ポケットに入る8KVRカメラ~KANDAO QooCam 8Kが登場! 中国・北京での発表会を緊急レポート


Report 染瀬直人

中国・深圳のVRカメラメーカーKANDAOが、11月7日、北京市内のザ・グレート・ウォール・ホテル(北京長城飯店)にて、コンシューマー向けVRカメラの新製品QooCam 8Kを発表した。筆者は発表会と、それに先立っておこなわれた少数の海外インフルエンサーを対象にした詳細な説明会に招待されたので、そこで知り得た情報を併せてレポートする。

コンシューマー向けとしては初の8K対応VRカメラ

QooCam 8Kは、コンシューマー向けVRカメラとしては、世界初の8K動画収録を実現する画期的な製品であった。その他、多くの点において、“Beyond the Max”のキャッチコピー通り、ライバル機を凌駕するスペックになっている。1年3ヶ月ほど前に発売された初代の360/180のコンビネーション型とは異なり、前後に魚眼レンズが2つ配置された360度カメラである。

加えてVlogモードが用意されており、全天球撮影モードから切り替えて、ボデイに配置されたタッチスクリーンから任意のフレーミングを指定して撮影することができる。VRのみならず、この一台で用途により使い分けができることから、幅広いユーザーに受け入れられる可能性があるだろう。

▲各解像度の違いを解説する図

 

VR映像の場合は、4Kで撮影したとしても、VRゴーグルで視聴する際には、実際に見ている領域は全体の1/4程度となってしまう。予てから、VR動画では高解像度化が望まれており、昨年あたりから、コンシューマー向け製品でもGoPro Fusionや、Insta360 ONE Xのように、6K近い動画サイズのものが発売されていた。8Kとなれば、前モデルの4Kの4倍、5.6Kの2倍ものサイズが達成されることになる。つまり、同社のハイエンドモデルであるObsidian Rと同等の動画の解像度が、片手で収まるポケットサイズの筐体から得られるという訳だ。

▲KANDAO社CEOのDan Chen氏

 

8K/30p、10bit収録が可能。4K 最大960pのAIスローモーションも

QooCam 8Kでは、動画(360度)の場合は、8K(7680 3840)30fps 10bit、4K(3840 1920)30fps、60fps、最大で120fps 10bitの収録が可能となった。同社の独自の技術であるAIスローモーションを利用すれば、960fpsのスーパースローモーションが生成できる。動画コーデックは、H.264とH.265、最大ビットレートは200Mbpsである。KANDAOのCEOのDan Chen氏によれば、将来的には、Apple ProResのサポートも検討しているという。

静止画(360度)のサイズは、8K(7680 3840)、JPEGと12bit DNG(RAW)が同時に記録できる。KANDAOの独自技術であるリアルタイムRAW+モードでは、高速で撮影した複数枚のDNG画像を、カメラ内で合成することにより、16bitのHDR効果のDNG画像を出力することが可能だ。今回、KANDAOは、その処理速度を70倍に向上させ、画質は実質8倍相当の有効センサーサイズに匹敵、低照度の場面においても、APS-C機レベルの画質を実現したと謳っている。

大きさ、重さなどは今のところ、公開されていないようだが、THETA Z1よりは若干、大きめの印象だ。筐体の材質は、金属製である。

 

 

1/1.7型CMOSセンサーを搭載

レンズの視野角は200°、絞りはf2.0。イメージセンサーは、1/1.7インチの裏面照射型CMOSセンサーが採用され、有効センサー領域が前機より246%拡大した。出力画素数は20MP(2000万画素)となり、ダイナミックレンジが拡大、SN比が上がったことにより、ノイズが抑制される。

 

タッチスクリーンを備え、その場で映像をプレビューできる

従来のコンシューマー用360度カメラでは、スマートフォンと通信して、設定や操作、プレビューをおこなっていた。QooCam 8Kでは、ボディに2.4インチのタッチスクリーンが搭載され、映像の確認から、シャッタースピード、ISOなどのパラメーターの操作まで、本体のみで完結できるインターフェースとなっている。先に発売されたGoPro MAXもタッチスクリーンが採用されているが、QooCam 8Kでは、MAXとは異なり、プレビューの際に、画面上を指でスワイプすることで、視点の方向を動かしたり、プロジェクションを変化させることができる。

 

内蔵マイクはモノラル収録

▲内蔵マイク

マイクは2つ実装されているが、1つは上部に、もう1つはノイズキャンセル用に内部に配置されているので、実質はモノラル録音となる。実はQooCam 8Kは、発熱対策として内部にファンを搭載しており、側面に排熱用の通気孔が設けられているので、ノイズキャンセルは、この対応のためと思われる。ボディの右側面には、3.5mmのステレオミニプラグ端子が付いており、外部マイクを接続して高品質の録音をすることが可能だ。Vlogの収録を前提に、外部マイクを取り付けるためのマウントも装着できるようになっている。

