あけましておめでとうございます。2018年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、この年末年始は2月号の作業をしながら(まだ結構残っています)、9月に撮影した一人3カメ素材の編集の仕上げをしていますが、ついに終わりが見えてきました。

カメラはGH5が3台ですべて4K/30p、10bit 4:2:2  V-Log Lです。一編の朗読演劇が大体50分くらいでそれが2本。昼と夜の2回公演なので、素材としてはトータル200分くらいあります。もしもこれが記録ビデオのお仕事だとしたら、1台は4Kにするとしても、4Kの10bit 4:2:2で、しかもV-Log Lなんか撮ったら、後処理に時間がかかって仕方がないので絶対やりませんよね、普通。でも、私の場合は仕事ではないので…やってみました。何事もやってみないと、どこにどれくらいのメリットがあって、どれくらい大変なことになるのか、わかりませんから。

まず、大変だったこと。

ネイティブ素材のトランスコードではマルチカメラ編集は動かないので、プロキシ素材を作ったのですがこれに時間がかかりました。一編はFinal Cut Pro Xで、もう一編はPremiere Pro CCで編集したのですが(これも実験なのでソフトをかえて試している)、Final Cut Pro Xではプロキシをバックグラウンドレンダリングで作り、Premiereではインジェスト設定でプロキシファイルを作るのに延々と時間がかかりました。特にPremiere でのプロキシ作成には確実に24時間以上かかりました。バックグラウンド作業だから編集を進めようと思うのですが、プロキシができないとロクに動かないので、放置しておくほかありません。次に問題になったのがトランスコードした最適化ファイルが大きすぎて、編集用の2TBの外付けHDDには収まらなくなってしまったこと。結局、最適化ファイルは消しました。

要は長尺3カメ分の素材の最適化ファイルを作ろうとすると膨大なデータ量になり、プロキシを作ろうとすると解像度変換も含むので膨大な時間がかかるということです。

ちなみに環境はiMac Retina 5K 27inch 2017、3.5GHz Intel Core i5、メモリ16GB、ストレージ1TB Fusion Drive、素材はUSB接続の2TB、1TB、3TBのHDDという一般アマチュア環境です。

しかし、大変だったのは実はここまでで、プロキシを作ってしまえばあとは楽勝でした。マルチカム編集、4Kからの細かいトリミング作業、グレーディング、音声差し替えなど。

特にV-Log Lは据え置きカメラにメリットがありました。普通なら完全に飛んでしまうようなシーンでも余裕でダイナミックレンジに収まっていて、メーカー提供LUTを当ててもまだ余裕があるくらいなので、さらに黒を締めて、ハイを伸ばしていってもそれほど画質が劣化しないのはさすがに10bitです。

今回グレーディングといっても色をいじることは何もせず、LUTを当てた後に波形を見ながらコントラストを微調整するだけで、ビデオルックのいい画になりました。

 

特に後半の作品は、登場人物が全員白いシャツを着ているという恐ろしいシチュエーションだったのですが、V-LogL撮影では一瞬たりとも白トビすることなくレンジに収まっていました。それどころか最終的に各人の白いシャツのニュアンスまで描き分けていました。これを一度体験すると、4:2:0 8bitにしたときに後悔しそうです。実は舞台撮影にこそ10bit Logなのかもしれませんけど。でも普通に考えれば、オール8bitで引きのカメラ1台だけ4Kってところが現実的かもしれません。次の機会にどうするか、本当に悩みます。