レポート:takumifone
協力:日本サムスン株式会社/ITGマーケティング株式会社

このレポートでは、iPhone 15 Pro/Pro Max用の撮影用のリグとして最強とも言えるTILTA Khronosを紹介しながら、そのシステムでSSDに外部収録する方法を、SamsungポータブルSSD T7 Shieldで実験してみる。iPhone 15 Pro MaxとT7 Shieldの組み合わせについてはこちらでレポートしているが、このときも発売前のTILTA Khronosのデモ機を利用して、USB-C給電をしながら、「冷却」、「Magsafe充電」、「SSDデータ転送」を同時に行い、無事に収録することができた。今回の条件として違うのは、30度を超える真夏の屋外であること。そしてデモ機をお借りしたときにはなかった「専用USB-Cハブ」というパーツが加わったこと。このUSB-Cハブがあれば、ここから T7 Shieldに接続して外部収録できるのではないかと想定できる。結果的には、Khronosの空冷ファンとUSB-Cハブは同時稼働することはできなかったが(後述)、空冷ファンの効果は実感することができた(編集部)。

TILTA Khronosとはどんなシステムか?

TILTA Khronosが発売されて早5カ月、iPhoneographerとして撮影のお仕事に使ったり、実験映画を撮ってみたりと、いろいろな使い方をしてきましたが、結論から言うと優れた製品だと思います。

筆者が全編iPhone 15 Pro MaxとTILTA Khronosで撮影した短編映画。「主観的な時間」を意味する“Khronos (原語はChronos)”の対になる言葉、「客観的な時間」を意味する“Kairos”(カイロス)をテーマに制作しました。

超広角レンズ13mmを使ってもケラレのない専用フィルター。MagSafeで充電、冷却ができるクーリングファン。5000mAhのバッテリー機能も兼ね、ケーブルレスでクーリングファンを通してiPhoneの充電、冷却ができ、BluetoothでBlackmagic Cameraと純正カメラアプリの録画、ズーム、フォーカスができるPDハンドル。専用USB-Cハブなど、iPhoneographerとして欲しかった機能が満載のTILTA Khronosですが、中でもクーリングファンは傑作だったと思います。

TILTA Khronosのアクセサリー群。これらの他にもハンドルや、専用LEDライトなどたくさんのアクセサリーがあります。
クーリングファン (商品名:Khronos Cooling System for iPhone)
左の稲妻マークのボタンが充電、右側のファンのマークのボタンが冷却です。

このクーリングファンは5000mAhのバッテリーも兼ねたPDハンドルから、MagSafe機能を通して流れてくる電力によって、iPhoneの充電と冷却が同時にできる優れ物。USB-Cケーブルを直接接続することもできます。マグネットとはいえ、簡単には落下しないなど、かなりしっかりしていますね。

PDハンドル (商品名:Khronos Focus PD Handle for iPhone)
5000mAhのバッテリーが内蔵され、Bluetooth接続でBlackmagic CameraもしくはAppleの純正カメラアプリ上にて録画、ズーム、フォーカスアジャストができる代物。
PDハンドルはケース上にある電子接点マウント上ならどこでもケーブルレスで接続でき、PDハンドルからの電力がクーリングファンのMagSafe機能を通してiPhoneを充電、冷却します。クーリングファンを装着しない場合でも、PDハンドル付属のUSB-Cケーブルを直接iPhoneに差し込み、充電することができます(画像はUSB-CハブのケーブルがiPhoneに接続されている状態)。
PDハンドルに付属するUSB-Cケーブルはグリップ内に格納することができます。
左のようにケーブルを格納してケースに装着することもできますし、あえてケーブルを外に出して、USB-Cハブからのケーブルの上に装着することも可能です。

USB-Cハブとクーリングファンは同時使用できないという仕様

毎年暑くなる日本の夏。iPhoneに限らず炎天下で撮影中のカメラは熱くなりやすいという問題がありますが、クーリングファンはiPhoneにとって救世主となるものでした。

炎天下でのiPhoneの限界を試すために、iPhone 15 Pro MaxにTILTA Khronosを装着、そこにT7 Shieldを接続し、どこまで持ちこたえるかをテストしたいと思います。

