ファームウェアVer.3.00とみんな気になるリモートグリップMC-N10〜Nikon Z 9の進化が止まらない


発売から10カ月が過ぎ、4月には8K RAW動画撮影機能が追加されたニコンZ 9だが、早くもVer3.00のファームウェアが公開され、スチルと動画共に大幅なメジャーアップデートが施された。今回はその中でも動画撮影で使えそうな機能を紹介する。また開発発表以来まだかまだかと気になっていたリモートグリップ「MC-N10」もひと足お先に試させてもらった。

レポート●井上卓郎(Happy Dayz Productions)

 

ハイレゾズームを使った動画作例

 

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すべてのレンズがパワーズームになる魔法の機能を搭載!

ハイレゾズームは、ズームレンズにはない開放値F1.2などの明るいレンズやオールドレンズまでもズームレンズに変えてしまう。フォーカスリングを手で回すよりもスムーズなズーミングができるので、ある意味すべてのレンズをパワーズームレンズにしてしまう魔法の機能と言えるだろう。単焦点でしか味わうことのできない被写界深度の浅さをズームで使えるのはとても魅力だ。また、望遠レンズの場合、テレコンバーターを使うことなく画質の劣化もなしで焦点距離を伸ばすこともできる。さらには、24-70mm F2.8のような標準ズームレンズも24-140mmという高倍率ズームになり、実用的なズーム領域を1本のレンズでカバーできるようになる。

ハイレゾズーム使用時の注意点としては RAW 動画は撮影ができず、ProRes 422 HQ、H.265、H.264 での録画になる。解像度はDCI 4K/30p までとなり、8K 撮影はできない。また、電子手ブレ補正は使えない。そして、AF モードはワイドエリア AF(L)になるが、人物や乗り物などの被写体認識は使用できる。

 

最新のファームウェアVer3.00動画的に注目のポイントはココ!

▶︎物理フォーマット
RAW動画の撮影や、スチルの高速連写はCFexpressカードに速い書き込み速度が要求されるが、撮影を繰り返すうちに不要なゴミが溜まり、録画が途中で停止してしまうことがある。クイックフォーマットとは違い、完全にデータを削除し、メディアのクリーンアップができる。私の中では結構重要なアップデートだ。

▶︎タイムコードの同期
複数のZ 9を使ったマルチカム収録の場合、ワイヤレスリモコンを使い、まとめてタイムコードのリセットができる。またBluetooth 経由でタイムコードを同期させるUltraSync Blueを使えば、対応した他のカメラやレコーダーとのタイムコード同期ができる。

▶︎高周波フリッカー低減
LED照明などが発する高周波フリッカーを低減してくれる。

▶︎ハイレゾズーム
今回の目玉機能。Z 9は8K動画が撮影できる約4000万画素のセンサーを搭載しているが、4K動画撮影時に8Kの撮影範囲をクロップすることで最大2倍までのズーミングができる。今までも1.5倍に拡大できるDXクロップ機能があったが、ハイレゾズームを使えば最大で2倍まで無段階ズームが可能だ。作例はNIKKOR Z 14-24mm f/2.8 Sの24mm側で使用したもの。

 

【操作方法】マルチセレクターの◀ ▶、ファンクションボタン、 レンズのコントロールリングに割り振ることができる(レンズのFnリングに割り当てられる)。ハイレゾズームのON・OFFをiメニューに登録しておくと便利だ。

 

Z 9に装着できるすべてのレンズがパワーズームレンズになる。

 

Z 9ファームウェアVer3.00のダウンロード先

 

 

動画撮影を快適にしてくれるリモートグリップ

今年の4月に開発発表され、他社ユーザーも羨むほどに大きな反響を呼んだリモートグリップMC-N10。ジンバルやリグ、三脚などと組み合わせることで撮影スタイルの幅が大きく広がる。Z 9はもちろんZ 6Ⅱ、Z 7ⅡなどZマウントを採用するミラーレスカメラに対応するとのこと。カメラ本体のアップデート以外にも、撮影をより快適にしてくれるアイテムを増やしてくれるのはとてもうれしい。ニコンの動画に対する本気度をヒシヒシと感じる製品だ。

 

撮影スタイルを拡張するリモートグリップ MC-N10

ニコン MC-N10
69,630円


ニコン Z マウントを採用したミラーレスカメラに対応のリモートグリップ。今回のようにジンバルであったり、三脚のパン棒に取り付けることもでき、幅広い動画用途に応えてくれる。

 

マルチグリップMC-N10の製品情報

 

▶︎ジンバルに装着
ジンバルのグリップに装着した状態。左手でジンバル、右手ではグリップでカメラをコントロールできる。従来はカメラ設定を変える際に都度カメラを操作する必要があったが、手を離さずに露出やAF、メニュー設定などほとんどの機能にアクセスできるのはかなり便利だ。

 

▶︎リグを組んで運用
ファンクションキーFn1とFn2にハイレゾズームを割り当てれば、中指と薬指でズーム操作ができる。筆者は手持ち撮影時は上記のようなRun & Gunスタイルで撮影することが多いが、MC-N10は手を離さずコントロールできるので重宝しそうだ。

 

▶︎カメラ本体と同様の操作ができる
Z 9のグリップと似た形状でとても握りやすい。上部コマンドダイヤルはクリック感はなく適度な粘りがあり、露出やシャッター速度が調整しやすい。クリック音が出ないためマイクで音を拾わず動画撮影向きだ。実際に手に取るとわかるが質感がとても良い。

マルチグリップMC-N10の製品情報

 

vsw