DJI Osmo Action 5 ProとGoPro HERO13 Blackほぼ同時期に発売されたアクションカメラ。どちらを購入しようか迷っている方もいるかもしれない。ビデオグラファーの河原崎 平さんが様々なシチュエーションに両機を持ち出し、比較検証してくれた。実際の結果はどうだったのか…?
レポート◉河原崎 平
2021年より東京から沖縄へ移住。Web制作会社にUIデザイナーとして勤務する傍ら、個人でもビデオグラファーとして活動しています。
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今年の9月、アクションカメラ業界を引っ張るGoProシリーズとOsmo Actionシリーズの最新モデルがほぼ同時期に発表されました。毎年のようにアップデートを重ね進化を続けているこの2機種について、今回はスペックや使用感の比較をしていきたいと思います。記事の後半には両者の特長と比較表もまとめたので、ぜひご覧ください。
外観
まずは外観についてです。
Osmo Action 5 Proのサイズは幅70.5 × 高さ44.2 × 奥行き32.8 (mm)の重さ146g、GoPro HERO13が幅71.8 × 高さ50.8 × 奥行き33.6 (mm)の重さ154gで、Osmo Action 5 Proのほうが小さく軽いです。
次にディスプレイのサイズです。両者ともに前面と背面にディスプレイがあり、Osmo Action 5 Proの方が本体サイズが小さいにも関わらず、一回り大きいディスプレイとなっています。
重さや本体サイズに関しては、実際持ってみても差はそこまで気にならない程度ですが、ディスプレイサイズに関しては、撮影する際に注視する箇所でもあり体感的に違いを感じました。
下面の機構は、Osmo Action 5 Proは前モデルから引き続き、デフォルトでマグネット式のマウントが採用されています。このマグネットによって手持ちロッドなどを素早く着脱できるのは嬉しいポイントです。
GoPro HERO13は今回のモデルから別売りでマグネットマウントに対応。またネジ穴が付いているため、三脚などに直接装着が可能です。
ディスプレイの操作性
ディスプレイ操作について、GoPro HERO13は背面がタッチ操作対応です。Osmo Action 5 Proは前面背面ともにタッチ操作可能で、これは自撮りをするときに便利です。
またGoPro HERO13はLCD(液晶ディスプレイ)なのに対し、Osmo Action 5 ProはOLED(有機ELディスプレイ)を採用しており、夜間や炎天下での視認性向上に貢献しています。
起動速度についても、シャッターボタンを押してから撮影されるまでの時間はOsmo Action 5 Proの方が速い結果がでました。
画面UIについては両者とも直感的に使いやすいUIになっていますが、GoPro HERO13の特長としてはプリセット設定ができるという点です。これにより自分の操作したい機能に素早くたどり着くことができます。
画質
【解像度】
Osmo Action 5 Proは最大 4K/120fpsで、GoPro HERO13は最大5.3K/60fps(4K/120fpsにも対応)での撮影が可能です。GoPro HERO13のほうが大きな解像度で撮影でき、後工程の編集でトリミングしやすい等の優位性があります。
【低照度性能】
Osmo Action 5 Proは1/1.3型の大きいセンサーが使われていることもあり、夜間での撮影はOsmo Action 5 Proのほうが優れています。
下記は実際に低照度の環境で使用した動画ですが、GoPro HERO13は暗部の階調が潰れているのに対し、Osmo Action 5 Proは暗い部分の階調を保ったまま撮影できたように感じます。
【ダイナミックレンジ】
両者とも10bitでの撮影が可能ですが、実際に撮影してみるとシーンによって差が見られました。
下記の動画は明暗部の差が激しいシーンをそれぞれ標準のカラーモードで撮影したのですが、Osmo Action 5 Proは画面全体にディテールが保たれていましたが、GoPro HERO13は暗部を基準に全体の明るさを調整するせいか、明部のディテールが飛んでいるように感じました。
【海での撮影】
実際に沖縄の海で、GoPro HERO13は標準カラーモードのナチュラル、Osmo Action 5 Proはカラーモードノーマルで撮影をしました。
色味に関してはそれぞれで少し印象が変わります。GoPro HERO13は海中だとブルーグリーン系の色味となり、Osmo Action 5 Proは海や空など全体的にブルー寄りの色味で、彩度が高めに出る印象に感じました。
画角
Osmo Action 5 Proの画角は標準・広角・超広角の3種類で、アスペクト比は16:9と4:3から選択できます。
またカメラを縦向きにすることで縦長動画を撮影でき、保護フレームを付ければマグネットマウントにより縦型の状態で手持ちロッドを装着可能です。
GoPro HERO13の画角はリニア(標準)、広角、SuperView、HyperViewの4種類で、アスペクト比は16:9、9:16、4:3、8:7から選ぶことができます。
特長としては8:7で撮影できることで、この正方形に近い画角で撮影しておくと、センサーエリアを広く活用することができ、後からトリミングで縦横比を変えることが可能になります。
またカメラを横向きのままでも縦型9:16で撮影でき、GoPro HERO13は近年流行りでもある縦長動画へのアジャストが豊富なのがポイントです。
手ブレ性能
