発売から2年半経った今もなおVlogやYouTubeなどで愛用者が絶えないOsmo Pocket 3。その完成度の高さゆえに「次はどう進化するのか?」と期待と不安が入り混じる中、DJIが送り出したOsmo Pocket 4は、10bit標準収録、4K/240fpsスローモーション、内蔵ストレージ、物理ズームボタンなど、Vlogの枠を超えた本格的な映像制作ツールへと進化を遂げていた。映像クリエイターの市井義彦さんが実機を使い込んで感じた、その“想像を超える”実力をレポートする。

レポート●市井義彦
アドビ・コミュニティ・エヴァンジェリスト。株式会社Command C代表。関西を拠点に演出・撮影・編集も手がける映像作家として活動。YouTubeチャンネル「プレミアノート」で使いこなしのテクニックを発信!

DJIの大人気Pocketシリーズ、最新作 Osmo Pocket 4 がついにリリースされました!

筆者はこれまで、初代Osmo Pocketと、Osmo Pocket 3(以後、Pocket 3)を愛用してきています。

Pocket 3は、発売されてから2年半も経ちますが、ちまたでは未だに人気が衰えていません。

さまざまなカメラ系YouTuberたちも、ハイエンドなカメラを扱っているにも関わらず「Vlogカメラとしての使用頻度はPocket 3が一番」という人が少なくないんです(筆者も含む)。

ジンバルカメラとしての「手ブレ防止」性能はもちろん、軽量・コンパクトながら「圧倒的な高画質」、「Osmo Audio」による安定したオーディオ管理(通称:DJIエコシステム)、その絶妙なバランスの良さが凝縮したPocket 3の完成度の高さが、その人気を下支えしています。




そんな中、満を持して爆誕したのが「Osmo Pocket 4」。

正直、Pocket 3の完成度の高さから「ちょっとやそっとでは・・・」と思っていましたが、、さすがはDJI、軽く想像を超えてきました!

今回は、Vlogカメラ以外の用途でもバリバリに使えるスゴイヤツ、「Osmo Pocket 4(以後、Pocket 4)」の魅力をお伝えします。





本体外観

まずは本体の外観。パッと見ただけではPocket 3と変わらない印象ですが、厳密にはほんの少しだけサイズアップし、重量もわずかに増えています。背面の滑り止めデザインもリニューアルされているようです。


左がOsmo Pocket 4、右がPocket 3




しかし、外観で特筆すべきはカメラ部分を支えるジンバルの軸に新たに設けられた「電子接点」。

実は、ここにマグネット式の補助ライトを搭載できる仕様になっています。


ジンバル軸に電子接点



マグネット式補助ライト




クリエイターコンボに同梱されるこのライトは、使用想定が2m以内のかなり小型なライトですが、自撮り時に使用する用途としては充分だと思います。このサイズなのに、色温度や明るさの調整もできるのは嬉しい。実際に夜間の暗い道で撮影してみましたが、自撮りの距離感であれば充分な明るさを確保できます。

また、この電子接点、「今後、別のアクセサリー展開の可能性もあるのでは、、」と楽しい妄想もさせてくれます(個人的希望的観測)。

MicroSDカードを差し込む部分もPocket 3と同じ位置にありますが、Pocket 4には保護カバーがついています。Pocket 3では、カードの端が剥き出しだったのが気になっていたので、個人的にはこれも嬉しいアップデートです。


MicroSDカードスロット(カバー付き)




