを利用する場合にネットワークスイッチの性能が重要になってくる。NETGEARのM4250シリーズはIPネットワークに映像と音声を流すこと(AV over IP)を想定したものであり、NDIを運用するにあたって、ネットワーク技術者でなくても、プロファイルの選択で正しい設定にすることができる。今回のイベントでTriCasterの代理店のアスク・エムイーとNETGEARが組んだのにはそういう背景がある。

 

デジタルスイッチャー

NewTek TriCaster Mini X

昨年8月に発表されたTriCaseterシリーズの新製品でコンパクトなモデル。

 

ネットワークスイッチ

NETGEAR M4250シリーズ

NDIを利用したライブ配信を想定して設計されたAV over IP市場向けのスイッチ。

 

TriCaster Mini Xは初心者でも使えるのか?

アスク・エムイーのマーケティングを担当するリーンフェイズの三好さんが新製品のTriCaster Minix Xの製品紹介。

【TriCaster Mini Xの特徴】

●収録や配信、合成など幅広く対応
●コンパクトな筐体で持ち運びが可能
●YouTubeなどの配信先に直接ログインして配信が可能

TriCasterは、スイッチングだけでなく収録、配信もできるオールインワンの製品。Mini XではHTML5グラフィックスにも対応し、WEBページの要素を素材として利用できるようになった。

続いて実際のライブ配信を想定して、その流れを見せてもらった。

アスク・エムイーのTriCaster担当淺井さんが、TriCasterを触ったことのないNETGEARの平井さんにレクチャー。分かりやすいインターフェイスで初心者でも設定、操作が可能。

その操作の一部を紹介しよう。

●NDI入力を設定する

①たとえばINPUT3をNDIからの入力にしたい場合、歯車マークをクリックして

②ソース一覧から指定したいものを選択。

③選択したのはKiloviewのHDMI-NDIコンバーター経由のNDIソースで、カメラの映像が表示された。

 

●クロマキー合成をする

①グリーンバック撮影の映像の歯車マークからImageタブのカラーキーイングで画像から緑色を抽出。

②背景が抜けるので

③プリセットのCGと合成。全体のサイズやポジションも簡単に調整できる。

 

ライブ配信ではなぜNETGEAR  M4250シリーズが最適なのか?

 

続いて、NETGEARのネットワークスイッチについて、ネットギアジャパン合同会社でマーケティングを担当するヌグロホさんが解説。

 

●VLANで配信用のネットワークと業務用ネットワークを分けることを推奨

まず基本的に、配信用のネットワークと社内業務のネットワークはVLANで分けることを推奨するという。業務のアプリからの影響を避けたり、映像用の帯域を圧迫しないようにするためだ。

その上で、映像品質をより安定させるには、LANのQoS設定が重要になってくる。

QoS(Quality of Service)とは、ある特定の通信を優先して伝送させたり、帯域を確保すること。正しく設定されないと映像が乱れたり、音声が出なかったりすることもあるからだ。

 

●M4250シリーズなら専門知識がない人でもVLAN・QoS設定が可能

では、NETGEARのM4250シリーズは、一般企業で使われるスイッチと何が違うのか?  

性能だけでなくNDI専用のプロファイルが用意されているのが安心だという。

スイッチのポートを選んでその設定にすればいいだけ。わずか数クリックで配信に最適な設定にできという。もしコマンドで打つとしたら膨大になり、かつ専門的な知識が必要になる。グラフィカルな画面なので、エンジニアでなくても安心して設定することができる。

また、ネットギアはNewTekをはじめ、180社以上の有数AVベンダーとパートナー体制を築いているので、安心して選択してほしいとのこと。

 

eスポーツ配信で必須のテロップをNDI経由でTriCaseterに入れる

セミナー後半は、eスポーツの総合商社ウェルプレイド・ライゼストで技術とデザインを統括する原田清士さんが、実際に同社で行われているスタイルのeスポーツ配信をTriCaseter Mini XとNETGEAR M4250シリーズを使ってミニマムなかたちで実践デモを行なった。

eスポーツなどのライブイベントで求められるのが多彩なテロップ送出。しかも得点等のデータを随時更新していく必要があり、その作業はかなり煩雑だ。実際の業務ではKarismaCGやVizrtを利用することもあるそうだが(2022年8月号での原田さんのウェビナー記事を参照)、ここではPCとPhotoshopとPremiere Proを使う方法を紹介する。入力はNDI経由。LANケーブルで繋ぐだけでよく、キーとフィルを分けて結線したり、クロマキー合成などは必要ない。NDIならテロップ送出用のスタッフとPCが増えていっても、TriCaster側の入力を専有してしまうこともない。

