Oseeから登場した8chスイッチャーGoStream Duet 8 ISO。128,888円 (税込)という価格ながら4K HDMI/3G-SDI、NDI HX3、SRT、RTMP、UVC(USB3.0)、ビデオプレイバックなど最大8つの映像入力に加えXLRでの音声入力に対応する。前回Osee GoStream Duet Kitをレビューしてくれた秋葉原ベストセラースタジオの鳥居さんにこの製品の魅力を解説してもらった。

レポート●秋葉原ベストセラースタジオ鳥居

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ライブ配信の現場に手軽さと多機能性をもたらしたOsse社の「GoStream」。その登場は、多くの映像クリエイターに「オールインワン」という新たな選択肢を提示してくれました。





今回レビューするGoStream Duet 8 ISOは、GoStream Duetシリーズの「進化版」です。過去の機体のコンセプトを継承しつつ、現場のニーズを汲み取って大幅にパワーアップしたこのスイッチャーは、本格的な配信環境を目指す配信中級者にとって、最高のソリューションとなる可能性を秘めています。

8系統同時入力が拓く新たな可能性

以前のGoStream Duetでは、HDMIとSDIの排他4入力でした。しかし、GoStream Duet 8 ISOは、SDI入力4系統とHDMI入力4系統を同時に使用可能となり、合計8系統の映像入力に対応しています。






GoStream Duet シリーズで「SDI or HDMIから排他4入力」+「動画プレイヤー/UVC/NDI から2入力」と最大6chだった入力が、「SDI 4入力」+「HDMI/動画プレイヤー/UVC/NDI から4入力」または「HDMI 4入力」+「SDI/動画プレイヤー/UVC/NDI から4入力」と最大8入力の選択式になりました。



※ 本機能拡張は Ver. 2.0 へのアップデートが必要です




これは単に入力数が増えただけでなく、ワークフローの自由度を格段に高めるものです。例えば、4台のカメラをSDIで接続し、さらにプレゼン資料やリモート参加者の映像をHDMIで4系統取り込むといった、より複雑なマルチカメラ配信が可能になります。小規模な音楽ライブやトークセッション、さらには企業イベントなど、様々な現場でその真価を発揮するでしょう。



待望の入出力端子の拡張

映像入力の強化に加え、音声と映像の出力も大きく改善されています。まず、音声入力には待望のXLR端子が追加されました。音響ミキサーからの直接入力もより容易になりました。また、ファンタム電源供給が必要なコンデンサーマイクにも対応しています。よりクリアで高音質な音声収録・配信が手軽に行えます。

※ 音声入力はマイク入力のみに対応





映像出力も、GoStream DuetのHDMI出力2系統から、HDMI出力2系統+SDI出力1系統へと増強されました。メインの配信映像をSDIから出力しつつ、HDMIでスクリーン用に別の出力を送る、といったセットアップにも対応できます。



本体底面に空冷を標準搭載

ATEM Extremeなど小型のスイッチャーで問題になる排熱ですが、GoStream Duet 8 ISOでは底面に大型ファンが標準搭載されています。排気は側面からとなります。





動作の安定感も向上しています。試用中にも挙動は安定しており、長時間の運用にも耐えられるよう設計がされています。ISO収録(個別同時記録、後述)と配信エンコードの同時稼働ではさすがに負荷が大きいようで、同時2〜3配信となるとそれなりに熱くなりましたが、それでも安定した動作をみせていました。



ISO収録機能




各入力映像を個別に記録するISO収録は、編集の自由度を飛躍的に高める非常に重要な機能です。ライブ配信中にスイッチャーで切り替えた映像とは別に、後から各カメラの素材を個別に取り出して再編集することが可能になります。バックアップの録画としてはもちろん、配信後のアーカイブ制作、別のコンテンツへの二次利用の際にとても助かる機能です。

ISO収録は本体に接続した外部SSDに収録します。H.264で比較的抑えられたビットレートで収録されるため、長尺での収録にも向いています。ATEM〜DaVinci Desolveの連携のようにスイッチング編集データは保存されませんが、PGMも同時に記録されるため、アーカイブの再編集素材としても問題なく運用できるでしょう。



大幅に改修された合成、マルチソース機能

スイッチャーの機能面としてKeyer・SuperSouce機能ですが、こちらは大幅にアップデートされ、ほぼATEMと同じ感覚で使用することができるようになりました。サイズや位置など自由に数値を設定可能です(最大拡大倍率は100%まで)。





また今回追加されたMulti Sorce(マルチソース)機能ではレイアウトの自由度も上がり、さらに映像も最大4つ入れることができます。シーン・マクロでの保存も可能なので、すぐに読み込みが可能です。マルチソースで背景+映像ソースの5レイヤー、KeyerとDSKとの組み合わせで最大8レイヤーでの画面構成が可能になりました。より複雑なレイアウトにも対応可能になっています。






他にもマクロ/シーンの物理ボタンの拡張やマルチビューのワンタッチ切り替えなど、細かい機能の改良も多く見られます。





その他気になった点

PCアプリについては現在(2025年8月)のバージョンでは未対応の部分があるため、一部設定の操作は本体から行う必要があります。ソフトウェア機能としてはまだ改善の余地が見られます。現時点で BitFocus Companion 用の対応プラグインを公開しているので、PCを経由しての外部コントローラーでの操作は可能です(要:StreamDeck)。



まとめ:GoStream Duet 8 ISOは、どこまで進化を遂げたか

GoStream Duet 8 ISOは、ただのモデルチェンジではありません。8系統の同時入力、XLR音声入力、そしてSDI出力といったプロフェッショナルな現場が求める機能を備え、小さな筐体にこれでもかと機能を詰め込み、前作のコンセプトをそのままに正当な進化を遂げた、「より本格的なスイッチャー」になっています。ワンランク上の映像制作を目指しているなら、このGoStream Duet 8 ISOは、まさにその第一歩となる可能性を秘めた機材です。





先日スタジオで開催した体験会では、実際の配信現場でGoStream Duet 8 ISOを活用されている駿河由知さん(株式会社スタートライン 代表取締役)をお迎えし、運用事例と特徴についてお話いただきました。参加した方々からも、すぐに現場投入できる機材だと声をいただいたり、可能性を感じるスイッチャーだと盛り上がりを見せました。廉価なスイッチャーとはとても思えない多様な機能・安定感と、迷ったらこれを選んでおけば間違いない機材のひとつだと言えます。

弊社スタジオでは、このような機材を扱ったセミナーを不定期で開催しています。機会があればぜひご参加ください!



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