3軸のフォローとロックの組み合わせで
理想の撮影道具へとさらに進化する
◎(記事下にRonin-Sに関する操作法追加記事あり)
ステディカム等に比べて、電動式ジンバルは各軸の制御次第で撮り方のバリエーションが変化する。ここでは撮影の狙いと、それに合わせたオススメモードとそのカメラワークを紹介したい。
解説:栁下隆之 モデル:浅賀夏希
Gimbal shooting 01:パン軸(左右)のみ追従
背景のアングルを固定したまま横移動の撮影
背景をダイナミックに入れ、人物を正確にフォロー。チルト軸を背景の建物に合わせて固定し、人物の動きをフォローしながら移動撮影。背景が安定して人物の動きに視線を集中させることができた。
Gimbal shooting 02:チルト軸(上下)のみ追従
左右の空間を固定したまま上下の動きを撮れる
三脚のように完全に止まった画はジンバルの苦手分野だが、撮り方次第では三脚を使ったようなショットも可能。建物を中心に入れてやや望遠の画角でチルトアップ。左右のブレがなく安定したチルトショットが撮れた。
Gimbal shooting 03:ロール軸(回転)のみロック
一連の流れをノーカットで追える
2軸の追従で被写体を立体的な動線で撮影。階段の下りでチルト、階段を下りきる辺りからチルト+パンでフォローしつつ、最後はパン軸で動線方向を意識した構図にし動きを自然に見せている。
Gimbal shooting 04:全ての軸をロック
縦の移動でまっすぐ引っ張る画が狙える
背景の左右バランスを崩さずに撮り続けたい状況で、持ち手の動きにジンバルが反応すると画面が左右に振れてしまう。3軸の動きを無効にすることで、綺麗な直線移動撮影ができる。
Gimbal shooting 05:全ての軸で追従
全軸が追従するので自由自在な視点で追える
日常の視線から外すことで、その違和感を逆手に取った映像を撮ることもできる。ロール軸をも変化させた自由な構図は、斬新で視聴側を引きつける魅力がある。変化は大胆に、かつ水平位置の構図も入れて撮影したい。
番外編:縦置きできるカメラプレートと組み合わせて縦撮りに挑戦
話題の縦撮りもジンバルを使えば一段階上のクオリティに
最近、縦位置動画はよく見かけるが、移動撮影は珍しいかと思う。今回組み合わせたクイックシューが縦横切替タイプだったので、半ば思いつきでテストしてみたが、狭い路地では想像以上の自然な移動感で、アリだなという印象だった。
◉RRS「BGH5-L Set」25,500円
●この記事はビデオSALON 2018年8月号 より転載。他にも充実した記事が盛りだくさん!詳しくはこちらから。
<追記レポート>◎実機が出回ってきて、さらに注目の高まるRonin-S
8月号特集制作時点ではRonin-Sはまだ発売前だったため、実践講座はPILOTFLYのAdventurerを使ってジンバルの活用例をご紹介した。
Adventurerではシューティング法の1~5がプリセットされていて、MODEボタンを押すだけで5種類の活用ができる。Ronin-Sでは、実際の設定操作はまた少し違うので、追加レポートしたい。
ダウンロード必須の『DJI Ronin』アプリ
Ronin-Sの実力は、『DJI Ronin』アプリを活用して初めて発揮される。Ronin-Sの取説には最後のほうに少し触れているだけだが、「このアプリを入れないことにはRonin-Sは本当のチカラを1割も出していません」(Y.D.S. 八島氏)
記事P.26にも書いたが、カメラを搭載してあらかたのバランスをとった後、アプリの自動チューニング機能で最終的に追い込む。つまり、Ronin-Sを使う上で、アプリは必須。(「ronin」で検索すれば『DJI Ronin』アプリが出てくる(無料)) 下述の設定のほか、動きのスピードや感度はじめ、実にいろいろな制御がスマホで行なえるので、Ronin-Sは必ずアプリと組み合わせて使いこなしたい。
操作部上にある「1」「2」「3」の3つに好きなチューニングを割り当てられる。
◎オールフォロー:デフォルトで「1」に・パン軸・ティルト軸・ロール軸の3軸フォロー状態が設定されている(記事のGimbal shooting 05)
◎オールロック:前面にあるトリガー(オレンジの矢印)を押している間はオールロック状態(記事のGimbal shooting 04)
握り手でトリガーを押してロック状態に。
◎他のフォロー/ロック設定:アプリを使って「2」「3」に設定したい状態をプリセット(オールフォロー、オールロック等も同様にプリセットできる)
Roninアプリ画面「Configuration」→
→「SmoothTrack」
→
SmoothTrack でパン、チルト、ロール、それぞれの設定ができる(左上にあるSmoothTrackボタンをON(緑色状態)にすると該当の軸(Pan/Tilt/Roll)が追従状態になる。画面下部の図も参考に)ので、パン軸追従(記事のGimbal shooting 01)、チルト軸追従(記事のGimbal shooting 02)など、動かしたい内容を設定し、思うような動作を行なえる。同じ設定画面で、スピードや感度などの設定も可能。ほか、Ronin-SではRoll360モードや、トリガー3回押しのセルフィ仕様などのモードもある。
《DJI Ronin S | 基本操作方法》
コチラを参照