レポート●OGAHARU/テスト●色彩/ 構成●編集部 伊藤

スタビライザー機能のアップデートで
ダイナミックな縦型動画がもっと身近に

DJI RS 4 Pro

DJI RS 4 Pro

4月に発売されたDJIのスタビライザー。カーボンファイバー設計で4.5 kgまで積載可能。第2世代縦向き撮影にネイティブ対応している。

99,000円(税込)
コンボ 123,200円(税込)

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結局どこがアップデートしたの?

結論から言うと今回のDJI RS 4 Proは大幅なアップデートというよりも、痒い所に手が届く「あるといいよね」という部分が改善された印象です。この記事では、具体的にどんな点がアップデートしたのか紹介します。

特にわかりやすいのはスタビライザーの機構が、縦向き撮影にネイティブ対応した点です。

ほぼワンタッチで横向きと縦向きを切り替えることができる

以前までは別売の縦向き撮影用のカメラマウントの購入が必要で、かつセッティングも一度チルト軸アーム部分からマウントを取り外して取り付ける必要があり、かなり大変でした。

別売の縦向き撮影用のカメラマウント

しかし、RS 4 Proはほぼワンタッチで横向きと縦向きを切り替えることができるため、今まで時間の都合や面倒臭さで諦めていた、縦横を切り替えての撮影ハードルが一気に下がったことは間違いないと思います。

些細なこだわりが見えるスタビライザー

今回実際にDJI RS 4 Proを使用して色彩で短い作品を制作しました。その際に感じたいい点についてお伝えします。まず、カメラのバランス調整のしやすさがかなり改善されていると感じました。3軸のアームがテフロン加工されたことによって滑りがよくなり、アーム部分がつっかえることが減りました。これまでのDJIのスタビライザーを使用してきた人なら共感できるであろう、あの“もどかしさ”が軽減されています。現場でレンズを変えることも多々あると思いますが、その際のバランス調整の手際がよくなった印象です。

3軸のアームはテフロン加工されたことによって滑りがよくなった

次に、クイックリリースプレートに調整式配置ガイドが搭載されました。個人的にここを改善してくるとは思いませんでしたが、スタビライザー使用中のプレートの緩みやズレを軽減してくれます。現場のクリエイターの意見が細かく反映されている印象を受け嬉しかったです。

クイックリリースプレートには調整式配置ガイドが搭載されている

そして、従来のスタビライザーよりも滑らかに撮影できるようになったと感じました。これはモータートルクが20%強化されたことが影響していると思われますが、激しく動いても滑らかさがキープされる印象で安心感が増しています。

最後に、これは前モデルのRS 3シリーズから搭載されている機能にはなりますが、自動軸ロック機能です。やはりこの機能は便利です。僕は普段ビデオグラファースタイルで活動しているのですが、ロケーションを移動している途中にいい光を見つけて撮影するなんてこともあり、「撮影したい!」と思った時にカメラ側が準備できていないと撮影機会を逃すことも間々あるわけです。そういった瞬間を逃さないためにも、電源ボタンを押すだけでロックとロック解除が自動で、かつ数秒で行われるのはスピード感のある撮影現場ではかなり重宝します。

便利な自動軸ロック機能

そして、今回試すことができなかったのですがカメラとBluetooth接続をして、ジョイスティックでPZレンズのパワーズームや全画素超解像ズームができる機能はワンオペでの撮影バリエーションを増やしてくれるいいアップデートだと感じました。

ジョイスティックでPZレンズのパワーズームや全画素超解像ズームができる機能も

縦横切り替え時のネジの締め忘れに注意

新しい機能として搭載された縦向き撮影ネイティブ対応は、ボタンとネジで素早く切り替えることができるのが魅力的です。しかし、慣れもあると思いますが今回の作品制作中にネジを締めるのを忘れてカメラが落下しかけることがありました。カチャっとはめて、さらにネジを締めるという若干2ステップくらいあるので忘れずに気をつけたいところです。加えて、ネイティブ対応と謳いつつも縦横で切り替えた際は、再度バランス調整は必須なので注意が必要です。

ネジ締めを忘れずに

DJI RS 4 Proは誰におすすめ?

DJIの最新スタビライザーDJI RS 4 Proについて所感を述べてきましたが、全体的にはマイナーアップデートをした印象です。前モデルからの大幅な変更点はないにせよ、機材の選択肢が増えたことはよいことだと思います。“映像をやっている人”と一言で言っても、趣味か仕事かでも違いますし、その中でも各々のスタイルがあり、そこに合う機材を選ぶことが重要です。今回は縦向き撮影にネイティブ対応したことで令和時代のニュースタンダードになり、綺麗でダイナミックな縦型動画がもっと身近になると感じました。

最後に、この製品は横動画と縦動画を頻繁に切り替えて撮影する方や、シネマカメラなどのある程度重量のあるカメラや、シネマレンズなどのマニュアルフォーカスのレンズを使用して拡張性を求めたい方に丁度いいと思います。正直なところ、RS 3 Proが自動軸ロック機能を搭載した段階でスタビライザーとしては十分な機能を備えていると思っています。

そして、今回試すことはできませんでしたが、新しく発表されたDJI Focus Pro LiDARやFocus Proモーター、DJI Focus Pro ハンドユニットなどのスタビライザーを拡張できるアタッチメントを使用することで、よりプロフェッショナルな撮影ができるのでそちらも合わせてチェックしてみてください。

ビデオグラファーのY2OGAHARUによるユニット。YouTubeの更新や作品の制作などを行なっている。YouTubeでは機材紹介や撮影対決などのコンテンツを発信中。

YouTube●https://bit.ly/shikisai_yt