わずかな振動が作品の品質に直結する望遠撮影。今回はワンランク上の安定感を実現するLeofotoのロングレンズサポートシステムをピックアップ!
レポート:竹本宗一郎(ZERO CORPORATION)
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暗闇から光を取り出して魅せる日本で唯一のナイトカメラマン。世界各地の夜の絶景をフィールドに
ネイチャードキュメンタリー番組やCMなどの特殊撮影を数多く手掛ける。
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協力:レオフォトジャパン
香港にほど近い中山市に本社を置くLeofoto は、スチル用三脚メーカーとして2014 年に誕生した中国ブランド。現地工場は多くのマシニングセンターを導入しアルミ部材からの削り出し加工による高精度で素早い商品展開が注目されている。近年は映像用の製品にも注力。国内ではワイドトレード(https://widetrade.jp/leofoto/)が総代理店として製品の販売・保守サービス(並行輸入品は対象外)を行なっている。
「VR-220KIT」と「VR-380KIT」はサイドロードに対応するマンフロット規格のプレートだがザハトラー(FSB、aktivシリーズなど)に対応するタッチアンドゴーが付属する。アルカスイス互換なら「VR-400KIT」と「VR-250KIT」。それぞれの数字はプレートの長さを表している。
PG-3/VR-150S
▲ニコンZ 180-600mm f/5.6-6.3 VRをつけたZ 8との組み合わせ
VR-250KIT
▲ニコンZ 180-600mm f/5.6-6.3 VRをつけたZ 8との組み合わせ
カメラ側の台座部に3関節・2伸縮のフレキシブル機構の採用で汎用性の高さが魅力。レンズの支持パーツはプレート上を移動でき六角レンチで高さ調整が可能。レンズはレール上の支持パーツに自重で載っている状態なので扱いには充分注意したい。別売のDDC-38を使うことにより三脚座も固定することができ、3か所保持による安定した撮影が可能。
▲レンズ支持パーツ
▲フレキシブル機構カメラ台座
望遠撮影の振動問題
動物、スポーツ、乗物など望遠レンズでの撮影が必須のシチュエーションは少なくない。写真と違い時間軸の表現が加わる映像では、常にカメラマンが機材に触れて操作し続けるため、わずかな揺れが映像の品質に直結する。望遠レンズには大型で重い三脚&ヘッドを使うのがセオリーだが、フィールドや海外など持ち運べる機材が限られるロケでは、理想と現実のギャップに悩まされるもの。
ロングレンズサポート
スチル用の望遠レンズを使う場合は三脚座を介してビデオヘッドに搭載するのが一般的だが、三脚座のレンズフット長は10cm前後と短いため前後のバランスを合わせきれないことも。また1点止めでは前後方向のたわみの影響を受けやすい。
マウントにかかる負荷を軽減し、レンズ操作時のたわみやがたつきを抑制するアクセサリーが「レンズサポート」だ。ムービーカメラではロッドで組んだリグに追加するスタイルが主流だが、より手軽なスチルカメラ用のものも見逃せない。
Leofoto「ロングレンズサポート」のラインアップで注目したいのは、長いプレートの前後で機材を支えるデュアルピボット式のVRシリーズ。レンズの支持パーツはプレート上を移動でき、高さ調整が可能。プレートの規格や長さ、カメラとの接続方法の違いによって種類があるが、いずれも操作時のブレやしなりを抑制、振動の収まりも良くなる望遠撮影必須のアイテムだ。
三脚座固定ではフォーカスリングに触れただけでも画面の揺れが避けられないが、ロングレンズサポートを装着すると前後方向のたわみがほぼ感じられなくなる。実際の撮影では望遠レンズのフォーカスリング付近を指先で軽く下側に押さえつけるようなポジションをとり続けることで驚くほど安定した映像が得られるので試してみてほしい。
固定台座VR-150シリーズ
台座方向を変更可能なVR-150LSとVR-150S
カメラ台座にアルカスイス互換のクランプを採用した「VR-150LS」と「VR-150S」。台座の方向を付け替えられるので(ネジロック剤で固定されているので取り外し時は要注意)ボディにLブラケットを付けたまま接続できる。台座部が下に出っ張っていないのでジンバル雲台との組み合わせに最適。ショートタイプのVR-150Sはマクロ撮影にも効果的だ。
▲ニコンZ MC 105mm f/2.8 VR S とVR-150S
ジンバル雲台
別なアプローチとしては「ジンバル雲台」も選択肢のひとつ。吊り下げ式のアームで振動を抑えながら中型三脚での超望遠レンズ運用をサポートする。カウンターバランスが不要で搭載機材の完全バランスが可能、レンズをどの方向に傾けてもフリークランプを実現する特殊な雲台だ。
Leofotoのジンバル雲台「PGシリーズ」は、重量1〜1.3キロと軽量で海外ロケにも気軽にプラスワンできる。肉抜き加工で軽量化した「PG-1」 、折り畳み式で可搬性に優れた「PG-2」 、カーボン製で剛性の高い「PG-3」など特徴的なラインアップが揃っている。フルードヘッドではないのでカメラワークには制限があるものの撮影機材の静止性は抜群、ここぞというシーンでは心強い存在だ。ロングレンズサポートと組み合わせれば前後のバランスを確実にとることができる。
中型三脚で望遠レンズを使う場合は、脚を伸ばさずに機材を搭載することで揺れや振動の影響を最小限にできる。撮影機材の剛性を高めるレンズサポートシステムと、高い静止性が得られるジンバル雲台。Leofotoにはまだまだ知られていないアイテムが隠れていそうだ。
ジンバル雲台PGシリーズ
肉抜き加工で軽量化した「PG-1」、折り畳み式でコンパクト収納の「PG-2」、カーボン製で剛性の高い「PG-3」と目的別のラインアップが揃う。耐荷重性能はともに25kg。パッキングを考慮するなら折り畳み式の「PG-2」がオススメだ。2段重ねの弁当箱程度の付属ケースにすべて収まる超コンパクト設計ながら剛性は充分。
▲PG-2は超コンパクト収納が可能。
雲台用プレート
ジンバル雲台に円の左右を切り落としたような形をした雲台用プレート「P-PG1」を組み合わせればアルカスイス互換のハーフボールへの脱着がスピーディーに行える。プレートはイモネジ付きで緩みを防ぐ安心設計。
ロングレンズサポートを使った<ショルダー式3軸ジンバルシステム
ニコンZ 9、Z 20mm f/1.8 SとDJI RS2を組み合わせたカスタム例。DJIの3軸ジンバルをショルダーリグで運用できるシステムだ。特別な改造をすることなくLeofotoのロングレンズサポートが異なる機材を繋いでくれる。3関節・2伸縮のフレキシブル機構はこうしたカスタマイズにも向いている。
●VIDEO SALON 2024年4月号より転載