ZOOM FRC-8 は F4、F8 を
快適に使うためのコントールパネル

Report ◉ 大須賀淳

ZOOM のフィールドレコーダーFシリーズ、なかでも8トラック仕様の F8 は、コンパクトなボディ内に詰め込まれた高機能&高品質により、発売以来存在感を放ち続けている。8トラックを同時録音する場合は、入力音声同士のモニターバランス調整が重要で、F8 では Bluetooth経由で iPhone / iPad と接続して専用アプリでのコントロールが可能となっている。これは便利である一方、昨今は色々役割の多いモバイルデバイスを占有されてしまったり、また画面上の操作はどうしても素早さに欠けてしまうという面への不満も否めなかった。それらを一挙解決するためにリリースされたのが、Fシリーズ専用のリモートコントローラ・FRC-8である 。その特徴と使用感をチェックしていこう。

60mmフェーダーの快適操作。「普通のミキサー」としても実用に

FRC-8 は USBケーブルでレコーダーと接続する。F4 であれば USBバスパワーで駆動し、その他でも単三電池4本で動くので、ケーブルの増加は最低限に抑えられ機動性は損なわれない。何より目立つのは、8チャンネル+1マスターの計9本備えられた 60mmストロークのフェーダー。操作性は滑らかで、録音、再生両方のシチュエーションでモニターレベルの調整がとても快適になる。この操作感であれば、十分「普通のミキサー」として小規模な PA などにも使えそうだ。

▲電源は、単三電池4本、4ピンの HIROSE コネクタ、F4 使用時は USBバスパワーと、複数の電源を使用可能。

▲FRC-8 最大のポイントは、9本のフェーダーによる各チャンネルのレベル調整。録音時(LED赤点灯)、再生時(LED緑点灯)ともに、8チャンネルをフルに使用している場合もひじょうにスムーズにバランスを取ることができ、ミキサーや素材出しのプレーヤーとしても従来以上に使いやすくなる。チャンネルごとに独立したレベルメーターの視認性も良好。

各チャンネルにはノブも設けられており、切り替えで入力レベルのトリムとモニター音声のパン調整に使用できる。操作感は悪くないが、パン使用時のために12時位置にセンタークリックがあればより便利だった。もっとも、あくまでモニター調整と考えればそれ程大きな問題にはならないだろう。

▲各チャンネルのノブは、ボタンにより TRIM(入力レベル)と PAN の機能を切り替えられる。多くの場合、TRIM は最初に設定すれば頻繁には動かさないので、混乱は最小限に抑えられる。

さらに便利なのが、12段階の LED で構成されたレベルメーター。レコーダー本体のディスプレイでも確認可能だが、横一直線に並んだことで一括確認もしやすく、屋外でも確認しやすくなった。機能的にはモバイルアプリでもカバー可能だが、操作や視認性は大きなレベルアップを実現できる。

USBキーボードの接続で文字入力の快適さが劇的にアップ

FRC-8 には、本体と独立してレベル調整可能なヘッドフォンジャックが備えられており、長めの USBケーブルを使えば本体から距離をとった柔軟なセッティングが行える。Fシリーズはパソコンと接続してオーディオインターフェースとしても使えるので、その際の手元用コントロール&モニター出力としても便利に使えそうだ。

▲FRC-8 側にもヘッドフォン端子が備えられているので、取り回しの自由度やモニターレベルの調整も快適に行える。

そして、ある意味フェーダー以上にレコーダー本体の操作を快適にできるのが、文字入力のために USBキーボードを接続できる機能。レコーダー本体では一覧からダイヤルで選んで入力するスタイルなので、キーボードを接続することで文字入力のスピードは比較にならないほど向上する。確実なテイク管理にはファイル名やメタデータの入力が重要となるので、場合によってはこれを主目的として導入するのも十分にアリだろう。

▲背面には、レコーダーへの接続用(TO F Series)と、キーボード接続用(KEYBOARD)の2つの USBポートを備えている。キーボードはパソコン用の一般的なものが使用可能で、ファイル名やノートなどの文字入力を行う際の効率が劇的に向上する。

本機の販売価格は3万円台半ばほどで、モバイルアプリの存在も考えると決して「安価」とは言えない。しかし、特に F8 と組み合わせた際の機能性を考えると、物理的なインターフェースを必要とするユーザーには価格を超えた価値があると言えるだろう。是非、一度実機でのオペレーションを体験して頂きたい。

▲F8専用のプロテクティブケース PCF-8 の使用時は、上部に FRC-8 を置いて安定したオペレーション&モニタリングが行える。