手のひらサイズの超コンパクトジンバル Osmo PocketをYouTuber/ ブロガー的な視点で試す


DJIから登場したコンパクトジンバル・Osmo Pocketを沖縄での撮影のお供に持ち出して、ビデオブログ風にレビューしてみた。気になるGoPro HERO 7 Blackとの比較も織り交ぜつつ、レポートしていきたい。

テスト・文●金泉太一(Cross Effects)撮影協力●ネギシヨシミツ

 

◉筆者の金泉さんの動画レビュー

 

DJI / Osmo Pocket 44,900円

ドローンやジンバルでお馴染みのDJIから発売されたポケットサイズの小型ジンバル。最大4K/60p撮影に対応し、1080/120fpsのスローモーション撮影にも対応する他、モーションタイムラプス、パノラマ写真等の撮影が可能になっている。

SPEC●撮像素子:1/2.3型CMOSセンサー/有効画素:12M/画角:80°/開放F値:F2.0(固定)/ISO(動画):100〜3200/シャッター速度:(電子)8〜1/8000秒/動画解像度(4K):3860×2160/24/30/60p/最大ビットレート:100Mbps/動画フォーマット:MP4/MOV(H.264)/バッテリー持続時間:140分/外形寸法:121.9×36.8×28.6mm/重量:116g

 

 

ここまでコンパクトになったかと驚くばかりのジンバル

まずは率直に、いよいよジンバルもここまで小さくなったかと驚くばかりのコンパクトなカメラ一体型筐体。DJIが初期のOsmoを2015年に発表した際も大きな衝撃が走ったが、あれからわずか3年でここまでの進化である。そのサイズ感はまさに手のひらサイズ。もはや将来的にこれ以上コンパクトさを売りにすることは可能なのだろうかと思わせるほどのサイズである。

Osmo Pocketはプロ用映像機材というよりは、どちらかというとコンシューマー寄りの商品であることから、今回は映像を生業としている人目線よりも一般的な視点を考慮しながら色々と考察してみた。今回レビューのお話を頂いたタイミングで沖縄でのイベント撮影が入っていたので、出張のお供にOsmo Pocketを連れていくことにした。

 

コネクタをつなぐだけでアプリが立ち上がるのは便利

空港でカメラを設定する際、まず初めに驚いたのが、アプリとの連携だ。これまではWi-FiやBluetoothでスマホとコネクトするイメージがあり、「まずはWi-Fiを設定して…」とセッティングの間に撮りたい一瞬を捉えられないこともあったが、Osmo Pocketはスマホに付属の接続端子にドッキングするだけで自動的にアプリ(DJI Mimo)が立ち上がり、撮影モードに入ってくれる。

しかしこのドッキング、いささかスマホとの接続部の堅牢性に若干の不安を感じる。もちろんOsmo Pocketとスマホを両手でホールドすれば大丈夫ではあるだろうが、スマホを持たず、Pocketの筐体のみをグリップしてアクティブに撮影するのは少々気を付けたほうがいいかもしれない。接続が外れるリスクはありそうだが、アクセサリーによってこの不安はカバーできそうだ。

また付属のスマホとの接続端子はLightningとUSB-Cの2種あり、iPhoneやAndroidで使い分けられるのだが、専用の端子となっているので、紛失した際の懸念も感じられた。いかんせんPocketという名のコンパクトさゆえ、こういったパーツ類ももちろん極小である。

標準付属のケースだと接続端子やNDフィルター等のパーツ収納のスペースがないので、しっかり管理しないとうっかり紛失なんてことは多々起こりそうな予感が..。

 

【単体でも撮影可能】


▲本体に備えられた液晶で映像のモニタリングができる他、画面を上下左右にスワイプすると、それぞれ別のメニューが表示される。

 

【記録はmicroSD】


▲記録メディアはmicroSD。グリップ底面には充電用のUSB-C端子を備える。

 

【付属の端子とスマホをつなぐだけでアプリが立ち上がり、すぐに撮影に入れる】


▲撮影用アプリはDJI Mimoという専用アプリ。付属のコネクターはiPhone用のライトニング端子とAndroid用のUSB-C端子。スマホを接続するだけでアプリが起動し、撮影に入れる。

 

バッテリー持続時間には難がある

空港で保安検査をくぐりぬけ、荷物が身軽になった段階でOsmo Pocketを取り出し、色々とカットを撮りためようと試みた。しかし思った以上に手続きに時間がかかってしまい、出発まであまり時間がなく、数カット撮って、あとは沖縄についてから撮ろうということに。

今まではビデオブログやメイキング映像を制作する場合は、やはり一眼などでコンパクトに機動力を活かしで撮影していくスタイルだったが、Osmo Pocketがあるおかげで、たくさんの荷物に囲まれていてもスっと取り出してすぐに滑らかな撮影ができる。もはやコンシューマー用途ならば三脚やスライダーも不要で、見る人を飽きさせないダイナミックな画を撮影できる。

そして沖縄に到着し、ビデオブロガー風に「沖縄につきました!」と撮影をしていると、既にバッテリー不足の警告が表示されていることに気づいた。8:00頃に羽田で少し撮影し、沖縄に着いたらすでにバッテリーが瀕死状態。