理想を言えば、下の画像のようにPDハンドル、USB-Cハブ、クーリングファンを接続し、「PDハンドルとクーリングファンによる充電・冷却、USB-Cハブを介してのSSDとマイクなどの外部デバイス接続」が同時にできると良いのですが、TILTA Khronosの場合、クーリングファンとUSB-Cハブの同時使用は、オーバーヒート防止のため不可能ということがわかりました。

画像のようなセットアップだと、電圧の関係でクーリングファンもしくはUSB-Cハブのどちらかが使えません。

そこで、今回のセットアップはこんな感じになります。

USB-Cハブは使わず、PDハンドルをケーブルレスでフレームに接続、PDハンドルからの電気をフレームを通してクーリングファンに供給、iPhoneを充電・冷却、T7 ShieldとiPhoneは直接USB-Cケーブルで接続します。

今回の目的は灼熱環境での撮影なので、マイクなどの外部デバイスの接続は諦める代わりに、PDハンドルをフレームにケーブルレスで接続しクーリングファンのMagSafe機能を通してiPhoneを充電・冷却します。空いているiPhoneのUSB-CポートにT7 Shieldを接続することにしました。

32度の屋外でクーリングファンの助けを借りてiPhoneとT7 Shieldを回す

気温は32度。暑いです。通常のiPhoneだったらものの10分も使用していればオーバーヒートぎみになってしまいますが、TILTA KhronosとSamsung T7 Shieldの組み合わせでどれくらいこの暑さを乗り切ることができるのか?

収録のコーデックは「4K 60fps、ProRes 422 HQ」と滅多に現場で使うことのない、最大容量のモードで撮影。このモードで数十分でも撮影できればどんなコーデックでも問題ないという魂胆です。

Blackmagic Cameraの設定画面。最高ビットレートのApple ProRes 422 HQに設定。
同じくBlackmagic Cameraの画面。収録予定時間は2時間半弱。60fpsに設定。
T7 ShieldとiPhone 15 Pro Maxを接続。ご覧の通りT7 Shieldはすっからかんです。
クーリングファンのファンのモードだけオンにします。青色に光っているのがファンが回っている証拠。クーリングファンの右側のファンのマークのボタンを押すことで2段階で設定できます。
ファンの左側の稲妻のボタンを押すことで充電も同時に可能。白く光っているのがMagSafe充電されている証拠です。

セッティングをしている自分が先にオーバーヒートしそうなのですが、どのような結果に落ち着くのか…。収録開始!

結果

iPhone 15 Pro MaxにTILTA KhronosとT7 Shieldを装着、外気温32度に放置している間、自分は部屋に戻りお昼寝をしていたのですが、目が覚めてiPhoneを見てみるとこんな表示が…。

要するに「暑い!」と…。そりゃそうですよね。炎天下の中に放置されていたらどんなカメラだってこうなります。でも撮影された素材を見てみると…。

1時間54分も撮影されているではないですか!これははっきり言って革命的というか、予想外に長い撮影時間でした。ごめんよiPhone、こんな暑い中放置をしてしまった。というかこんなにお昼寝していた自分に絶望です。

夏でもiPhoneで2時間弱の連続記録は可能!

ここまで、TILTA Khronosにフォーカスしてレビューを行なってきましたが、1つ、重要なことに気づいたんです。

「約2時間の撮影に耐えたT7 Shield、凄くない?」と。

iPhoneに接続されるSamsung T7 Shield

PCに接続するなどの普通の使用の際でさえも、SSDは熱くなりがちですが、今回の外気温32度でiPhoneに接続されるという過酷な環境にも関わらず、T7 Shieldに関するエラーは一度も出てきませんでした。iPhone側はクーリングファンで冷やしていたわけですが、T7 Shieldは何もしていません。これってかなり凄いことで、僕がTILTA Khronosに夢中になっている間にしっかり仕事をしてくれていたんですね。これからiPhone 15 Pro、もしくはiPhone 15 Pro Maxで灼熱の環境下で撮影する際には、TILTA KhronosとT7 Shieldがあれば対応できるということでしょう。

といった形でちょっとした実験を行なってみましたが、TILTA KhronosとT7 Shieldの組み合わせ、iPhone 15 Pro、もしくはiPhone 15 Pro Maxの撮影セットアップとしては最強の組み合わせかもしれません。iPhoneographerの皆さんの参考になれば幸いです。


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