第41回 ネガをポジに反転させてHDMI出力&スキャンできるケンコー・トキナーKFS-14DFはライブ配信で使ってもおもしろい!

写真・文◉川井拓也(ヒマナイヌ)

 

ケンコー・トキナー KFS-14DF
29,941円(直販価格)

5インチの液晶モニターを搭載したフィルムスキャナー。同梱のフィルムホルダーを本体に取り付けたら横からフィルムを差し込むだけでフィルムスキャンが可能。スキャンしたデータはJPEG形式でSDHCカードに保存できる。HDMIをテレビなどにつなげばSDカードに保存したデータを大画面で楽しむこともできる。

 

 

液晶一体型のカジュアルなフィルムスキャナー!

フィルムスキャナーといえばフィルム解像度を忠実に取り込むために高画素で高価なものが多いのですが、これは3100dpiでのスキャンのみに対応したカジュアルなスキャナーです。形状は5インチのIPS液晶一体型で、ちょっとむかしの8mmフィルムビュアーのようなスタイル。操作は上部にあるボタンで行いスキャンは目覚し時計並みに大きな横幅のボタンを押してSDHCカードに記録します。パソコンがいらないのでスキャンが気軽にできるのがいいところです。

気になるセンサーは1240万画素でスキャンモードは14M(4320×2880px)と22M(5728×3824px)が選べます。試しに35mmネガフィルムからのスキャンをしてみると1枚あたりのファイル容量は14Mが3.1MB、22Mが5.6MBでした。

 

リバーサル、カラーネガ、モノクロネガに対応!

スキャンできるものはリバーサルとカラー&モノクロネガに対応しており、最初の設定で選択します。マウント用ホルダーには付属の35mmフィルム、126フィルム(インスタマチック)、110フィルム(ポケットフィルム)のアタッチメントを装着して使います。フィルムは先頭部分をアタッチメントに入れてから本体にホルダーを差し込み、以後はフィルムを手で送ってスキャンします。記録媒体はSDHCカードを使います。SDXCに対応していませんが、デジカメが高画質化して逆にSDHCカードは余ってる人も多いのでちょうどいいかもしれません。

 

スキャン前の補正はどのくらいできるのか?

フィルムを差し込むと、デフォルトの設定でそのまま液晶画面に表示されます。ネガはもちろんポジに変換されるわけですが、本体価格が安いわりにこの液晶がキレイなのは驚きです。スキャン前の補正は明るさが0.5EVステップで-2から+2まで9段階。色調補正がRGB別で同じく9段階調整できます。

この補正時に便利なのが、HDMI出力です。端子形状はミニHDMIですが、ミニからフルへの変換ケーブルが付属しているのでパソコン・モニターやテレビに繋いでより大きな画面でスキャン前の補正を確認することができます。HDMI出力をすると本体の液晶はブラックアウトします。画面は本体液晶と同じ画面が切り替わって出力されているのでメニューなども表示されます。

 

古いネガフィルムのスキャンという作業を配信してみる!

HDMI出力は本体液晶と同じなのでアイコンなどのメニューが表示されますが、左右にアイコンがあるのでスイッチャーや配信アプリでトリミングすれば、クリアなHDMI表示のように取り込むこともできます。フィルムを送って、それをスキャンしていく様子そのものをライブ配信するのも臨場感があっておもしろいかもしれません。

また、スキャンした画像を5秒ごとに表示する簡易なスライドショーモードも搭載されています。デジタルフォトフレームになるので、スキャン作業をしていない時も働いてくれます。電源はUSB-C端子でUSB-CからUSB-Aのケーブルと電源アダプターが付属します。

家に大量にあるネガフィルムはプライベートなもので、本人の思い入れもあるのでなかなか捨てられないものですが、こんな簡単なスキャナーならボタンをポンポン押しながらのデジタル化作業も楽しみながらできそうです。

基本メニューは驚くほどシンプル。左から「スキャン」「USB」「スライドショー」「日付設定」の4つのボタンのみ。

▲スキャンできるフィルムの種類は35mm、126フィルム、110フィルムの3種類。

▲スキャンモードはポジに変換された画像の左右に設定アイコンが並ぶ。


▲1987年のネガフィルムから実際にスキャンした「渋谷パンテオン」前での筆者の写真。

 

 

VIDEO SALON2022年2月号より転載