ビジュアルテクノロジーが展開する4K8Kハイエンド映像制作ワークステーションシリーズ「TRUX(トラックス)」から最上位モデル「TRUX SUPER MAX TypeG」のカスタムモデルをテストした。
TRUX SUPER MAXのTypeGはインテルのCPU・Xeon Gold6136(12コア/24スレッド/3.0GHz/TB時:3.7GHz)を2基搭載する超ハイエンドパソコン。なかなかテストする機会すら持てないこのCPUを搭載するパソコンを今回お借りできたので、ビデオサロンで行なっているEDIUS Pro 9を使った各種動画素材を使ったリアルタイム再生テストと、DaVinci Resolve Studio 15を使ったRAWファイルをカラーグレーディングしたプロジェクトの再生テストをしている。
今回テストしたのはベースモデルからCPUやメモリー、ストレージを強化したモデル。ちなみにベースモデルの価格は税込1,574,640円。主な仕様は以下の通り。
CPU:インテルXeon Gold6140(18コア/36スレッド/2.3GHz/TB時:3.70GHz)×2
メモリー:192GB(16GB/DDR4-2666/2R×8/ECC REG×4)
システム用SSD:サムスン970 PRO 512GB(M.2/NVMe)
データ用SSD:ハイポイント7101A-1 M.2 RAIDカード(サムスン970 EVO:1TB×4)
GPU:NVIDIA Quadro P2000(5GB GDDR5 PCIe 3.0)
商品紹介ページ
https://www.trux.tokyo/
https://trux.shop-pro.jp/?pid=136694032
ストレージの性能比較
データ保存用に使用した7101A-1 M.2 RAIDカードの読み書き性能は以下の通り(ベンチマークソフト「CrystalDiskMark」を使用)。
読み込み速度が5838.2MB/s、書き込み速度が6207.1MB/sとなり、通常のHDDが150MB/sであることを考えると、桁違いに速い。これならCinemaDNG RAW Losslessで記録したDCI 4K/60pのファイル(目安544MB/s)の再生にも充分対応できる性能である。
EDIUS Pro 9を使ったリアルタイム再生ベンチマークテスト
まずは、グラスバレーのEDIUS Pro 9を使ってビデオSALONで実施しているリアルタイム再生性能ベンチマークテストを行なった。これは素材や編集条件を変えたタイムラインを再生し、コマ落ちしないで再生できるレベルを測定するというもの。レーダーチャートの円周は時計回りに負荷が重くなる素材を使い、中央から外側に向かって負荷の高い編集を実行していることを意味し、面積が広いほど性能が高いと見ることができる(詳しくはビデオサロン2018年2月号参照)。今回から新たにH.265で圧縮した4K/60pファイルの検証も追加している。
TRUX SUPER MAX TypeGの結果が以下の通り。H.264で圧縮されたファイルに関しては、トランジションとタイトルを設定したタイムイランでも安定したリアルタイム再生が可能だったので、H.264の4K編集では一般的な編集に耐える性能を発揮しているのが分かる。残念ながらH.265で圧縮したファイルに関しては、CPUのハードウェア再生支援機能に対応していないため、まったく歯が立たたず、単純な再生だけでもコマ落ちなしの再生はできなかった。
ただ、2018年のはじめにテストしたCore i9-7980XE(2.6GHz/TB時4.4GHz)と比較すると、わずかに及ばない結果となったので、コストパフォーマンス的には悪い結果となった(その当時、H.265のテストができてないので、データなしになっている)。
DaVinci Resolve Studio 15で検証
ビデオSALON.webで掲載しているDaVinci Resolveのシリーズ特集の第2回で配布したプロジェクトを使ったリアルタイム再生性能もチェックした。編集素材はBlackmagic URSA Mini 4.6Kで撮影された未グレーディングのRAWフッテージ(4K/24p)となり、概ね1フレーム11MB程度となるので、単純計算11MB×24fps=264MB/sが最低の読み出し速度となり、データ用ストレージの性能はまったく問題ない。
ソフトの設定は「最適化したメディアがある場合は使用」をオフ、「レンダーキャッシュ」を「なし」に設定して、パソコンそのものの性能を評価。プレビューの解像度を変更できる「プロキシモード」は「なし」でテストしている。
これまで何度かいろいろなパソコンでテストしているが、3つめの車が走るクリップではノイズリダクションを設定しているため、コマ落ちのない再生が難しかった。「赤丸12」程度が多かったが、今回初めてコマ落ちなしの「緑丸24」表示となった。
タスクマネージャーを開いてみるとCPUはほとんど使用していないので、NVIDIA Quadro P2000を搭載している結果と言えそうだ。これまではGeForce系でのテストばかりだったので、これは大きなチェックポイントになりそうだ。
結論
TRUX SUPER MAX TypeGは充分に高性能だったが、XeonではなくCore i系を使ったほうが、今回のテストのような使い方をするなら性能が高く、価格も抑えられそうだ。次世代コーデックH.265の再生・出力も今後、重要な要素になっていくので、クイック・シンク・ビデオのハードウェア支援対応は欠かせないだろう。