シビアなカメラポジション、画角調整が求められる撮影現場で絶大な支持を受けているアイテムがある。今回はLeofotoのギアテクノロジー製品をピックアップ!

レポート:竹本宗一郎(ZERO CORPORATION)
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暗闇から光を取り出して魅せる日本で唯一のナイトカメラマン。世界各地の夜の絶景をフィールドに
ネイチャードキュメンタリー番組やCMなどの特殊撮影を数多く手掛ける。
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協力:レオフォトジャパン

香港にほど近い中山市に本社を置くLeofoto は、スチル用三脚メーカーとして2014 年に誕生した中国ブランド。現地工場は多くのマシニングセンターを導入しアルミ部材からの削り出し加工による高精度で素早い商品展開が注目されている。近年は映像用の製品にも注力。国内ではワイドトレード(https://widetrade.jp/leofoto/)が総代理店として製品の販売・保守サービス(並行輸入品は対象外)を行なっている。

マクロフォーカシングプレート「MP-180S」にギア雲台「G2」を組み合わせた例。レールによる前後方向の微動に加えギア雲台が画角の繊細な微調整を担う。すべての製品はアルカスイス互換の接続に対応するので、複数のギアアイテムを組み合わせることも簡単。目的に応じた自由度の高い撮影環境を構築できるのも大きな魅力。

「GC-282AL」は、三脚への設置スタイルを変えることで様々な撮影に対応する便利なアイテム。ポール先端にギア雲台を組み合わせると、傾斜をつけてカメラの高さを変えてもポールの伸縮とギア雲台での仰角調整で真俯瞰を簡単に維持できる。ポールの繰り出し部分にはギアハンドルのフリクション調整用ダイヤルを搭載。バランスウエイトを吊るせるポールエンドのフックは取り外し可能なので、ネジ穴を使い三脚に垂直接続もできる。


ギアによる高精度な位置

たとえばスタジオでの商品撮影。mm単位、0.1度単位の高い位置決め精度が要求される現場で、繊細なカメラポジションや画角の微調整を実現するアイテム、それがギアユニットを搭載した各種微動装置だ。

ギアユニットを組み込んだ製品ラインナップの拡充を図ってきたLeofotoが展開するギアアイテムの主なカテゴリーはヘッド、レール、ポールの3種類。どの製品もCNCマシニングセンタによる高い加工精度や組み立て品質により、ライトタッチで滑らかな操作感を実現。それらを目的に応じて使い分け、また組み合わせることで、撮影機材の位置決め精度を高めながら自由度の高い撮影環境を構築することができる隠れた人気アイテムだ。

ギア雲台

Leofotoでは、強度、耐摩耗性に優れたリン青銅製の小型ウォームギアを組み込んだ複数のギア雲台をラインナップ。写真用の3Way雲台スタイルを踏襲する「GW-01」はチルト、パン、スウィングの3軸すべてにギア機構を搭載したオールラウンドな一台。各軸に回転式の微動ノブとクラッチ機構の粗動ノブを搭載し、素早く正確な構図の微調整に対応する。マンフロットのギア付きジュニア雲台410と似たコンセプトだが、動きの滑らかさとバックラッシュの少なさは全くの別モノ。

自由雲台に似たスタイルの「G3」、「G4」はチルト、パン、スウィングのうちチルト軸とスウィング軸にギア機構を組み込み、微動と粗動の両操作に対応したギア雲台。

円柱状の「G2」と「G20」は直交配置の2軸にギア機構のゴニオステージを組み込んだ特殊な微動雲台だ。フリーのパンニングベースと合わせて3軸構造となっている。ゴニオステージの各軸はスイング動作による傾斜調整(G2は±10度、G20は±15度の範囲)ができ、正確無比な水平出しはもちろん精度の高い画角の微調整を実現する。

ゴニオステージの回転半径はG2が100mm、G20が87mmなので、一般的なミラーレス一眼であればイメージセンサー付近に回転軸の中心がくる。片方の軸を自分と被写体を結ぶ一直線上に配置すると光軸や被写体までの距離を保ちながら画角の微動調整が可能だ。いずれのギア雲台もアルカスイス規格のプレートに対応する。

充実したギア雲台ラインナップ

Leofotoは7種類のギア雲台をラインナップ。「G3」と「G4」および「G2」と「G20」は大きさや耐荷重性能が異なるが同じ機構をもつ製品。G4にパン軸にギア機構を搭載した「GR-2」を搭載したものが「G4 Pro」。写真用の3Wayスタイルを踏襲するのは「GW-01」。


ギア雲台の可動軸の違い

雲台内に回転軸をもつ「G3」「G4」に対して、ゴニオステージを組み込んだ「G2」「G20」は空中に回転中心がある。ともに3軸のうち2軸がギア駆動に対応するが、軸の動き方が全く異なる構造のため、使い方や用途にそれぞれ特徴がある製品だ。

ビデオヘッドと組み合わせて

各種ギアアイテムはビデオヘッドと組み合わせることで、さらに自由度の高い位置決め環境を構築できる。ビデオヘッドで大まかな位置決めをしてからギア雲台で微調整を行う場合に便利。



ギアセンターポール

「GC-282AL」はラック・ピニオン式の伸縮ポールに仰角・水平調整が可能なパンニングベースを組み合わせたユニークな製品。ギアのフリクション調整機能があり、ハンドル操作で最大640mmまでポールを伸長できるマルチファンクショナルアームだ。ポール先端にギア雲台「G3」を組み合わせれば、商品撮影では定番の真俯瞰アングルも位置や高さを変えながら素早く正確にセッティングできる。

また三脚に垂直設置するとカメラを上下移動できるエレベーターとしても機能。ビデオヘッドと組み合わせれば、ちょっとしたクレーンショットの撮影も可能だ。

マクロフォーカシングプレート

アルカスイス規格の180mmロングプレートにギア機構を組み込んだ「MP-180S」は、正確な位置決め調整が必要なマクロレンズを使ったクローズアップ撮影では欠かせない、いわゆるフォーカシングレールだ。360度の水平回転に対応するクランプステージはプレート方向に関係なくカメラを搭載でき、ハンドル1回転につき1.25mmの比率でレール上を最大125mm移動させることができる。2台のMP-180Sを十字に組み合わせればX-Yの微動装置としても機能。

シビアなカメラポジションや位置決め調整が求められる撮影現場で絶大な支持を受けているLeofotoのギアテクノロジー製品。アイデア次第で普段の撮影でも様々な使い方ができる非常に便利なアイテム群だ。

パノラマ映像撮影用リグの例

2台のG2を可動式センターポールシステム「HC-32KIT」に搭載したパノラマ映像撮影用リグの例。2軸のゴニオステージにより光軸を大きくズラすことなく画角調整が可能。レンズ交換時も2台のカメラの画角を素早く微調整できる。




VIDEO SALON 2024年5月号より転載