他社に比べて4K化が遅れているキヤノンEOSだが、ようやくEOS-1D X MarK IIで4Kに踏み出す。しかも単なる4Kではなく、4K/60p、フルHD/120pも実現。ムービーカメラとしてもレベルの高い画質と機能を持っている。
EOS-1D X Mark IIは、4月下旬発売予定で、価格はオープン(推定税込み73万円前後)。レンズ交換式大判センサーカメラで4K/60pが可能な機種と言えば、ソニーFS7が100万円クラスなので、ムービーカメラとしても現状では割高ではない。ちなみに本機はCINEMA EOSシリーズではなく、Canon Logも搭載されない。
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4K/60pは、DCI規格(4096×2160)に準拠したもの。コーデックはMotion JPEGで、60pで800Mbps、30pでは500Mbpsといったひじょうに高い記録レートになる。カラーサンプリングはYCbCr4:2:2 8bit(HDの場合は従来のEOS MOVIE同様、4:2:0の8bitで、HDMIからは4:2:2 8bitで出力される仕様)。2020万画素のセンサーからドットバイドットで読み出すため、画角は1.4倍テレ側にシフトするが、スーパー35mmの撮像範囲は充分カバーしている。Motion JPEGを採用していることからもわかるとおり、4K動画からの静止画切り出し機能「4Kフレームキャプチャー」を重視。1フレームを切り出してJPEG保存することができる。880万画素の静止画を1秒間の60コマ相当のスピードで撮影できることになる。連続記録時間は29分59秒と従来のEOS MOVIEと同等。
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一方で、SNS等でシェアしやすいMP4のフルHDも採用。またハイフレームレート撮影機能により、フルHDの120p撮影も可能になっており、30pベースで滑らかな4倍スロー映像が得られる(1シーンの撮影時間は最長7分29秒)。
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記録メディアはCFとCFast2.0のデュアルスロット。4K/60pとハイフレームレートは、CFast2.0で記録する。CFast2.0に記録する場合、exFATファーマット対応により、従来は連続記録ができてもファイルが4GBで分割されていたが、1つのファイルとして扱える。
HDMIからのスルー出力も可能だが、フルHDまでで、4K映像をSHOGUNやNINJA ASSASSINでバックアップ収録することはできない。
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ボディとしても連続記録に対する対策をとっている。センサーとDIGICエンジンからの熱をヒートパイプによりバッテリー室天井へ伝達し、そこから外装へ伝熱することで熱を逃がし、内部に熱がたまりにくい設計になっているという。
フォーカス関連の機能も4K動画採用に合わせて大きく進化した。まず、35mmフルサイズセンサーとしては初めて、デュアルピクセルCMOSセンサーを採用。動画撮影時には背面のLCDのタッチ機能が有効になり、任意にタッチで選択した被写体にデュアルピクセルCMOS AFがフォーカス合わせる。また動画サーボAFにより、被写体の動きにAFフレームとピントが追従する。「顔+追尾優先AF」では、合焦した人物をフォーカスが自動的に追尾。「ライブ1点AF」では動画サーボAFの特性(追従特性と速度)をチューニングできる。
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音声端子はミニステレオ端子だが、マイク入力だけでなく、ライン入力レベルにも対応。
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サブ電子ダイヤルの内側に静電容量式のタッチセンサーを装備し、シャッター速度や絞り数値、ISO感度、露出補正、録音レベル、ヘッドフォン音量も、極力音をださずに調整することができる。
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抜けやすく、かつ故障しやすいHDMI端子・ケーブルへの対策して、ケーブルガードも同梱されるなど、映像制作現場への配慮もなされている。
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