ふたつのニューボタン

ディスプレイはPocket 3を踏襲するように回転式で、サイズも一緒のようです。しかし、このディスプレイを回転させて横にすると……

今までなかったふたつのボタンを顔を出します。物理ボタンがふたつ増えるのはかなり大きなアップデートではないでしょうか。





右側のボタンは「カスタムボタン」になっていて、自分自身で使いやすいようにアレンジできます。

初期設定では以下の機能が登録されています。


カスタムボタンの初期設定

・シングルタップ:写真/ビデオモード切り替え

・ダブルタップ:ジンバルモード切り替え

・トリプルタップ:ジンバルロック/解除


「ジンバルモードの切り替え」が物理ボタンとして戻ってきたことは、ヘビーユーザーにとっては嬉しいアップデートですね。個人的にはこの設定で現状落ち着いていますが、ボタンを長押しすることで「カスタムボタン設定」のメニューを開き、任意の機能が登録できるようになっているので、自分自身の撮影フローに合わせた機能を登録するのが吉です。

そして左側のボタンは、筆者イチオシ「ズームボタン」。

Pocket 3のファームウェアアップデートで搭載された「ロスレスズーム」は、劣化をできるだけ抑えたデジタルズームで、数少ないPocket 3の弱点を打ち消したとても優れた機能です。ただ、その「操作方法」は限られていて、ディスプレイのスライダーorズームアイコンをタッチで動かすか、ジョイスティックで倍率を制御する形でした。Pocket 4ではそれがさらに進化し、物理ボタン(ズームボタン)を押すことで簡単にクイックズームが可能になっています。

ズームボタンを1回押しで「1倍(標準)↔︎2倍」を切り替え、2回押しで「1倍(標準)↔︎4倍」を切り替得ることができます。

Pocket 3の4K撮影時のズーム範囲はMAX2倍でしたが(HD撮影時のみ4倍)、それが4KでもMAX4倍まで広がったのも大きな進化と言えます。(ロスレスは2倍まで。4倍は非対応)

このズームボタンは録画中でも動作するので、演出的なクイックズームも楽しめるので、適材適所で判断して使っていきたいです。



さらなる高画質化

搭載しているセンサーは、Pocket 3と同じ1インチCMOSセンサーですが、記録フォーマットは「標準」設定で10bit収録にパワーアップ(Pocket 3は標準8bit)。さらに「Log」設定では「D-Log(10bit)」を採用。「D-Log」はとてもフラット(低コントラスト・低彩度)で、編集時の自由度が高く、LUTを適用するだけでなく、ある程度手動で調整することでクオリティを上げる「プロフェッショナル向け」だと言えます。

Pocket 3は「D-Log M(10bit)」だったので、パワーアップと言えばパワーアップですが、、とはいえ、「D-Log M」が低品質というわけではありません(個人的見解)。「D-Log」に比べ、ややコントラスト感が残るフラットで「中間的」なLogで、LUTを当てるだけでも形になりやすい「D-Log M」。「D-Log」ほどの自由度はないが、その分扱いやすい「セミプロ向け」なイメージかと。(Pocket 3には「HLG(10bit)」という選択肢もある)

「D-Log M」自体優秀ですが、さらに1ランク上の映像制作に挑戦したい人におすすめなのが「D-Log」ということになるのかと。

加えて、ダイナミックレンジが14ストップにパワーアップしているので、「白飛びしやすい屋外」や「暗い室内」などでもより高画質に記録できるようになりました(レンズ仕様そのものは変更なし)。実際に撮影した映像を編集で触った感じでは、LUTを当てた後さらに色をいじっても破綻しにくく、カラーグレーディング耐性が強くなった印象です。また、レンジが広がったことによって低照度モードも高性能化しているように感じました。





スーパーなスローモーション

実機を触って筆者が一番ワクワクしたのがこの「スローモーション」機能です。なんとこのコンパクトな筐体で「4K/240fps」を実現しているんです。

通常、ハイエンドなカメラにしか搭載されていないようなスペックですね。実際に桜の花びらが舞い落ちる様子を撮影してみましたが、まるでCGかAIかのような不思議な世界観を簡単に撮影できました。