 カメラ入力としてNDIを使う方法もあるが、信号が1080/60iや30pならまだいいが、60pになると帯域を圧迫するせいかうまくいかないこともあったと言う。NDIが利用できるデジタルスイッチャーでは、テロップ送出で積極的に活用するというのが、現場での実績もあって安心だ。

 

eスポーツイベントによるある配信番組の流れ

今回のデモを分かりやすくするために、eスポーツイベントでよくある進行を原田さんがサンプルとして作成。オープニングのフタエ(蓋絵)から始まり、司会と解説者のカメラ映像、ルール説明、ゲーム画面(得点などの情報が上に乗る)、トーナメント表、そしてカメラ映像になって、エンディングのフタエという流れ。ポイントとしては、随時更新していく必要があるテロップ類をどうするかということ。

(↑クリックすると画像として開きます)

取り込みテロップ素材は?

TriCasterでもテロップを入れることはできるので、フタエやルール解説など、予め作って変更しないものはTriCasterに読み込んでおく。現場で変更の要素があるものは変更作業のしやすいPremiere Proから送出する。テロップ担当とスイッチャーを分けるという意味合いもある。

 

必要なもの

必要となるものはTriCaster以外としては上記。すでにNETGEAR M4250シリーズが用意されているのであれば、3つのソフトウェアを入れたPCとLANケーブルがあればいい。NDI Toolsはhttps://ndi.tv/tools/から無料でダウンロードできる。

 

配線図

配線はシンプルでPCをLAN接続するだけ。HDMI等の接続は必要ない。そのため、NDIソースが増えてもTriCaster側の入力ポートを専有しないというのはNDI接続ならではで、入力の少ないMini Xでは特に助かる。

 

Photoshopで作ったPSDファイルをPremiere ProからNDIアウトする

◉Photoshopでスコアやトーナメント表作成

Photoshopでテロップを作成。レイヤーに分けてPSD形式で保存。トーナメント表などは予めパターンを作成しておき、レイヤーで管理。表示非表示でバリエーションを表現する。ここはIllustoratorで作っても良い。

◉Premiere Proのタイムラインで再生

Photoshopで作成したPSDファイルをPremiere Proに読み込んでタイムラインに置く。

 

◉Premiere Proの環境設定

ここは事前の設定になるが、「環境設定」〜「再生」でビデオデバイスの「NDI output」にチェックを入れる。無料のソフトウェア NDI Toolsに含まれているプラグイン NDI for Adobe Premiere Proを入れておくと選択肢が現れる。

 

 

TriCasterに読み込んで表示させる

TriCaster側に表示させるには、入力設定で歯車マークから

ソース選択で該当のNDI対応機器(この場合はMSI:PCメーカー)のAdobe Premiere Proを選択。

TriCaseterの画面。下段がプレビューとプログラムのスッチング部分。上段がM/E(ミックスエフェクト)の設定画面。AとBで合成した結果を各M/Eに割り当てられる

今回はM/E4にゲーム画面(BFR2)と、INPUT5(Photoshopテロップ)を設定。M/E4をプログラムアウトすると以下のようにゲーム画面にスコア表示された状態になる。

 

ワンポイントアドバイス!
NDIをPTZカメラの電源供給とコントロールに使う

NDI対応のPTZカメラを導入してLAN1本で映像伝送、電源供給、コントロールまでして効率化したいという声は会場から上がったが、映像はSDIもしくはHDMIで送り、電源供給とカメラ制御をNDIに委ねる方法もある。人が操作しにくいところに設置することが多いPTZカメラの場合、それだけで現場は楽になるはずだ。

 

セミナーが開催された
RED° TOKYO TOWER 5F レッドアリーナ

会場は東京タワーに昨年できた日本最大規模のeスポーツパーク『RED゜TOKYO TOWER』の5F、ゲーミングPCが並ぶレッドアリーナ。会場内には主催の2社の製品も展示された。

 

セミナーの内容は動画で見られます

 

講師の原田さんが所属するウェルプレイド・ライゼストではメンバーを募集している。詳しくはこちらから。

 

●VIDEO SALON 2023年2月号より転載