女子社長 一人ライブ配信奮闘記 その3 〜プロ機材ドットコム 本格的にライブ配信ができるスタジオ「ハブスタ」のオープン


REPORT◉森下 千津子(プロ機材ドットコム Inter BEE 2019(11月13日〜15日)幕張メッセ 6ホール ブース6101に出展

 

本格的にライブ配信ができるスタジオ「ハブスタ」のオープン

私がライブ配信をやりたいというだけで社内に作ってしまった趣味の配信スタジオだが、前回ゲストを迎えた配信でいろいろな失敗をしたことにより、「きちんとゲストをお迎えできるレベルのスタジオを作りたい」という熱がすっかり高まってしまった。そこで、ライブ配信に特化したスタジオである東京の「ヒマナイヌスタジオ」(通称ヒマスタ)でお馴染みの川井拓也氏をお招きして、当社スタジオをプロの手でブラッシュアップし、ヒマスタ型スタジオとしてより認知してもらうための配信イベントを行うことにした。※川井拓也氏の連載「動画スタジオ運営日誌」はこちら

 

まずは機材のセッティング

最初に、まず社内のどこをスタジオとして使用するのかを決めなければならなかった。候補としては前回までのテスト配信で使用していた会議スペースがあったが、普段は来客対応や会議で使う場所のため、機材を常設できないというデメリットがある。私がまだオペレーションに慣れていないということもあり、常設が可能なスペースを探すことにした。そこで現在は使用していない窓際のデスクまわりを整理し、そこに常設可能なスタジオスペースを作ることとなった。

プロの川井氏はとにかく仕事が早い。設置場所が決まったら、機材を次々と並べて着々と配線を繋いでいく。あまりにも早くどんどんできてしまうので、私が次回以降自分で再現することができないのではないかと心配していたら、ちゃんと私がわかるようにテプラならぬ手書きテプラ(というかテープにマジックで書いたもの)を貼ってくれていた。2台のスイッチャーを中心に、3台のカメラ、マルチビューモニター、配信画面確認モニター、ギャラリー用モニター、映像出しPC、Liveshell.Xを次々と繋いでいく。最後に、マイクの接続のみとなった。マイク用にYAMAHAのアナログミキサーMG06Xを用意しており、これを介してスイッチャーに音声入力するつもりだったが、初心者の私はオーディオ用のケーブルを一緒に買っていなかった。というわけで、今回はミキサーを使用せず、マイクの音声を直接スイッチャーに入力することにした。

▲窓際の使用していないデスクを活用して、ここに配信用のコーナーを作ることにした。

▲マイク位置、座る位置、カメラやモニターにまで、どんどん手書きの注意を貼っていく。テプラより早い。

 

Rolandの2種類のスイッチャーを使用してみる

今回は、沖縄でライブ配信に興味のある人が参加可能な公開イベントとしたので、ローランド株式会社様にご協力をいただき、AVストリーミングミキサーVR-1HD とマルチフォーマットビデオミキサーV-02HD という2台のスイッチャーを貸し出していただいた。Rolandのスイッチャーはオートスキャンという自動スイッチング機能が使えるが、今回お借りしたVR-1HDは音声に連動したスイッチングが可能となっている。つまり、話をしている方のカメラに切り替えることができる。今回は、せっかくなのでこの機種のウリでもある音声連動スイッチング機能を使うことにした。また、オーディオミキサーのケーブルを用意するのを忘れた私だったが、幸いVR-1HDはAVストリーミングミキサーというだけあり、音声のミキサー機能も備えている。ミキサー無しでもマイク2本の音声の調整が独立して可能である。

また、V-02HDとの2台使いにより、前回の課題だったPC映像の挿入がスムーズになった。3台のカメラの映像をVR-1HDに入力し、そのVR-1HDと映像出し用PCの2入力をV-02HDを使用して切り替える。V-02HDはフットペダルも使用可能で、プレゼン等でPCとカメラを切り替えるのにも便利だ。

さて、すべての機材の配線は終わったが、実際に音声連動スイッチングをテストしてみる。マイクについては、指向性のあるマイクで2本のマイクがそれぞれに入る音をはっきりと認識できないと自動スイッチングが難しいと聞いていたので、今回は無指向性のラベリアマイクではなく、ダイナミックマイクを使用した。指向性のダイナミックマイクを使用しても、音声連動スイッチングを使うには少々コツがいる。とにかく、スイッチャーがそれぞれの音声をきちんと認識できるよう、2本のマイクの入力レベルにきちんと差がでるように、2人の出演者の座る位置、顔の向き、マイクの向き等に気を配る必要があるということがわかった。いろいろ試した結果、出演者が横並びでもきちんとマイクがレベルを認識できる距離感と向きで位置を固定するとうまく音声に連動したスイッチングができた。
※音声連動の自動スイッチング詳細についてはこちらをご参照ください。

▲RolandのAVストリーミングミキサーVR-1HDをメインにカメラのスイッチングを行い、マルチフォーマットビデオミキサーV-02HDでVR-1HDとPC入力のスイッチングを行った。

▲1000円程度で市販されているダイナミックマイクを使用。廉価だがインターネット配信なら十分。

 

 

カメラアングルに合わせて番組のスタイルを決める

前回の配信で大きな課題となってしまったカメラアングル問題についても、プロの川井氏に相談した。プロ機材ドットコム商品としても売りである背景幕を使うのであれば、一つの面を見せることしかできない。そうなるとどうしてもテレビバラエティ型の配置とするしかないが、2mの背景の前に座れるのは多くても2人。テレビ番組のコメンテーターが並ぶような配置で、2人までが精一杯だった。

