DJIから2月20日の22時に発表、発売されましたカメラ用(スマホの搭載も可能)小型、軽量ジンバルスタビライザー「DJI RS 4 Mini」を紹介していきます。Ronin-S の登場から全てのRoninシリーズを使ってきた私(ジンバルマニア)が「DJI RS 4 Mini」の魅力と特徴、そして実際の使用感についてお伝えしていきます。
レビュー●岩本あきら
プロから一般コンテンツクリエイター向けへ

小型、軽量モデルとして最初に登場した前モデルの RS 3 Mini が2023年1月10日発売だったので、約2年の歳月を経てモデルチェンジしてきました。
DJIのカメラ用ジンバルRSシリーズの中でMiniモデルの位置付けは、モーターパワーはしっかり保ちつつも、できるだけ幅広いカメラ、レンズの対応、積載量、そして小型、軽量を目指して作られたモデルです。
他社では、ZHIYUNのCRANE M3シリーズがとても人気だったりとコンテンツクリエイター向けのジンバルも各メーカー力を入れ始めてきました。
最大の特徴、進化ポイント
上位モデルから受け継がれた機能、Mini独自の機能と前モデルのRS 3 Mini から大幅に改善が図られた!
・オートロック(自動開閉)
・人物トラッキング(アクティブトラック)
・新カラー
・モード切り替えスイッチ
・プレート微調整ノブ
・より簡単になった縦動画対応
・テフロン加工
オートロック(自動開閉機能)

RS 3 / RS 3 Pro から搭載されたオートロック機能。前モデルのRS 3 Mini には非搭載だったので、この機能が欲しかった人も多いはず!
そんな中で物理的に付けられるのか?と私は思っていましたが、なんと新しいMini モデルの「RS 4 Mini」に搭載してきました!
オートロックの役割としては、電源ON、OFF時(スリープモード時も設定で可能)の自動開閉になります。最初にこの機能を見た時には本当に驚きました!
しかも、この機能はDJI独自の機能で、他社のジンバルには備わっていない唯一の機能になっています!
オートロック機能の便利さは、実際使ってみると誰でもわかるかと思いますが、いちいち全ての軸のロックを解除して、展開するのも面倒ですし、素早く撮影体制に入れないのも現場でもたつく原因にもなっていました。
わずか数十秒の手間かもしれませんが、撮影現場では大きなメリットをもたらしてくれます。
DJI RS スマートトラッキングモジュール

他社のジンバルには搭載されていた小型カメラを利用したAI人物トラッキング機能(モジュール)がMiniモデルとして搭載してきました。
もともとDJIのジンバルは、上位モデルで使えるDJI Ronin 映像トランスミッター(RavenEye)を使って、人物のトラッキングはもちろん、建物や物にもトラッキングができる機能が備わっていました。
そのトラッキングシステムをより簡単に人物に絞って登場したのが「RS スマートトラッキングモジュール」です。
ジェスチャー操作でトラッキングを開始/停止できるのと、録画の開始/停止もできるようになっています。また、被写体にカメラを向けてトリガー一回押しでも撮影者側からトラッキングの開始/停止ができるようになっています。
更に、構図の調整も可能になっていて、他社のジンバルでは中央にしかトラッキングができないものがありましたが、そこもしっかり考えて被写体の位置も自由に選べるように作られています。
グレーとシルバーを基調としたデザイン

ジンバルといえば黒のイメージが強いかと思いますが、ここ最近ではスマホ用であったり、小型ジンバルで黒ではないモデルも多く見られるようになってきました。
DJIも今回のDJI RS 4 Mini では、色を変えてきました。結構好き嫌いに分かれると思いますが、個人的には好きですが、目立つのが嫌だという方もいるので、賛否あるかもしれません。
上位モデルと同様の操作性 モード切り替えスイッチの追加
RS 3 Miniのモード切り替えは、Mボタンでの切り替えでしたが、上位モデルと同様、タッチ画面の右側面にジンバルモードスイッチが搭載されました。

