映画を起点に、ドラマ・お笑い・ブランデッドショートなど、異なる表現の現場や「つくり方」をミックスしながら、 新たなコンテンツを生み出し続けるスタジオねこ代表の雨無麻友子さん。本記事では、そんな雨無さんがこれまで携わってきた数々の作品を例に、制作過程で実際に行なってきた判断や試行、変容するコンテンツの時代における映画の哲学とその「呼吸」など、プロデューサーならではの思考について詳しく解説してもらった。

講師 雨無麻友子 Mayuko Amanashi

映画プロデューサー、株式会社スタジオねこ 代表取締役。1994年東京都生まれ。映画祭の主宰を経て、株式会社LDS映像事業部にて映画・ドラマのプロデュースに携わり、退社後に株式会社スタジオねこを設立。2020年、映画『ビューティフルドリーマー』が公開。2023年には『Forbes』30 UNDER 30 JAPAN 2023に選出。ドラマ『量産型リコ』、Netflix『トークサバイバー』、映画『生きててごめんなさい』などを手がけ、藤原さくら主演作『迷子のわたしは、諦めることもうまくいかない』は東京ドラマアウォード2025ローカル・ドラマ賞を受賞。2026年3月には、ドラマ『ストーブリーグ』、映画『青い鳥』が公開された。






©2020映画「ジャパニーズ スタイル」製作委員会



©CS日テレ



©2023 ikigome Film Partners.



©2026 TOHO CO., LTD.



©FANY Studio







プロデューサーになるまでの経緯

作ったものや選んだものに責任を持てる仕事をしたいという気持ちから独立へ

スタジオねこの雨無麻友子と申します。私は幼少期からホラー好きの母親の影響で、多様な映画を見て育ってきました。大学時代には東京学生映画祭に参加し作品のキュレーションをする中で、監督や作品の伝えたいことを届けるにあたって不足している部分を見つけては補いたいという気持ちが自分の中にありました。また、「この人、もっとすごいのになぜ映画館で上映しないんですか」といったフラストレーションを関係者に伝えたり、そういったことを続けるうちに、周りから「プロデューサーに向いているんじゃないか」と言ってもらうことが増えていきました。

本来映画プロデューサーになるには東宝、東映、松竹など入社が主な考え方としてあるかと思いますが、実はその3社全てに落ちています。これは恨み節ではなく、「落ちてもやっていいんだぞ」というメッセージとしていつも言うようにしています。

その後、制作会社に就職し、本広克行監督の踊る大捜査線のスピンオフ『警視庁捜査資料管理室』のような風変わりな作品に関わり、現場を学びました。ただ、自分が作ったものや選んだものに責任を持てる仕事をしたいという気持ちが大きくなり、スタジオねこを設立しました。設立後はバンダイさんとコラボしたドラマ『量産型リコ』や、佐久間宣行プロデューサーの企画でNetflix『トークサバイバー』のドラマパートなど、”変わったものを作れるプロデューサー”として声をかけてもらえるようになっていきました。



傍流のプロデューサーとして

時代の変換期を見据え「本当に届けたいコンテンツとは何か」を考える

私自身、いわゆる“ザ・映画プロデューサー”というタイプではありません。「いろんな流れや出会いによって今こうなっている」という傍流の人間です。自分の個性はジャンルの色というよりも、作り方自体を毎回アラカルトにしていくところにあると思っています。コメディやユーモアのある作品を意識して作る部分はありますが、それ以上に作品ごとにつくり方そのものを変えていくことができるプロデューサーとして重宝してもらえているのだとも思っています。

昨今は動画もスマホで見るようになり、映画との出会い方も変わってきています。「どのように映画を届ければいいのか」という部分を考える必要があり、それがコンテンツ自体にも影響を与えていると考えています。

スタジオねこのコンセプトとしては、「100年後にも楽しんでもらえる映画をつくる」ことを目指しています。ただ、時代の変換期は目指しているものと別に起こり得るものなので、その上で本当に届けたいコンテンツとは何かをしっかりと考えなければならないと思っています。



株式会社スタジオねこ

コンテンツの新しいつくり方をつくる映像制作会社。数多くのプラットフォームがある中で、自由にコンテンツをつくり拡げていけるよう知恵を絞っている。最終的な目標のひとつに「100年後にも楽しんでもらえる映画をつくる」ことを掲げており、そこに向かうために1歩ずつ日々研究を続けている。