オーロラ撮影の第一人者で数々のネイチャー番組を手がけている写真家であり映像作家の田中雅美さんに、Leofotoの新しいビデオヘッドFH-10をご自身がよく使う機材の組み合わせで試していただいた。

レポート:田中雅美
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自然と動物撮影のジャンルで、静止画と動画の両方を手がける自然写真家・映像カメラマン。NHKやBS-TBSのオーロラ撮影番組を担当し、日経新聞、フジサンケイグループで作品を公開している。
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協力:レオフォトジャパン

ビデオヘッドFH-10
ボール径Ø75mm
重量1.7kg
耐荷重域2〜8kg
カウンターバランス8段階
ドラッグ数3段階およびフリー
チルト角度+90度〜ー70度
温度範囲ー30°C〜+60°C
プレートアルカスイス規格互換(PLA130D付属)
希望小売価格89,760円(税込)

LM-363C カーボンシステム三脚
全伸長1,350mm
収納高595mm
段数3段
最低高95mm
対応ハーフボールØ75mm
耐荷重35kg
重量1,850g
付属品六角レンチ、専用キャリーバッグ、スパイク石突、ハーフボールアダプター
希望小売価格104,500円(税込)

あえて重い機材で検証 

今回、Leofotoから登場した本格的なビデオヘッド FH-10とLM-363Cを組み合わせてフィールドテストを行なってみました。動画、静止画ともに撮影する筆者ですが、使用する雲台は基本的にビデオ用のものしか使用していません。ふだんからLeofotoの雲台をメインで使うことが多く、今回新しく登場した雲台、FH-10には期待していました。

まず三脚のセレクトで迷いました。カメラはREDのV-RAPTOR 8K VV、レンズはシグマの60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sportsで、バッテリーも含めると10kgを超えるという、かなりの重さになります。ただフィールドではこの写真の組み合わせで撮ることも多く、今回バランスと携帯性でLM-363Cをチョイスしました。

 どちらかと言うと余裕ではなく、この組み合わせで本当に大丈夫なのかと思わせるバランスです。ただ、筆者の撮影対象は生き物や自然現象が多く、できる限り素早く移動することを考えて機材を選定しているところがあります。筆者のスタイルでは「大は小を兼ねなく」 、「小に大を兼ねさせる」というまったくもって相反する考えです。

使用した組み合わせ

REDのV-RAPTOR 8K VVとシグマの高倍率望遠ズームの組み合わせで、新ビデオヘッドFH-10とLM-363Cに載せてみた。

締め付けは確実か?

FH-10は軽量さは期待通りでしたが、問題は各部分の機構で、特に締め付けを重要視します。油圧云々はそれほど気にしません。油圧の動作でカメラを動かす部分は撮影者のスキルも要求されるからで、それはどこのメーカーを使っても同じ結果が出ることが多いからです。

締め付けですが、ベースがアルカスイス規格のプレートになっていますが、これが少々問題になります。微妙に規格ズレのプレート等が市場にあるので、すべてのプレートがきちんとしっかり取りつくことはまずないからです。そこでロックねじ側でどこまで微調整ができ、なおかつ信頼するロック性能が得られるかやってみました。

プレートに合わせてベストな閉まり具合を調整できました。この部分は移動する時にカメラの落下につながるので一番注意して確認します。

チルトレバーとカウンターバランス操作

チルトレバーは自然に左手が添えられる位置にあり、見なくても感覚的に手がそこに行きます。カウンターバランスを最大にして10kgを超える機材を乗せて今回は撮影しました。無謀と言われると思いますが、それでもバランスを取ることができ、フリーの状態から瞬時にカメラを振ることができました。

三脚は耐えられるか?

次に三脚です。水平出しはこのLM-363C三脚の場合、ハーフボールØ75mmに雲台を乗せます。この部分は締め付け精度は高く、しっかりと止めることができました。10kgを超える機材が乗ってもロックが甘くなることは一度もありませんでした。

三脚LM-363Cは付属のハーフボールによりFH-10を乗せる

LM-363Cの場合、水平出しは付属のハーフボールØ75mmに雲台を乗せる。


ミラーレス一眼であれば余裕

今回のヘビーな機材の搭載で、ある意味冒険に近い部分がありましたが、あえてその環境で、三脚も含めてこのFH-10というビデオ雲台のテストを行いました。扱い方が激しくなれば当然不安定になり動作に影響することも出ましたが、たとえば搭載機材をミラーレス一眼に600mm程度のズームレンズを付けた場合だとすると、この雲台と三脚のシステムであれば、余裕のパフォーマンスを見せてくれます。業務用の雲台ということではなく、アマチュア、ハイアマチュアの人がどのような機材を乗せても使い方次第では、ほとんどの撮影に使えて素晴らしい作品が撮れると感じる雲台だと思います。

本格ビデオヘッドFH-10の使い勝手はどうか?

プレートはアルカスイス規格。ベストな締まり具合を調整できた。
プレートを雲台から取り外すレバー。不用意な落下防止のロックは分かりやすく、ワンタッチに近い動作。
パンのドラッグ変更ダイヤル。カメラを振りながらダイヤルを動かすような変則的なことは避けたほうがよい。
チルトレバーは自然に左手が添えられる位置にある。見なくても手がそこに行く感覚が良かった。
カウンターバランスダイヤル。今回はマックスにしてバランスがとることがき、カメラを振ることができた。



●VIDEO SALON 2024年9月号より転載