こちらは慣れかと思いますが、使っていくとスイッチ型の方が便利な場面もあり、撮影中に素早くモードが切り替えられるのもとても便利です。
また、左側面にもジョイスティックモードスイッチが備わり、SONYのパワーズーム、超解像ズームへの切り替えとジンバルのジョイスティック操作への切り替えが可能になりました。
ズームへの切り替えは、対応機種のみなので、基本的に私の場合はジョイスティック側にしています。ジョイスティックの操作ができなくなった!と思ったら、ここのスイッチがズーム側になっているかと思うので、確認してみてください。
プレート微調整ノブの追加

こちらも上位モデルから降りてきた機構で、ジンバルの前後のバランスを取る時に便利なギアを使った微調整ノブも追加してくれました!
本当に前後のバランスは、細かい調整が必要で、とても使いやすくなりました。
縦動画への切り替えがより簡単に!

昨今、縦動画の需要が高まり、TikTok、Instagram、ショート動画など、縦動画を撮る方も増えてきていて、縦、横の切り替えも簡単であることが求められています。
前モデルのRS 3 Miniの縦への切り替えは、非常に面倒で、アームを外すなど、縦型にするのが億劫になっていました。

今回のRS 4 Miniの場合は、ノブを緩めて、そのノブを押し込むことで、プレートの土台部分ごと外れて、そのまま縦に切り替えることができるようになっているので、多少切り替え作業は軽減されましたが、スマホのように自動切り替えになってくれると更に使いやすくなるのかなと思います。
地味だけど、テフロン加工が嬉しい!
こちらも上位モデルから受け継がれた加工で、フライパンではよく認知されていると思いますが、プレートやアーム部分にテフロン加工がされています。
特に、バランス調整時の滑らかさの部分と傷防止にも役立つので、地味に嬉しい追加です。
セットの内容、付属品について

今回ご紹介している内容はコンボになります。コンボをベースにお伝えすると通常盤(コンボなし)には、トラッキングモジュール、ブリーフケースハンドルがなくなります。クリエイターコンボには、コンボのセットに加えて、スマートフォンホルダーが追加される形になります。必要に応じてお選びください。
個人的にはブリーフケースハンドルは使わないので、通常盤+別売りのDJI RS スマートトラッキングモジュールにする方が良かったかな?って思いました。
また、別売りのDJI RS スマートトラッキングモジュールは、上位モデルのRS 4/RS 4 Pro に装着できるアダプターマウントが入っているので、上位モデルお持ちの方は、別売りのモジュールを買う方が賢い買い方かもしれません。
人物の追従に関しては、DJI Ronin 映像トランスミッター(RavenEye)よりも認識精度が優れているのでおすすめです!
搭載可能なカメラ、レンズについて
対応カメラについては、DJIの互換性ガイドにありますが、私が使っているニコンのカメラでお話すると、Z8までは載せることができました。但し、ケージ付きでは物理的に難しかったのと大きい、1kg超えの重いレンズは厳しいです。

DJIが目指しているところは、比較的小型のカメラで標準の大三元レンズまでが搭載できるようにしている感じかと思います。モーターパワーの負荷を考えると大きめのカメラ、レンズで使用する方は、上位モデルを選んだ方が良いかと思います。
どんな人におすすめか?
ジンバルは、正直小難しい機材かと思います。特に初めての方は初期の設定からバランス取りといったハードルも高く感じるかもしれません。良かったら解説動画を出しているので、こちらを参考にしてみてください。
今回の RS 4 Mini は上記にもありました通り、初心者にも使いやすい仕上がりになっているかと思います。上位モデルと同様の使いやすさに加え、小型、軽量なのでジンバルの中でも取り回しの良いジンバルです。
今回特にトラッキングモジュールが追加されたことにより、人物の撮影が非常にしやすくなっているので、ポートレートムービーの撮影からお子さんの成長記録など、トラッキングさえできればジンバル任せで撮影も可能です。
また、縦動画にも比較的簡単に切り替えられるようになったので、縦動画配信者の方にもおすすめのジンバルかと思います。
使ってみて気になったところ
一番気になったのが、クイックリリースプレートの作りが複雑なので、私も最初、カメラを載せようと思った時は分かりませんでした。
カメラの横幅に対して、3段階に調整ができるようになっていて、幅の狭いカメラはしっかり奥までプレートを差し込むことができますが、幅の広いカメラは固定する位置のバランスが悪そうなのでロールのブレに影響が出るのでは?と思います。