しかし、これだけで終わらないのがOsmo Pocketシリーズ。

ジンバル機能もうまく活かして、被写体を追いかけながら撮影してもブレることなくスーパースローを演出できます。





また、コンパクトさを活かして、自撮り棒で簡易クレーンをしながらスローモーション撮影も。





コンパクト×ジンバル×高解像度スローモーション、アイデア次第でいろんな演出を可能にしてくれそうです。また、「4K撮影」での240fpsなので、最終的な作品の納品フォーマットがフルHD(1920×1080)の場合、解像度を損なわないままトリミングも可能なので、演出の幅がさらに広がります。編集時に拡大処理ができることを前提にすると、撮影時に少し広めの画角で撮っておいて編集で理想の画角に拡大できるので、余裕を持って撮影にのぞめますし、決定的瞬間を逃しにくくなります。最終的な作品のクオリティに直結するのでぜひ活用したい技術ですね。



Osmo Audioの4チャンネル収録

DJI Micシリーズなどを使うことで、より簡単かつ多角的に音声を収録できるのがOsmo Audioの魅力でもあります。DJI Micで収録する2チャンネルと、本体内蔵マイクで収録する2チャンネルの、合計4チャンネルを同時収録することが可能。外部マイク接続時、基本的に内蔵マイクの音は別ファイル(.wav)として生成・保存されますが、Pocket 4では、ひとつの動画ファイルに4チャンネルまとめて格納することもできるようになりました。(もしかするとPocket 3もファームウェアアップデートで可能になるかもですが)これにより、編集時の同期作業の必要がなくなりよりシームレスな運用が可能になりました。





待望の内蔵ストレージ

最近のDJIのカメラシリーズは、カードメディアなしでも撮影できる内蔵ストレージ仕様が人気です。しかしながら、Osmo Pocketシリーズは今まで未搭載で、今回が初の内蔵ストレージ仕様(107GB)となります。これはかなり嬉しい。

正直、「プロたるもの、現場に収録メディアを忘れるなんてありえない」と思っていましたが、子供の運動会にOsmo Actionを持って行った時、見事にカードを忘れて内蔵ストレージに助けられたことがあります。備えあれば憂なし。しかも、本体がUSB3.1対応でパソコンへの有線転送速度も最大800MB/秒と高速転送が可能というおまけ付き。前述の4K/240fps撮影も、内蔵ストレージならカードスペックを気にする必要がないので、懸念事項をひとつ減らせます。現場での体感としてこれはメチャクチャ良い!


内蔵ストレージ107GB




アクセサリー関連

まずは今回「新登場」した付属アクセサリーを3つ紹介したいと思います。

最初に目をひいたのは「Osmo Pocket 4 ジンバルクランプ」(クリエイターコンボ&スタンダードコンボ)。


Osmo Pocket 4 ジンバルクランプ




ジンバル機構部分をシンプルに固定してくれる便利アクセサリーです。Osmo Pocketシリーズはどうしてもジンバル機構部分がセンシティブなのでそのケア用にサードパーティ製のカバーをとかも考えちゃいますが、これは小型でシンプルなのでかなり便利かも。しかも下部に小さな突起があり、ディスプレイが誤動作で回転しないように保護してくれています。地味だけど大活躍です。もしかしたらPocket 3にも使えるのでは・・・と試してみましたが、ジンバル部分の形が微妙に変更されているようでそれは無理でした。Pocket 4専用のようですね。

次に「Osmo Pocket 4 ポータブルキャリーポーチ」。


Osmo Pocket 4 ポータブルキャリーポーチ




これはかなり嬉しかったです。従来のキャリーバッグもいいんですが、もう少しだけ容量少なめのソフトケースが欲しくて、Pocket 3は別ケースを購入して使っていました。中に小さな仕切り(ポケット?)もあり、今後かなり重宝しそうなポーチです。

そして「Osmo Pocket 4 補助ライト」(クリエイターコンボのみ)。

これは前述した通り、電子接点で本体と繋がれているので、本体電源と連動して動く仕組みです(給電仕様)。アームで少し伸縮することができるし、折りたたむとかなりコンパクトになります。ジンバルという特性上、なかなか本体に照明を固定するのが難しかったのでありがたいです。