▲外部マイク端子とUSB-C端子。

 

 

撮影データの転送には有線も使用できる

▲撮影データのスマホへの転送の模様

Wi-Fiは2.4GHz/5GHzをサポートしているが、右側面にUSB Type-Cポートが備わっているので、有線でスマホと接続して、データの転送を素早く確実に行うことができるのは心強い。電池は3600mAhのリチウムポリマーのバッテリーが内蔵され、40分程度の録画が可能になっている。USB Type-Cポートから、USB-PD(USB Power Delivery) 2.0の急速充電と、撮影中の給電ができる。ボディ正面左のQボタンからは、8K静止画、8K動画 、4K動画 、 4Kスローモーション、Vlogなど、各撮影モードの切り替えがおこなえる。お気に入りの設定はプリセットとして保存しておくことができる。

▲Qボタン。

 

カメラ内部には、内蔵の64GBのストレージが実装されているが、マイクロSDカード用のスロットもボデイの左側面に用意されて、最大256GBが使用できる。Chen氏によれば、将来的には、外付けのSSDへ記録する対応も検討しているという。

▲microSDカードスロット。

アクセサリー

オプションのアクセサリーとしては、レンズの周囲に着脱可能な保護・防滴用の円周状レンズプロテクターが取り付けられる。NDフィルターなども、装着できるように開発しているという。落下の衝撃防止や、8K収録によって高温になった際に素手で保持できるように、ボデイの外周部を取り巻くシリコン製のプロテクターも用意されている。筆者が駆動中のプロトタイプ機を持ってみた限りでは、発熱は感じたものの、ハイエンド機ほどではなかったが、この辺りは実機が届いた際に追って検証していきたい。プロテクターは黒色以外に、今後カラフルなバリエーションのリリースも想定されているという。

その他、アクセサリーには、ダイビングケース、Vlog収録用のマイク、スマートフォン用のホルダー付き自撮り棒などがラインナップされている。

▲オプションのレンズプロテクター。
▲落下時の衝撃防止や高温になった際に手持ちで使えるプロテクター。
▲防水のダイビングケース。
▲その他、自撮り棒型スタンドやVlog収録用のマイクなどもラインナップ。

 

手ブレ補正について

また、Insta360のArashi Visionを始めとして、深圳のVRカメラメーカーは、ジンバル要らずの強力な手ブレ低減性能に定評がある。QooCam 8Kにおいても、6軸ジャイロスコープ、内蔵のIMUセンサーとKANDAO独自のアルゴリズムからなるスーパーステディと呼ばれるスタビライズ機能が健在だ。ドローンに搭載した際も、威力を発揮することだろう。

 

無償アプリや編集ツールも提供

QooCamの専用アプリからは、もちろんWi-Fiによるリモート撮影が可能。撮影後にトリミングや画像調整をおこなったり、全天球映像から4Kの平面のビデオとして、視点や視野角をリフレームして、書き出すことも可能だ。初心者向けの「スマートクリップ」のテンプレートを利用すれば、様々なユニークなエフェクトを施した作品を、手軽につくることができる。編集後は、その場でコンテンツを素早くSNSなどのプラットフォームに投稿できる。また、「8K Express edit」と称して、8Kの全天球映像であっても、プロキシファイルを利用することにより、PCを使用せずに、有線で接続したスマホ内で編集作業がおこなえるフローが用意されている。バッチ編集や、AIスローモーションなどの高度な編集をおこなう際には、PCから無償の編集ツール「QooCam Studio」(Win / Mac)を使用することになる。

 

プロ版でライブ配信やGPS機能が強化

▲今後、プロ版では5G用のイーサネットポートにも対応

 

▲プロ版では、Googleストリートビュー用にGPSを内蔵予定。

QooCam 8Kは、FacebookやYouTubeなどへ、スマホからPCを介さずに、4Kの360度ライブ配信をサポートしている。今後、時期は未定ながら、より高機能で高価格のQooCam 8K Pro(プロ版)が発売される予定となっており、こちらはGoogleストリートビュー対応用にGPSを内蔵。5G対応のイーサネットポートが配備され、世界最小のカメラ内ステッチによる8K VRライブ配信が実現できる仕様となっている。

 

 

QooCam 8Kは、11月7日の発表と同時に先行予約が開始されており、出荷は12月下旬頃の見込み。価格は¥67,100で、12月11日までの予約には、専用自撮り棒が付き、初代QooCamを購入済みの場合は、代わりに30ドルの割引の対象となる。

 

 

●製品情報

https://www.kandaovr.com/product/qoocam-8k/