ソニーは9月IBC2017で発表した、新開発の1.25型8Kイメージセンサーを3CMOSのシステムカメラ、UHC-8300の実機とデモ映像、スルー画像を会場で見せていた。

デジタルシネマカメラのCineAltaシリーズとしては、VENICEを発表したばかりのソニー。こちらの8Kシステムのほうは、完全に放送業界、特に2020年に東京オリンピックをはじめとしたスポーツイベント中継を想定している。そういった用途で現場から求められていたのが、ある程度の深い被写界深度で撮れること。35mmフルサイズでの撮像まで可能にしたVENICEとはまったく逆の方向性だ。

UHC-8300は1.25型の8Kセンサーを3枚使った3CMOSカメラ。8K/120p、HDR、BT.2020に対応し、スーパーハイビジョン放送での中継を想定している。ポイントは1.25型の3板というところで、さすがに2/3インチは感度の点から諦めざるを得なかったが、8K解像度の画素を持ちながらF8という4Kカメラ並みの感度を実現できる1.25型をソニーは選択した。この1.25型のセンサーとレンズマウントは、すでにNHKが現在使用している8Kカメラに採用例があり、ARIBにも登録されているもの。今回のブースでのデモはNHKから借りたキヤノンのズームレンズを装着していた。ARIBに登録された規格とはいえ、これまでは一品モノで作られてきたものなので、レンズラインナップとしてはないに等しい。現実的な路線として、2/3インチから1.25型センサーマウントに変換する光学アダプターを、キヤノンとフジノンが開発しているという。つまり、8K解像度をカバーできるかどうかは別にして、現行の2/3型のB4マウントレンズが使用できるというわけだ。これならスポーツ中継のカメラを8Kに置き換えていくことができる。

ブースでのデモでは、8K映像のスルーをアストロデザインの8Kモニターで見せていたが、非常に高精細でノイズの少ない映像だった。また絞りが開放付近であっても、被写界深度もある程度確保されている。たとえば下のような画角で、スーパー35センサーであれば、人物にフォーカスを合わせたときに、手前の置物と奥の花は大きくぼけそうなものだが、1.25型であれば、ある程度ピントがきている。

8Kモニターのとなりには、マスモニの4Kモニター、X300が置かれていて、ダウンコンバートと4K切り出しをみせていたが、これもまた切り出しとはとても思えない画質だった。

現行のソニーのラインナップでは、8Kのモニターはなく、また8Kを記録するレコーダーも存在しない。ただ今回の8Kカメラのデモ映像は実際に8K RAWで収録されているので、そのあたりは2020年までには登場してくるはずだ。