Osmo Pocket 4 補助ライト




あと、新登場というわけではないですが、クリエイターコンボには「DJI Mic 3」も付属します。


DJI Mic 3セット




筆者自身は仕事上、ラベリアマイクが必要なことが多いので、ずっと「DJI Mic 2」を使用していました。なので「DJI Mic 3」本体を見るのが初めてだったんですが、想像以上に小さくて驚きました。このサイズ感でDJI エコシステムとして簡単に接続できるのであれば、現場に合わせて登板回数が増えてきそうな予感がして今からワクワクしています。

最後に別売りの「Osmo Pocket 4 バッテリーハンドル」ですが、Pocket 3ではクリエイターコンボに付属していましたが、Pocket 4のクリエイターコンボには付属していないようです。理由はいろいろあるのかもしれませんが、個人的には、本体自体の内蔵バッテリー容量が1545mAhに増量(Pocket 3は1300mAh)したこともあり、追加バッテリーなくても長時間撮影に耐えらえる、という自信のあらわれに感じました(もちろんオプションとして備えておくことに異論はありません)。ちなみにこのバッテリーハンドルは、Pocket 3用のものに比べ、デザインは違うものの、互いにどちらにも使用できる仕様のようです。

(容量:Pocket 3用は950mAh、Pocket 4用は1080mAh)


Osmo Pocket 4 バッテリーハンドル



左:Pocket 4用、右:Pocket 3用




PocketシリーズはDJI Care Refreshがお得!

DJI製品は専用の保証プラン「DJI Care Refresh」が用意されていますが、特にOsmo Pocketシリーズを使うユーザーにはオススメしたいサービスです。

プラン内容は以下の通り(2種類)

1年版: 有効期間1年、リフレッシュ交換回数最大2回。

2年版: 有効期間2年、リフレッシュ交換回数最大4回。

※往復送料は無料

この保証に入っていれば、故障・損傷・水没・衝突・経年劣化などの対象トラブル時に、交換費用(4,730円)を支払うことで、リフレッシュ品(新品または新品同等性能の製品)と交換してもらえます。

Osmo Pocket はジンバル構造だけに機構上、どうしてもリスクが伴います。また、Pocket 3/Pocket 4は、ディスプレイが回転式であることも鑑みても保証をつけたくなりますね。ですが、、筆者がCare Refreshを勧めたい理由はそれだけではありません。

ポイントは「バッテリー」です。他のOsmoシリーズは、バッテリーは交換式で内蔵タイプではありません。Osmo Pocketはバッテリー内蔵タイプ、つまり、本体をリフレッシュ交換に出すと、使い込んで経年劣化したバッテリーまでも新品状態になる、お得サービスということになります! 他のOsmoシリーズでは受けられない恩恵がおまけでついてくるので、これは超オススメです。



Others

数え出したらキリがないくらい、Pocket 4の魅力は多岐にわたります。その他の特徴でいうと•••

・「写真(静止画)」の解像度が9MPから37MPに向上。

・6つの内蔵フィルムトーンを搭載し、より多彩で高品質の演出がワンタッチで可能に。

・左右前後上下を含む、全ての方向を認識しながら音を収録できる「空間オーディオ」搭載。

・ActiveTrack7.0 の安定性が大幅に向上(4倍ズームでも使用可能)。

筆者は仕事上、ミラーレスのカメラや、ハンドヘルドデジカムをよく使用しますが、どうしても持ち運ぶコストが高くなり、毎度腰を上げるのに気合いが必要です。そのため出張の度にカメラ選定に苦慮しますが、最終的に選ぶ頻度が高くなるのはPocketサイズのカメラです。旅の友がここまで高画質・高性能になってくると、ますます身も心も軽くなります。あなたも映像制作がより身近になる最高の相棒を手に取ってみてください。

DJI Osmo Pocket 4の製品情報