また、プレートもRS 4 Mini 独自規格の専用プレートになっていて、重心も高く、上位機種のRS 4、RS 4 Pro のプレート規格にも合っていない為、SmallRig、TILTAなどのケージ、ベースプレートにも合わないので困りました。
この点については、対策品をSmallRig、FALCAMなど、RS 4 Mini の規格に合わせた製品を発表しているので、解決できそうです。

もう一点、重要な問題がプレートも影響しているのか?ロールブレが目立つことです。実際私も検証してみましたが、結構目立ちます。RS 3 Mini を使った時には感じなかったブレが出ているので、現状のファームウェアがまだセッティングが煮詰まっていないのか?しばらく観察していこうと思います。
人物撮影が中心で、精度はそこまで要求していない方には、問題は少ないかもしれませんが、都市景観を中心に撮る私にとっては致命的問題なので、改善して欲しいところです。
次のモデルに期待すること
新型が登場して、こんな事を言うのはおこがましいかもしれませんが、トラッキングモジュールは良いですが、人物以外にも対応して欲しいところ。特に私は都市景観を撮ることが多いので、建物や看板など、トラッキングする被写体を自由に選べるようになると更に使いやすくなると思います。
上位機種のRS 4/RS 4 Pro では、DJI Ronin 映像トランスミッター(RavenEye)を使えば、好きな被写体をトラッキングすることができるので、同じようにモジュールでできるようになると嬉しいですよね。

あとはジンバルの三脚ですが、ここはまだ進化が見られないですが、重たいジンバルを置いたり、持ったりする時に3本の足を開閉しないといけないのが地味に面倒で、FALCAMのジンバル用クイックオープン卓上三脚のような作りの一度に開く三脚の作りになってくれると嬉しいです。
まとめ
前モデルの正常進化版として登場した「DJI RS 4 Mini」。軽量、コンパクトで更に使いやすく便利に使えるジンバルに仕上がりました。プレート部分は気になりましたが、解決できるアイテムも発売予定なので良かったです。
レビュー動画も公開していますので、良かったらこちらも参考にしてみてください。
現状のファームウェアは、まだ煮詰まっていない感じがあるので、素直におすすめとは言えないですが、全体としての仕上がりの良さには満足しています。
上位モデルの安定性には及ばないものの、重さの問題は大きいので、カメラとジンバルのグリップの距離が近い方が、腕への負担は圧倒的に違うので、小型のカメラ専用(Z50IIなど)で今後も使っていこうと思っています。
ジンバルの最新情報は、私のYouTubeチャンネルに公開していきますので、気になる方は合わせて今後もチェックしてみてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
岩本あきら

愛知県名古屋市出身。奈良県在住。
自分探しの旅にアメリカ ロサンゼルスへ。様々なシンクロから帰国後「映像クリエイターになる!」と決め、WEBクリエイターから映像クリエイターに転身。合わせてYouTubeでの発信を開始!流れに身を任せ、Z50 を手にした瞬間、ニコン Zに運命を感じ、Zシリーズを使って映像制作(PR動画、PV、ポートレートムービーなど)を行なっています。ジンバルを使った映像を得意とし、YouTubeでの発信、機材レビューなども行なっています。
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