NHKは8K番組「“原爆の絵”は語る」のプレス向け試写会とインタラクティブ8Kビューアー“原爆の絵”の体験会を7月20日に開催した。

1945年8月6日、広島に落とされた原子爆弾の惨禍を生き抜いた被爆者たちが、後世に伝えるために自らの体験を「原爆の絵」として描き残していた。NHK広島局が昭和49年から募集してきたもので、現在およそ4200枚が広島平和記念資料館に所蔵されているが、劣化が激しく、展示されているのはごくわずかにすぎない。原爆投下の瞬間から3日間は写真や映像もほとんど残っておらず、生存者の絵と言葉が被爆の実態を伝える貴重な証言記録になる。今回、8Kのスーパーハイビジョンの超高精細カメラで細部まで忠実に撮影し、そこに書かれた文章を朗読しながら、時系列に沿って再構成することで、被爆直後の壮絶な3日間を追体験するようにたどっていくという番組。ナビゲーターは波瑠さんと東出昌大さん。NHK総合でも8KからHDに落として、8月6日に放送される。

チーフプロデューサーを務めた大久保幸治さん(NHK広島局 制作統括)は、

「これまでもNHK広島局では原爆の絵に関する番組を作ってきたが、今回8Kで再挑戦することになった。8Kの臨場感をいかすために、手記をベースに余分な説明は入れずに3日間を時系列で追っていくことで、現代の人を、その場所と時間に連れていきたいと思った。絵の筆致までわかる8Kなので、その状況がより生々しく伝わって来る。撮影ではズームを使わずにフィックスにこだわった。また、音響でもその場の空気感を再現するように細心の注意を払って音響設計をした」という。

また、ナレーションを務めた女優の波瑠さんは、

「この話をいただいたときに、広島には縁がなくそれほど原爆の実態に詳しいわけではない私が選ばれたのはどうしてだろうと思ったが、おそらく私のような人が多数なわけで、そういう人たちが見て、知ろうとするきっけにになればいい」と話した。また、原爆の絵につけられた文章の朗読は、不自然にならないようにある程度距離をおくように読んだという。

また、8Kスーパーハイビジョンによる撮影とは別に、この原爆の絵およそ4200枚すべてを超高精細カメラで撮影。作品1点1点を部分撮影したデータをつなぎ合わせて、ほとんどの作品が8Kの4倍以上の情報量をもつデジタル画像としてのアーカイブを作成。本物を肉眼で見るよりも細かな描写が可能になった。描かれた場面の日時、場所などをメタデータとして埋め込み、広島の3Dマップ上に日時、場所情報とリンクさせて描くことのできる「インタラクティブ8Kビューアー」を開発した。

このビューアーは手元のタブレット端末で、検索、選択、拡大縮小などの操作が可能で、それが8Kモニターにインタラクティブに表示できるシステム。

 

◉番組の放送は8月6日(日)午後1:05-1:48  総合テレビ

スーパーハイビジョン試験放送:7月31日〜8月2日、4日〜9日、11日〜16日 午後1:00ー1:43

“原爆の絵”は語る~ヒロシマ 被爆直後の3日間~

https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/92919/2919590/index.html

◉インタラクティブ8Kビューアーは、8月1日〜16日、広島平和祈念資料館で、8K番組「“原爆の絵”が語る広島(10分)」とともに展示を行う。