4K、8K制作のワークフローにも最適な超高速RAID、G-RAID SHUTTLE SSD。国内外さまざまな現場でドキュメンタリー制作を行う岸田浩和さんにウエスタンデジタルの新ブランドSanDisk Professionalの最上級モデルであるG-RAID SHUTTLE SSDを試してもらい、実際の制作現場でどのように使われ、どんなメリットがあるのかを訊いた。

取材・構成・文●笠井里香/協力●ウエスタンデジタル

 

 

SanDisk Professional G-RAID SHUTTLE SSD

オープン価格(8TB/16TB/32TB)
受注生産品

G-RAID SHUTTLE SSDはシンプルな直方体で、デスク周りにも収まりやすい形。前面のフラップを開いて、中に8台のSSDを装填する。RAID0、1、5、10、50、60に対応。出荷時はRAID5に設定された状態となっている。

 

 

常時使用する4TB前後の撮影データをストレスフリーで管理できる

僕は普段、ドキュメンタリーを中心に映像制作を行なっています。ニュースサイト向けの10分前後の映像を制作するために、全体の素材量は3TBから4TBになります。以前はもっと軽かったのですが、4K/24p 4:2:2 10bit収録になり、基本的にカメラ2台で長回しすることも多いため、元のデータも大きくなっています。この設定で撮影するのは、例えばLUTを当てた際に夕日や空のグラデーションなど、8bitと比べるとカラーバンディングが少なく、編集時に画像処理を行うのにもメリットがあるためです。


▲撮影現場での岸田さん。

 

これまでは編集作業用と保存用のRAID(RAID5)をHDDで組んで運用してきました。ドキュメンタリーでは撮影素材も膨大になるため、素材は編集用のRAIDにコピーして、Mac Proで編集します。完成後、納品してから3カ月前後は保存用のRAIDで保管。広告用、取材用、長編の映画にするものなど、用途別に分け、常時30TB程度のデータを保存しています。

今回、SanDisk ProfessionalのG-RAID SHUTTLE SSDを実際に使用し、一番メリットを感じた点はやはり書き込み、読み出しともに転送速度が速いことでした。RAIDを組んでいても、結局問題なのはコピーが終わっていないのに終わったと思ってデータを消してしまうとか、コピー中に停電してしまったとか、人為的や突発的ミスです。今までの環境ではデータのコピーに1TBあたり30分程かかっていたところが、G-RAID SHUTTLE SSDなら8分程でコピーが完了するので、ロケに行く準備もギリギリまでできるし、移動中に編集することも可能になります。本当にストレスフリーという言葉がぴったりで、これを体験してしまうと(精神的にも)すごくラクだし、今後HDDには戻れないでしょう。

 

圧倒的に速いから編集もラクになる!

スピードテストではRAID5設定で書き込み1515.4MB/s、読み出しで1870.7MB/sと、これまで使っていたHDD RAIDの約3倍近い速度が出ました。今後、映像データは6K/8Kとさらに高解像度・大容量になっていくと思います。これまでCPUもGPUもグレードの高いものを選んできましたが、HDDがボトルネックになって編集時にもたつくことがありました。しかし、G-RAID SHUTTLE SSDではサクサク動いてくれました。SSDを導入すれば納品までのスピードも上がると思います。

 

 

容量とデータ保全の面からも有利なRAID5

僕がRAID5に設定しているのは、ミラーリングのRAID1だと単純に容量が半分に減ってしまうし、RAID0では速度は出るものの仮にどれか1台が壊れてしまった場合、データの保全ができない。僕は容量とデータ保全の面からRAID5を選択しています。前述の人為的なミスの次に起こりうるのが、ドライブの劣化です。HDDはもとよりSSDですら消耗品であるため、経年で劣化や故障が生じます。こうしたリスクに備えるため、RAIDの使用が役に立ちます。

特にRAID5は、複数のディスクをひとつに束ねて大きなストレージとして使用する仕組みなので、RAID1または6に比べ速度も出ます。さらに複数のディスクにデータを分散して二重に記録するため、1台のディスクが故障しても、他のディスクに残ったデータが欠損したディスクの内容を補完してくれます。

RAIDの豆知識

RAIDとは複数のHDDまたはSSDを組み合わせることで、ひとつの仮想ディスクとして認識させ、冗長性を向上する技術。よく使われるRAIDレベルは上の種類。RAID0は耐障害性はないが、複数のディスクに分散して読み書きすることで転送速度が上がる。RAID1は耐障害性に優れているが、容量が搭載ディスクの半分以下に減る。RAID5はRAID0を1台のディスクが故障しても復旧できる。RAID6はRAID5を拡張して2台までのディスクが故障しても復旧可能にしたもの。RAID10はRAID1と0を組合わせたもの。さらにRAID10と5を組み合わせたRAID50やRAID10と6を組み合わせたRAID60もある。

 

 

優れたデザイン性と静音性も魅力

HDDを長時間使用していると、熱によってスピードが明ら かに落ちてくることがあります。重量があっても放熱性が高いものを使いたいのが本音です。SanDisk ProfessionalのG-RAID SHUTTLE SSDは裏面に大きなファンがあり、放熱性能はとても高いと思います。 SSDなので、HDDが回転する際の音がなく、ファンが回っていてもとても静かなので、音が気にならないという面でも魅力を感じました。特に音をメインで仕事をする方にもこの静音性はとても良いのではないでしょうか。

また、そのまま持って移動することを想定したハンドルは、外装と一体化しているため重ねやすいデザインになっているのもいいですね。車での 移動であればそのまま積み込めますし、スタックも簡単です。サイズ的にも床面積が同一で高さ違いなので、デスク周りへの配置もしやすいと思います。

▲裏側に大きなファンがあり、高い放熱性能を持ちつつも静粛性も高い。


▲直線的でシンプルなデザインで、スタックしやすく、車に積載して現場に持ち込む際にも収容しやすい。

 

 

SDカードとポータブルSSDもトラブル知らず!

撮影後の膨大な素材は日帰りロケの場合は帰宅後に、RAID にバックアップを取り、数日かかる場合にはSDカードに残し つつ、宿泊先などでポータブルSSDにもコピーする。SanDisk Extreme900とポータブルSSDを複数枚持っていて、外で編集 をする際にロケ先で使っている。複数人でのデータのやりとり がある際にも便利だし、SSD自体が軽い上、衝撃にも比較的 強いので重宝しているという。カメラで使用するSDカードも SanDiskのExtreme PROを使用。「これまでロケ先でのトラブル は一度もありませんし、とても信頼しています(岸田さん)」


▲ロケ先で使用するMacBook Pro、Panasonic LUMIX S1H、GH5。さらに、カードリーダー、SDカード、ポータブルSSDもSanDiskを使用している。

▲SDカードもSanDiskのExtreme PROを使用。数年単位で定期的に新しいものに交換している。

 

 

●製品の詳細はこちら
https://www.westerndigital.com/ja-jp/promotions/sandisk-professional/product-launch

 

 

VIDEO SALON 2022年5月号より転載