「Mini C-Pan Arm」と「WING 7」、2つの独創的な小型スライダーを用いたレビュー映像


「Mini C-Pan Arm」と「WING 7」、2つの独創的な小型スライダーを比較してみました

レポート◎工藤雄司 YujiKudo.com

(字幕機能を入れると、どちらで撮影したカットなのかが表示されます)

7月21日に発売された9.Solutionsの新製品「Mini C-Pan Arm」を見て、すぐ連想したのがエーデルクローン(edelkrone)の「WING」シリーズ。比較レビューを見てみたいという願望をSNSで発信したところ、ビデオサロンさんよりメーカーからデモ機を借りるので、比較してみないかという提案をいただき、短い期間でしたが同時に使用することができました。私は普段はエーデルクローンの、シリーズ最軽量「WING 3」を使っていますが、今回は代理店のテイクさんよりお借りすることができた「WING 7」を用いました。

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それぞれを実際に使ってみた率直な感想を書き出してみます。

 

①「Mini C-Pan Arm」の強み(裏を返せば「WING 7」の弱み)

◆比較的「Mini C-Pan Arm」で撮ったカットが多くなりました。「WING 3」を持っていて、後述する「WING 3」だけのレビュー映像もすでに存在するため、同シリーズの「WING 7」よりも「Mini C-Pan Arm」を多めに試したい、という心理が働きました。それに加え、スライダーはやはり移動距離の長さに敵うものはないのか、「WING 7」より20cm長い「60cm」の直線移動ができる「Mini C-Pan Arm」の方が「移動ショットの面白み」という点で惹かれるものがあり、自然と採用率が高くなってしまった感もあります。

◆「WING」シリーズにはなく、「Mini C-Pan Arm」にあるのが曲線移動。特に内向き(∪)移動は新鮮で、撮っていて創造力を大いに刺激される部分がありました。

 

②「WING 7」の強み(裏を返せば「Mini C-Pan Arm」の弱み)

◆可搬性(運搬のしやすさ)では圧倒的に「WING 7」に分がありました。プラスアルファの機材として追加でバッグに忍ばせておくのなら、外観形状を見ての通り「WING」有利です。「Mini C-Pan Arm」の実物を初めて箱から出したときの印象としては、「WING」が念頭にあったこともあり、正直「思いのほかコンパクトではないな」という感想でした。

さらに「撮影中の可搬性」では、「Mini C-Pan Arm」のみならず「WING 3」をも引き離し、「WING 7」が3つの中で圧倒的好印象です。「WING 3」にはなく、「WING 7」にはある「ロック機能(SAFETY LOCK)」が、シンプルな仕組みながらしっかりと固定してくれて、とても便利でした。

「Mini C-Pan Arm」は「トルク調整ノブ」を締めても固定力が弱く、カメラが載った状態では意図せず動いてしまうため、ちょっとした移動でもかなり気を使います。

「WING 3」も同様で、ドラッグ調整部分(FRICTION ADJUSTMENT)を締めることがイコール「ロック」したことになりますが、固定力は弱いです。「WING 3」にも7と同じロック機能を付ければ良かったのに、と思います。

 

③「WING 7」と「WING 3」の比較

◆今回の動画には直接関係ありませんが、前項の「ロック機能の有無」に加え、「WING 3」を使っている身から「WING 7」を使った感想としては、「WING 7」の方が安定した映像が撮れる、と感じました。やはり、耐荷重に余裕がある点が貢献していると思います。もちろん、その分、「WING 3」ユーザーとして初めて「WING 7」を触った瞬間は「デカい」という感想でしたが…(笑)

 

④「Mini C-Pan Arm」「WING 7」共通の弱み

◆私は普段は昔ながらの直線レールスライダーも使っていますが、「動き始め」と「最後の止め」にブレのない高い精度(「止め」のクオリティ)を求めようとすると、レールスライダーには適いません。「Mini C-Pan Arm」「WING 7」ではある程度の研究と練習が必要ですし、その上で、現場でも何テイクか、繰り返しトライする必要を感じます。簡単にその精度を上げるには、移動距離目一杯を使おうとしない、という方法がありますが、元から移動距離が短いコンパクト機材なので、何とも釈然としないところがあります…(笑)

◆今回、建物内部を撮っているシーンで案外苦労したのが「両端での水平」です。レールスライダーに比べ、どうも両端に近づくほど水平軸が僅かにカーブする気がします。移動距離が長い分、「Mini C-Pan Arm」の方がより顕著に感じました。構造上、カメラの荷重バランス的に仕方ない面があるかもしれません。屋外など、水平がシビアではない被写体、アングルについては気になりませんでした。
最後に言い訳です。

今回、機材をお借りできる期間が約一週間で、8月らしからぬ、連日、梅雨のような天候でした。返却直前にわずかに太陽が出て、映像後半には少し登場しますが、多くは雨模様です。それはそれで味わいはあるかもしれませんが、予めご了承下さい。

また、スケジュール/ロケーション/天候などが絡み、撮影にあてられる時間が限られていたため、主観用アクションカムや自撮り客観用カメラの採用、必要最低限の素材を揃えることなどを優先し、セッティングの変更に時間を要する「縦の動き」は諦めました。想像する限り、「止め」のクオリティにおいては非常に難しそうですが、次の機会にはぜひ試してみたいと思っています。

※以前「WING 3」購入直後にアップしたレビュー映像(Edelkrone WING 3 Slider / Dolly – Field Review in Japan)もありますので、ご関心のある方はご覧いただけたら幸いです。

https://youtu.be/NPoI6MJMtSY

vsw