NHK番組技術展レポート


2月7日から8日までの3日間、NHK放送センターの玄関スペースで開催されたNHK番組技術展。そのなかで気になったものをレポートしていこう。


ソニーα7SとSHOGUNをショルダーカメラに仕立て上げた


 そこかしこで使われているのがソニーα7S。NHKだけで一体何台使われているのだろうかと思うくらいに活用されていた。まずはビデオスタイルユニット。そのα7SとSHOGUNを、使わなくなった古い放送用ビデオカメラの中に入れ、カメラ後部の筐体は、ビデオカメラ部分にサイズとデザインを合わせて自作。SHOGUNをぴったり収められるようにし、天面にはα7Sをオペレートするためのタブレットを装備。レンズは2/3インチ放送用レンズを装着可。そのままα7Sで使うとケラレてしまうのと、3板のプリズムを前提としたレンズと単板センサーでは、色収差の問題も起きてしまうため、武蔵オプティカル製のレンズアダプターを組み込んでおり、ズームレンズは全領域で使うことができる。バッテリーはVマウントバッテリーを使用可能にしており、ショルダーカムコーダーの操作性で運用することができる。武蔵オプティカル、ゼクーとの共同開発。
SHOGUNはボディ左側面にきれいに収まっている。
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カメラ部の右側面のでっぱりは、α7Sのグリップ部分を収めるためにこうなってしまった。4KまたはHD-SDI入力も可能。
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SSDはSHOGUN用のカートリッジをそのまま使用するが、カメラの上からスロットインできるように改造している。
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Wi-Fi経由でカメラの設定ができる。
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水深1000m耐圧の4K深海カメラ


 あのダイオウイカを撮影した深海用カメラを4Kで、しかも超高感度化したシステムを開発。これで微弱な光を発光する深海生物を撮影する。ハウジングの中を見られるようにしていたが、カメラは交換が可能で、ソニーα7S、キヤノンのEOS C500、そしてさきごろ発売された35mmフルサイズセンサーの超高感度カメラ、キヤノンME20F-SHの3種類を使用。特にME20F-SHは、ISO感度400万で撮れるというもの(ただし解像度はフルHDまで)。(ちなみに写真のシステムはα7Sが組み込まれている)。映像信号はブラックマジックデザインのコンバーターにより光信号に変換され、光ケーブル4本で潜水艇内部と映像、コントロール、電源供給のやりとりができる。
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潜水艇内部の機材セット。一番左のリモートコントローラーで、ズームレンズの制御ができる。記録はOdyssey7Q+を使用。予備収録機としてSHOGUNも用意。
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ドローン撮影っぽい効果が出せるリモートジンバル撮影システム

ドローンによる空撮ショットは様々な番組制作に使われているが、落下や衝突などの危険を伴うため、安全上の理由で使用できる場所が限られている。そこでそのドローンから、カメラとジンバルと取り外し、DIY工作を加えることで、ドローンによる空撮に限りなく近い映像を撮影できるようにした。たとえばポールにつけてワンボックス車の上に掲げながら走ることで、空撮に近いい効果が得られる。またミニジブに装着し、カメラオペレーターは別のところでパン、チルト(無線)、ズーム操作(LANCコントロール)を従来の感覚で行うことでカメラワークすることもできる。
 タイプは2種類あり、Type0はGo Pro専用。小型なので、自転車や棒の先につけて運用することができる。こういった撮影では映像がブレることが多いが、ジンバルのおかげで水平をたもってブレの映像が撮影できる。「ブラタモリ」の制作スタッフにも提案したというが、実際に「ブラタモリ」で使っているものよりも重いという理由で採用されなかったそう。担当者は「絶対にこっちのほうがスムーズな映像になるんですけどね」と残念そうだった。開発元の宇都宮放送局で「とちぎ640きらり⭐︎とち旅コーナー」で使われている。
小型カメラ用。ブラシレスジンバルのキットを利用している。ミニジブに装着してクレーン撮影的なことができる。
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カメラマンが慣れているズームリモコンでオペレートできる。
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Go Pro専用の小型タイプ。
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カメラの方向はプロポで操作できるのだが、それでは大きすぎるので、片手で操作できるリモコンを開発。
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こんな感じで実際に運用している。
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火山監視用のロボットカメラ

火山監視用に開発されたロポットカメラ。電源喪失時や電源確保が難しい現場でも、太陽光パネルとバッテリーのみで24時間の撮影が可能な高感度カメラシステム。3G/LTE回線を使用して24時間映像を伝送可能で、2週間分の映像をサーバーに保存できる。小型軽量で組み立ても簡単。
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高感度のカメラを活用して夜間の火山活動を監視するシステム。中身はα7Sだった。
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オムニホイールを使った、方向転換が自在な滑らかなドリー


従来の三脚ドリーは方向転換を行う際に、タイヤの向きをかえるときに無駄な動きがあり、滑らかにいかないことがあった。そこで、タイヤの回転方向とその垂直方向、2軸で回転できるオムニホイール(富士製作所)という特殊なタイヤをカスタマイズして使うことで、全方向に滑らかに動けるようにした。
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↓オムニホイールの動き

↓全方向に滑らかに動く

市販の4K再生機を組み合わせた8Kのプレーヤー


展示会やサイネージなどで使える8Kプレーヤー。ブラックマジックデザインの市販の4K/60p再生機を4台使用し、NHKメディアプレーヤーが開発した同期コントローラーにより、4台の再生機の完全なフレーム同期制御を行い、8K再生を実現する。コーデックはProRes、ストレージは2.5インチSSDの使用する。8K放送など外部入力からの8K信号にも対応するという。
4分割したものを同期再生しているが、境目はわからなかった。
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8Kスーパーハイビジョン中継車


NHK放送センターの玄関前には、8Kスーパーハイビジョン中継車が置かれ、中を見学できるようになっていた。試験放送開始に向けて本格的な8K中継車が2台(SHC-1とSHC-2)完成。置かれていたのはSHC-1のほうで、NHK紅白歌合戦やNHK杯フィギュアスペシャルエキシビジョンで使われたもの。
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前の入り口から入ってすぐのところが制作室で、55型の8Kモニターを中心に、正面に池上のスイッチャー。カメラは最大10台、収録機4台、ライブスロー4系統の実装が可能。音声収録用には別の中継車があるが、そこから5.1chに変換された音声が送られ、こちらでもサラウンドでモニターできるようになっている。
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ディレクターの後ろにスペースが一段高くなっており、スローのコントロール席になっている。
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奥に進むと機器室になっており、右側に機材ラックが並び、左側はVE席。一番奥には、VE側でフォーカスをコントロールするレバーが備え付けられていた。カメラマン側でもフォーカスは操作できるが、小型のモニターで合わせ切れないときは、VE側でフォーカス合わせを援助する。
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奥にある白い回転ホイールがVE側でのフォーカス合わせ用のもの。
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