▲まだリハーサル中。二人真面目な顔でテレビの報道番組っぽい雰囲気になっている。

使用するカメラはパナソニックのLUMIX GH4を3台。それぞれ正面に配置し、MCの寄り、ゲストの寄り、そして2名両方が映る引き、という3種類のアングルに合わせてレンズを選択する。ゲストの体格に合わせて、三脚の位置をあまり動かさずに柔軟に画角を決めやすいようズームレンズを使用した。寄りのカメラには12-60mmと12-35mmのレンズを使用(マイクロフォーサーズ換算)。引きの画角には広角レンズを使用すると、2名全部入れるには背景幕内に人物が収まらず見切れてしまう。そのため、35-100mmの望遠ズームを少し離した位置から望遠側で使用した。

▲人物をちょうどよい大きさに入れようとすると、背景幕のサイズが足りない。しかも太って見える。

▲望遠側であれば背景のサイズがギリギリでも人物が収まる。

このように、実現可能なカメラアングルを決めてから、その絵が作り出す雰囲気にあったコンテンツを決める。普通はコンテンツに合わせてアングルを決めるだろうが、今回は、社内の空きスペースを活用すること、背景幕を使用して見せたくない汚い部分を隠すこと、という2つの制約があったため、逆にこの制約の中で作れるスタジオに合わせたコンテンツを考えるという方向になった。結果、このスタジオにはテレビバラエティ型のコンテンツの配信に向いているということがわかった。

 

背景を選定する

汚い部屋を隠したり、会社の中で見せたくないものを隠すのに有効なのが背景幕だ。当社で販売しているマイクロファイバー製の撮影用シーン背景は、起毛素材のため光を吸収し、変な反射がなくリアルな立体感が出て、肉眼で実物を見るよりも映像を通して見たほうが美しい背景幕だ。ニューヨークの摩天楼、女子の部屋、バー、歌舞伎町、沖縄の海、書斎の本棚等、コンテンツに合わせて選択ができるよう、様々な背景のサンプルを作ったので今回試しに使ってみた。どれもそれぞれ特徴があって、番組の内容に合わせて選択肢の提案ができそうだったので、今回は使用事例として、4種の背景を使用してみることにした。結果、ニューヨーク摩天楼は報道番組っぽい雰囲気に、バーはカジュアルなトークショーに、キッチュな歌舞伎町はバラエティに、書斎はアカデミックなインタビュー等に使えそうで、人物が入った時のイメージができた。

▲沖縄らしい海からの中継というのをやりたくて、海の背景も作ってみた。

 

▲イベント参加者の西口誠さんが作ってくれたハブスタオープニングムービー。このイベントで使用したそれぞれの背景幕とゲストの写真をもとに作ってくださったので、背景幕使用事例集のようになっている。

 

「ハブスタ」誕生イベント

いよいよ「ハブスタ」オープンの時が来た。かなり直前の告知だったにもかかわらず、イベントには約10名の方が参加してくださった。これから配信スタジオをやってみたいという方から実際に現在配信をされている方まで様々な人が、機材を見てみたい、川井氏の話が聞きたいと集まった。

オープニング画像、タイトル画面出しはGoogleプレゼンテーションを使用する。これは川井氏の手法なのだが、ゲストが挿入したい資料等がある場合、ゲストとのデータのやり取りが最もスムーズにいく方法だという。インサートのVTRを直前ギリギリでなんとか撮影し、ほぼ編集なしでYouTubeにアップしたものをGoogleプレゼンテーションに貼り付ける。YouTubeとGoogleプレゼンテーションを介すことで、インサートVTRも手間がかからず簡単に準備できる。前半はGoogleプレゼンテーションを使用しながら川井氏の慣れたリードに任せ、後半は私が来場者ゲストで配信に映ってもよいという人をステージ上に招き、どういう人なのか、何をやっているのかインタビューをしていくという番組になった。

今回誕生した「ハブスタ」は、番組内容に合わせて背景が選べるテレビバラエティ型のスタジオという方向性に定まった。複数名での座談会には不向きだが、1名でのプレゼンテーションやセミナー講義、2名でのテレビバラエティや報道番組っぽい進行に向いている。一つのスタジオセットではどうしても向いている内容向いてない内容があり、オールマイティなスタジオというのはなかなか難しい。だがハブスタはこれからスタジオとしての本格営業に向けて、どんどんブラッシュアップして進化していく。

▲参加者は皆機材に興味津々で、放送終了後もデスク周りに集まり機材構成をチェックしていた。

 

使用機材

カメラ
LUMIX DMC-GH4 3台

レンズ
H-HS012035(12-35/2.8Ⅰ)
H-ES12060(12-60/2.8-4)
H-HS035100(35-100/2.8Ⅰ)

スイッチャー
Roland VR-1HD
Roland V-02HD

・マイク
Classic Proダイナミックマイク 2本

モニター
プロ機材ドットコム 4K対応7インチモニター

照明
プロ機材ドットコム ロールフレックスLEDライト RX-12TD+RX-12SB 2台
プロ機材ドットコム ビューティーライトKD-BL48LED-W

・背景
プロ機材ドットコム バックグランドサポート B-910HB
プロ機材ドットコム マイクロファイバー背景布

・配信エンコーダー
CEREVO Liveshell.X

・その他
三脚、卓上用ミニ三脚、電源タップ、HDMIケーブル、マイクロHDMIケーブル、カメラ電源カプラー、ノートPC等

 

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