もちろんメーカーのスペック情報で確認はしていたが、さすがにここまで実稼働でバッテリーライフが短いと、いくら手軽なポケットスタイルとはいえ、「Osmo Pocket with Mobile Battery」という、結局ポケットには入らない、むしろ煩わしいというコンセプト矛盾が生じてしまった。このあたりの携帯性に関しては、むしろバッテリー交換のできるGoPro HERO7 Blackに軍配があがりそうな気もする

Osmo Pocketが充電タイプではなく、バッテリー交換型だったらこの問題も生じないのだろう。 Osmo Pocketのアクセサリーには別売の充電ケースがあるので、そちらの付随購入を強くお勧めしたい。

 

【沖縄に到着するも早速バッテリー不足の警告が…】


▲Osmo Pocketのバッテリーは内蔵式で交換できない。グリップ下にモバイルバッテリーから給電できるUSB-C端子を備えている。ただ、ケーブルが煩わしく、欲を言えばバッテリー交換が可能な仕様にして欲しかった。

 

被写体を自動追尾するアクティブトラック

沖縄に到着してすぐにトライしたのはアクティブトラック機能での撮影だ。これに関しては映像制作者の目線で見ても大変優れた便利な機能だと驚いた。ドローンやスマホ用のOsmo Mobileには搭載されていた機能だが、このコンパクトなジンバルでこの機能が使えるとなると、自動追尾+様々なカメラワークの融合で、コンシューマーの作る映像もかなり表現が変わるだろうと感じた。

ジンバルが普及したことによって、スライダーなどの2D的なカメラワークからオブジェクトを3Dで捉える概念を生んだわけだが、これが意外と難しかったりする。

例えば三分割法の構図で右端にオブジェクトをキープして回転カメラワークに挑戦。しかし不慣れな方だといつの間にかオブジェクトが画面中央に、なんてこともよくある。これは自分の回転歩行ルートへの意識、それからもちろんモニターに映るオブジェクトの位置への意識、またルートや位置だけではなく、スピードの意識などもあることから注意散漫になり、難しさのハードルがあがっている。

Osmo Pocketの場合は、アプリがトラッキングをし、カメラが自動的に追従してくれるので、気軽に高精度で撮影ができるのだ。ただ、トラッキングの際、被写体の前に他オブジェクトが入りこむと、トラッキング自体は一瞬外れてしまうことが多かった。再び戻って追尾する確率も高かったが、一瞬カメラがグッと他オブジェクトに釣られるモーションをしてしまうので、これはオートトラッキングのデメリットと言えるだろう。

 

【アクティブトラックを活用したカメラワークは表現の幅を広げてくれる】


▲アクティブトラックはアプリ上で追尾したい被写体をドラッグして指定するだけで設定できる。被写体を手動で追尾しながらの移動撮影は難しいものだが、これならば一般のコンシューマーでも本格的なジンバルワークを楽しめそうだ。

 

三脚がなくても高品質なタイムラプスが撮れる

タイムラプスに関しては写真クオリティで構成するので、手軽に驚きのクオリティが撮影できた。ナイトラプスを撮影しようと思ったのだが、検証時はイベント終わりで三脚を持っておらず、長時間露光を必要とするナイトラプスはハンドヘルドでは、さすがに不可能かなと思っていた。しかしジンバルの安定性もあり、三脚を使わずとも何かしらで補助ができれば手持ちでもある程度長時間露光撮影が可能なことがわかった。

欠点があるとすれば、あまりにもコンパクトな筐体で、レンズが軽量なため、強風の場合はカメラ部分があおられてしまうという点だ。

 

【三脚なしで夜間のタイムラプスも可能】


▲夜間のタイムラプスのテスト。三脚なしで試してみたのだが、写真のように手すりなどに固定するだけでも、揺れのないタイムラプスが撮影できる。

 

【GoProと比べてみると、画角は意外と狭い】


▲Osmo Pocketの画角は80°(35mm判換算では約26mm前後)。GoProはスペック情報を公開していないが、並べて見てみるとこれだけ画角が異なる。

 

【砂浜を歩いてGoPro HERO7 Blackと手ブレ性能を比較】


▲デコボコした砂浜を歩いて、手ブレ補正に定評のあるGoPro HERO7と比較した。ジンバルと電子式手ブレ補正では性質が異なるため、一概には優劣はつけがたいが、ロール軸の揺れではジンバルが有利だと感じた。

テストを終えて

今回短い期間だったが、Osmo Pocketを使用してみて、長所短所ははっきりと見えてきた。やはり旅行や子供、ペットなどの動画撮影といったファミリービデオ、またはビデオブロガー的な使用がしっくりくるわけだが、GoProとも比べてみて、セルフィーしつつも周りの風景も撮影するには80°の画角(35mm判換算で約26mm)は物足りなかったし、スムーズな移動ショットが欲しければ、Osmo Pocketに軍配があがるだろう。

だが、個人的にはアクティブトラックとタイムラプスに関してはとても感動し、ロケ現場などでも活躍するシーンを作れるかもしれないと感じた。例えばウェディングなどの現場であれば、撮って出し映像の素材としては役立つアイテムの一つとなりえるのかなとも感じた。

一眼で押さえている間に、タイムラプスを仕掛けたり、アクティブトラックで新郎新婦の入場のシーンなどをリモートで押さえることもできるかもしれない。

今後Osmo Pocketが画角、音声、バッテリー問題などを改善できれば、より一層ブロガーやYouTuber、Instagramerなどからの熱い支持を得られるのではないだろうか。

 

 

●Osmo Pocketの製品情報

https://www.dji.com/jp/osmo-pocket