手ブレ補正はアクションカメラの強みとなる機能であり、それぞれ独自の技術が採用されています。
Osmo Action 5 Proは、RockSteady 3.0とHorizonSteadyという手ブレ補正モードを搭載。
RockSteady 3.0では激しいアクションの迫力はそのままに、揺れを効果的に軽減し、没入感あふれる一人称視点の映像を撮影でき、最大4K/120fpsの動画撮影に対応します。
HorizonSteadyでは揺れを効果的に抑えるとともに、360°の範囲内で水平チルトを補正し、画角は狭まりますが極端な動きやスポーツ撮影時にも揺れのない映像が撮れます。
GoPro HERO13は、独自技術のHyperSmooth 6.0を搭載しています。この技術は、動きの激しいシーンでも非常に滑らかな映像を提供し、特にランニングや自転車、スキーなどのアクションシーンで効果を発揮します。さらにAutoBoostという機能により、シーンに応じて自動で手ぶれ補正の強度を調整するため、撮影技術に囚われない安定した映像を得られます。
またリニア+ 水平ロックにより、360度回転しても水平を維持した状態でスムーズかつ安定した映像を撮影できます。
実際にOsmo Action 5 ProのRockSteady 3.0とGoPro HERO13のHyperSmooth 6.0で撮り比べてみました。
下記動画は海辺を走りながらかなりラフに撮影をしたものです。
手ブレ補正はアクションカメラ特有の機能でもあり、どちらもよく補正が効いていますが、GoPro HERO13の方が水平方向のブレが抑えられているように感じました。(下記は両者とも水平補正機能は無しの設定で撮影)
次はそれぞれの水平補正機能をオンにした状態でもテストしました。こちらは両者とも水平方向のブレがとても軽減された映像が撮れました。
スローモーション
スローモーションは個人的に好きでよく使うので、両者の特長をまとめました。
GoPro HERO13は最大720/400fpsでの撮影が可能です(ただし15秒間の制限あり)。
Osmo Action5 Proでは1080/240fpsをカメラ内のAI処理により、撮影後に最大1080/960fpsでのスローモーションが可能です。
また両者とも4K/120fpsに対応しており、さらにGoPro HERO13では5秒間の撮影制限があるもののバーストスローモーションモードで5.3K/120fpsでの撮影が可能になっています。
コンシューマー向けのミラーレス一眼カメラだと4K/120fpsまで対応している機種は多くないので、スポーツでの場面や動きのあるものをスローモーションで捉えられるのは、両者に共通するアクションカメラの強みです。
静止画解像度
静止画解像度については、GoPro HERO13は最大27MPでアスペクト比8:7(5,568×4,872)での撮影が標準となっており、Osmo Action 5 Proは最大40MPで16:9(8,000 × 4,512)または4:3(7,296×5,472)で撮影可能です。
Osmo Action 5 Proのほうが最大解像度は高いですが、GoPro HERO13はより正方形に近い8:7での撮影が可能です。
アクションカメラでは静止画で高解像度を必要とする人は多くないかもしれませんが、筆者の住んでいる沖縄では、ダイビングのインストラクターが海中でお客様を記念撮影することもあるので、後工程でトリミングしてお渡ししたりと、高い解像度の恩恵を受けるシーンもありそうです。
防水・耐久性能
GoPro HERO13は10m防水で-10°C〜35°Cの耐久性能に対し、Osmo Action 5 Proは20mの防水性能を持ち-20°C〜45°Cの耐久性能を備えており、防水・耐久性能が優れています。
沖縄では炎天下で撮影する日も多く、また海のダイビングスポットも多いため、暑さにも海中にも強いOsmo Action 5 Proの恩恵を受ける場面が多そうです。
バッテリー性能
GoPro HERO13は、1,900mAhで1080p撮影時、最大2.5時間の連続撮影が可能です。
一方Osmo Action 5 Proのバッテリーは、1,950mAhで1080p撮影時、最大4時間の連続撮影が可能で、実際に使用した体感でもバッテリー持ちが良かったです。
海中での撮影などは1度潜ったら長い時間録画したままにすることが多いので、バッテリー持ちが良いとよりベストシーンの撮影チャンスを生み出すことができます。
またOsmo Action 5 Proは急速充電に対応しており、充電速度もGoPro HERO13に比べ速いです。
アクセサリーやその他機能
GoPro HERO13は、様々なレンズモッドに対応しており、多様なシーンに適応できるのが特長です。これは過去のGoProシリーズと比べて大きな進化ポイントになっています。
現時点では超広角・マクロ・アナモフィックのレンズが発売されますが、今後のレンズラインナップ(例えば魚眼レンズや望遠レンズ等)によっては、さらに多様な撮影が可能になるのはロマンを感じます。
一方Osmo Action 5 Proは、ふたつのDJIマイクを直接接続した同時収録により、ふたりでのVlogやインタビューなどが可能になりました。
そして今回から47GBの内部ストレージを搭載。万が一microSDカードを忘れても充分な容量を備えた撮影が可能です。
また、普段ダイビングで使う人に嬉しい機能として、水深・潜水時間・高度データを記録できる圧力計が内蔵されました。
それぞれの特長
ここまでの比較を元に、両者の特長をまとめました。
GoPro HERO13:映像に拡張性を加え撮影体験を楽しく!
