【NEW AGE CREATORS vol.17】波多野 奨 (映像作家)〜DJの世界から動画の作り手に。どんなジャンルもオールマイティーに制作。


DJの世界から動画の作り手に。どんなジャンルもオールマイティーに制作。

取材・文●村松美紀 / 編集部 片柳 

1989年生まれ。神奈川県出身。都内でDJとして活動しながら自主で映像制作を開始。2014年にオクナックに所属。2022年に独立し、MVやライブ、WEB CMなどのディレクターとして活動中。
オフィシャルサイト https://bit.ly/vs1_hata

 

 

波多野 奨 ’s PROJECT introduction

iPadアプリ活用でVHS風のイカした編集

ゆきぽよ&SLOTH / 『Y2K』

ゆきぽよ&SLOTHのデジタルシングル『Y2K』のMV。2023年9月24日に公開された。Y2Kとは、2000年前後に流行ったファッションやカルチャーを表す造語。ファッションやメイクはもちろん、映像の質感もY2Kにこだわって制作された。

「Y2K」がテーマのMV制作の依頼を受け、監督として参加しました。「サビは現代、他は2000年代の映像にしたい」というリクエストがあったため、ふたつの時代のビジュアルの差を明確にすることにこだわりました。現代はキラキラした雰囲気で、2000年代の方は、正直あそこまで画質が古いのかわからないですが…4:3やワイドな画角、魚眼レンズなどで演出しました。

当時の質感を出すために、20年前のカメラやVHSの使用も考えていましたが、VHSだと現場で気をつけることも増えますし、ワークフローとしてもダビングなど作業が発生して大変なので、iPadで撮影しました。アプリ「Dazzカメラ」でVHSや魚眼レンズ風フィルターを使って加工し、意外と納得できる映像になったと思います。現代のシーンは、ソニーα7S IIIを使用して、こちらは美しく撮ることを意識しました。

 

Making


YouTube「ゆきぽよチャンネル」より

 

Item

自作デコ電のラインストーン。100円ショップのラインストーンを敷き詰めた、波多野さん自作デコ電。秋葉原で購入したガラケー2個を各々派手なギャル仕様、抑えめなアムラー仕様に。

 

 

◆波多野 奨とはどんなクリエイター?

波多野さんは、24歳までDJとして活動したのち、並行して取り組んでいた映像の仕事を本格化すべく、制作会社に入社。8年間勤務したのち、2022年の4月にフリーランスとして独立。「動画制作を始めたきっかけは、DJ時代に周りにいたアーティストのMV撮影です。最初はiMovieで独学で編集していましたが、制作会社在籍時に正しく知識を学びました」

波多野さんは、自分の強みを「どんな映像でもオールマイティーにこなせること」と話す。MVやWEB CM、ドキュメンタリーなど、ひとつのジャンルやテイストにとらわれず、幅広い映像を制作している。その背景には、DJとして活動している頃に「ひとつのスタイルに絞る必要はない」と尊敬する人にかけてもらった言葉がある。

「『クラブDJやヒップホップなどジャンルを絞ってトップになることも大事だけど、複数の要素を組み合わせることもスタイルのひとつだ』と言っていて…。僕自身、カメラも回せて、編集もできる。ふわりとした可愛らしい映像も、パキッとした色味の映像も、After Effectsでリリックビデオも作れる。ジャンルを決めずに、なんでも作りたいです」と、相手のつくりたい映像に合わせて、変幻自在に制作するのが波多野さんだ。

またDJ時代の経験が活きることもあるそうで、音の拾い方や繋ぎ方など編集において役立っている。さらにエディターとして案件に加わることもあるという波多野さん。最近はAfter Effectsでのモーショングラフィックにも取り組んでおり、「案件ごとに、今までやったことのない文字の動かし方などを取り入れています。何かチャレンジすることで自分のスキルを向上させています」

動画制作開始から10年。今後どんなクリエイターを目指すのか。「AIなどの新テクノロジーも出てきて、新しい波に乗るタイミングはあるはず。面白いと思える技術に出会えたら、楽しんで取り組みたい」と語った。

 

自宅の作業環境

制作マシンは、MacBook Pro 16インチ(Apple M1 Max)。カメラはソニー FX3 とα7Sを使っている。

 

 

VIDEO SALON 2024年2月号より転載

vsw