レポート◉編集部 一柳
映像や写真関係のメーカーのショールームやギャラリーが地方都市で閉鎖されていく流れがあるなかで、逆に活動を強化しているのがソニーだ。特に動画系ではソニーストアをハブに地方のクリエイターを支援しようというワークショップやイベントが各地で企画されている。ビデオサロンでは、ソニーストア福岡天神や名古屋、札幌の取り組みを紹介してきたが、またまた札幌から面白い活動が始まっていることを知った。ソニーストア札幌では、以前、クリエイティブチーム「KAI」の編集ワークショップを取材してレポートしたが、その際にストアの方からは、北海道という土地柄、どちらかというとネイチャー系の風景・動物撮影のプロカメラマンが多く、それに比べると映像系のクリエイターは目立たないとお聞きしていた。その北海道で映画をテーマにしたプログラムが立ち上がりその第1回が非常に盛り上がったとお聞きして(2026年2月27日開催)驚いた。いったい何が起きているのか? 第2回の「映画クリエイティブ・プログラム」(2026年4月17日開催)に参加してみた。
参加者は事前申し込み制で、ソニーストア札幌と札幌国際短編映画祭からのアナウンスでイベントを知って集まった方々。クリエイターだけでなく、テレビ局関係者、札幌市の担当者、マスコミ関係者が参加した。
会場はソニーストア内のワークショップルームだったが、定員20名のところ参加者が多過ぎて満員状態となっていた。

20年開催し続けてきた札幌国際短編映画祭は、北海道セレクションということで、北海道のクリエイターの作品や北海道をテーマにした作品、北海道で制作された作品を取り上げてきた。ショートフィルムのフェスティバルとしては、ショートショートフィルムフェスティバルと同時期にスタートして世界的にも認知されている映画祭だが、まだまだ北海道のフィルムメーカーに知られていないと感じていたと倉本さんは言う。何かのきっかけで映画祭を知って応募してもらい、そこから映画祭やクリエイターどうしの横の関係ができていくということもあるが、年に1回の映画祭だと、その場に集まって盛り上がって、そこで終わってしまうというケースが多かった。本来はそこでクリエイターどうしの横の繋がりが生まれ、コミュニティが形成され、共感できる仲間が集まって、協力してくれる関係者も参加して、新しい作品が生まれていくという流れが理想であり、なにか継続した取り組みができないかと考えていたそうだ。というのも、札幌国際短編映画祭のミッションとして、映画祭を核にして、映像教育や地域循環を掲げており、地域発の映画を作り最終的にはそれを北海道から波及させるような流れを作っていきたいという思いがある。
その場合に問題になってくるのが会場だ。映像作品を扱うので上映するという環境が必要になる。ふだんからソニー製品をご自身の制作でも使っている倉本さんが声をかけたのがソニーストア札幌だった。
ソニーストア札幌のほうも、北海道という地域を写真、映像というジャンルから盛り上げていきたい、そのためにクリエイターを支援していきたいという思いがある。
その両者の思いが一致して今年の2月からスタートとしたのが「映画クリエイティブ・プログラム」だ。これは2カ月に1回、ソニーストア札幌を会場に夕方から夜にかけて実施するという継続的なプログラムになる。

当日のプログラムは以下のとおり。
・フィルムメーカー紹介
・作品上映「いま、僕にできること」(監督:浅里のぞみさん)
・作品上映「たまごの教室(監督:池山珠子さん)
・ティーチイン&アイデアピッチ
・シネマカメラワークショップ
上映作品は札幌国際短編映画祭の北海道セレクションに選ばれた作品。今回は、2作ともドキュメンタリー作品となった。札幌国際短編映画祭では、2022年からYahoo! ニュースドキュメンタリー協賛でスタートした、3分30秒のショートドキュメンタリーを募集するナショナルコンペティションのMicro Docs部門の影響もあり、ショートドキュメンタリー制作のノウハウが根付きつつあり、その象徴とも言える2作品がピックアップされた。

2本の作品上映はワークショップルームで行い、その後は、クローズドしたソニーストアのテレビスペースのほうに場所を確保して、そちらで行われた。

2作の監督のティーチインの後は、2人の監督も含めて数人によるアイデアピッチが行われた。

アイデアピッチに対する意見が活発に出された。

参加者も映像制作をしている人が多いようで、各ピッチに対して建設的な意見が出された。この場は制作に対するアドバイスをもらうだけでなく、協力してくれる関係者を募るという意味合いもある。さらにアイデアピッチにより可能性を感じられる作品に対しては、ソニーストア札幌からシネマカメラのFX3/FX2/FX30やレンズ類などをレンタルできるというサポートも得られるという。
最後にソニーストア側からシネマラインのカメラについてのプレゼンテーションが行われた。

本来のタイムテーブルでは、シネマカメラのワークショップの時間がもう少しあったようだが、アイデアピッチが盛り上がりすぎて、その時間が足りなくなってしまった。ソニーストア札幌が入るビルの閉館も迫ってきて、駆け足のプレゼンとなった。

18時30分にスタートして本来20時30分終了のところ、21時過ぎに終了したイベントは非常に密度の濃いものだった。定員20名のところにそれを超えて熱心なクリエイターや関係者が集まるのも頷ける。地域のイベントだと知り合いばかりが集まり閉鎖的な雰囲気になることも容易に予想されるのだが、このイベントは初めて参加しても疎外感を感じないと思った。北海道のフィルムメーカーは気軽に参加してしてみるといいだろう。
「映画クリエイティブ・プログラム」は2カ月に一度、ソニーストア札幌で開催される。次回のプログラム予定日は 6月19日(金) 18時30分〜。参加は申し込みが必要になる。ソニーストア札幌のWEBサイト、札幌国際短編映画祭のWEBサイトから。
また、第21回札幌国際短編映画祭は、10月23日(金)〜25日(日)にて、映画監督の吉田大八氏を国際審査員に迎えて札幌にて開催予定となっている。
後日談〜ソニーストア札幌の真ん中に「森」ができた
取材後の5月13日、ソニーストア札幌がリニューアルした。取材時点では、よりカメラ、撮影にシフトする方向でリニューアルするとはお聞きしていたが、中央に体験型展示の「森」が設けられ、その周りをカメラが囲むかたちになっている。北海道の自然をモチーフに、初心者には撮る楽しさを、経験者には表現を深めるきっかけを届けたいとのこと。