・最大解像度5.3K
・水平方向の手ブレ補正が優秀で水平ロック時でも5.3Kで撮影可能
・縦横比を柔軟に変えられるアスペクト比8:7での撮影
・別売りの交換式レンズモジュールによる撮影スタイルの拡張性
Osmo Action 5 Pro:アクションカメラの強みを伸ばした進化!
・低照度や明暗差のあるシーンでの撮影性能
・バッテリー持ちや水中・炎天下でのタフネス性能
・起動レスポンスやディスプレイサイズによる軽快な操作性と優れた視認性
・内蔵ストレージや圧力計搭載によるかゆい所に手の届いた進化
・2つのDJIマイク同時収録による複数人でのvlog体験の向上
まとめ
アクションカメラの最先端を走り続けている両者は、それぞれの独自性を活かしながら年々進化を続けています。
最後に、特に比較ポイントになりそうな点をまとめましたので、こちらも合わせて選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。
カテゴリー | Osmo Action 5 Pro | GoPro HERO13 |
本体サイズ | 幅70.5 × 高さ44.2 × 奥行き32.8 (mm) | 幅71.8 × 高さ50.8 × 奥行き33.6 (mm) |
重量 | 146g | 154g |
センサー | 1/1.3インチCMOS | 1/1.9インチCMOS |
標準録画モード | 4K (4:3):3840×2880(100/120fps時) 4K (4:3):3840×2880(24/25/30/48/50/60fps時) 4K (16:9):3840×2160(100/120fps時) 4K (16:9):3840×2160(24/25/30/48/50/60fps時) 2.7K (4:3):2688×2016(100/120fps時) 2.7K (4:3):2688×2016(24/25/30/48/50/60fps時) 2.7K (16:9):2688×1512(100/120fps時) 2.7K (16:9):2688×1512(24/25/30/48/50/60fps時) 1080p (16:9):1920×1080@100/120/200/240fps 1080p (16:9):1920×1080(24/25/30/48/50/60fps時) | 5.3K (8:7) 30/25/24fps 5.3K (16:9) 60/50/30/25/24fps 4K (8:7) 60/50/30/25fps4K (9:16) 60/50/30/25 4K (16:9) 120/100/60/50/30/25/24fps 2.7K (4:3) 120/100fps 2.7K (16:9) 240/200fps 1080 (9:16) 60/50/30/25 1080p (16:9) 240/200/120/100/60/50/30/25/24fps |
最大静止画解像度 | 40MP | 27MP |
10bit log&HLG対応 | あり | あり |
最大解像度でのスローモーション | 4K@120fp(録画時間制限無し) | 5.2K@120fp(録画時間5秒間の制限あり)4K@120fps(録画時間制限無し) |
防水性能 | 20m(防水ケース使用で60m) | 10m(防水ケース使用で60m) |
耐寒/耐熱性能 | -20°C〜45°C | -10°C〜35°C |
バッテリー容量 | 1950mAh(最大240分稼働) | 1900mAh(最大150分稼働) |
ディスプレイサイズ | 1.46インチ(前面)、2.5インチ(背面)OLED両面タッチパネル | 1.4インチ(前面)、2.27インチ(背面)LCD背面のみタッチパネル |
主なアクセサリー | マグネット式マウント2つのDJIマイクの同時収録(マイクは別売り) | マグネット式マウント(別売り)レンズモッド(別売り) |
内蔵ストレージ | 47 GB | なし |
圧力計 | あり | なし |
価格 | 55,000円(税込)〜※2024年10月時点 | 68,800円(税込)〜※2024年10月時点 |
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