ブラックマジックデザインは、米国ラスベガスで開催されているNAB(全米放送機器展)において、スイッチャー、キャプチャーカード等の新製品を発表した。
 

H.264エンコーダー搭載 ソフトウェアで操作するSDI対応低価格スイッチャー

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ATEM Television Studio
米国価格:995ドル
 ATEM Television Studioは1Uラックサイズの筐体で、Mac OS XまたはWindows対応のソフトウェアでコントロールするライブプロダクション・スイッチャー。豊富な機能を持つプロ仕様でありながら995ドルという低価格を実現している。
 映像入力は合計6系統で、HD-SDI/SD-SDI×4、HDMI×4、コンポーネント/Sビデオ/コンポジットから選択可能。音声入力はオーディオをSDI、HDMI、USB出力にエンベデッドするアンバランスAES/EBU入力×1。映像出力は合計6系統で、HD-SDI/SD-SDIのプログラム出力×2、HDMIのプログラム出力×1、H.264フォーマットのフルHD映像をプログラム出力できるUSB2.0端子×1(Media Expressを同梱する)、HD-SDI/SD-SDIのマルチビュー出力×1、HDMIのマルチビュー出力×1。音声出力はSDI出力×2のエンベデッド。
 HDMI端子の搭載により家庭用カメラも使用することができ、フレームシンクロナイザー内蔵でゲンロックも必要ないため、マルチカメラ撮影にかかるコストを大幅に低減できるのがメリット。また、10チャンネルのビデオをSDI/HDMIで接続したモニターに表示できるマルチビュー機能を内蔵。ラベルとタリーのインジケーターもカスタマイズでき、低コストで容易なモニタリングが可能だ。
 スイッチャーのコントロールはLAN端子で接続したパソコンのソフトウェア上で行うため、持ち運びも容易で、コンパクトな運用が可能。アップストリーム・クロマキーヤー、メディアプレイヤーのフレームストア(ロゴや背景、テロップ等を作成可能)、ダウンストリームキーヤー、フルトランジション、フェード・トゥ・ブラック、マルチビューモニタリング等の豊富な機能を備えている。別売になるが、ソフトウェアではなく、ATEM専用ハードウェアコントロールパネルで操作することもできる。
 特徴的なのは、スイッチャー機能に加え、H.264エンコード機能も搭載している点。フルHDでリアルタイムにH.264ファイルにエンコードできるので、スイッチングしながら同梱ソフトMedia ExpressでH.264ビデオを同時に記録、撮影終了後に即オンライン配信するという使い方も想定できる。

SDI/HDMI/USB3.0対応 ソフトウェアで操作可能なプロダクションスイッチャー

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ATEM 1 M/E Production Switcher
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左:ATEM 1 M/E Broadcast Panel/右:ATEM 2 M/E Broadcast Panel
ATEM 1 M/E Production Switcher 米国価格:2,495ドル 5月発売
ATEM 2 M/E Production Switcher 米国価格:4,995ドル 8月発売
ATEM 1 M/E Broadcast Panel 米国価格:4,995ドル 5月発売
ATEM 2 M/E Broadcast Panel 米国価格:14,995ドル 8月発売
 ATEM Production Switcherは筐体とMac OS X/Windows対応のソフトウェア・コントロールパネルがセットになったスイッチャー。筐体は入出力端子を備えるのみで、コントロールはイーサネットで繋いだパソコンのソフトウェア上で行うことで低価格を実現している。通常のスイッチャーのようにハードウェアで操作したい場合は、別売のBroadcast Panelも購入可能だ。ATEM 1 M/E Production SwitcherとATEM 2 M/E Production Switcherの2モデルをラインナップする。
 ATEM 1 M/Eは2Uラックサイズの筐体で、映像入力はHD-SDI/SD-SDI×4、HDMI×4、コンポーネント/Sビデオ/コンポジット×1の合計8入力。音声入力はXLR×2。映像出力はSDIプログラム出力×1、HDMIプログラム出力×1、SD/HDコンポーネントのプログラム出力×1、ダウンコンバートしたSDIプログラム出力×1、ダウンコンバートしたコンポジット出力×1、SDIプレビュー出力×1、SDI AUX出力×1、USB3.0端子×1。USB端子は10bitのフルHD映像を出力でき、同梱のMedia ExpressでAVIやDPX形式でキャプチャーできる。音声出力はSDI出力×2のエンベデッドとXLR×2。
 ATEM 2 M/Eは3Uラックサイズの筐体で、映像入力はHD-SDI/SD-SDI×12、HDMI×4、コンポーネント/Sビデオ/コンポジット×1の合計16入力。音声入力はXLR×2。映像出力はSDIプログラム出力×2、HDMIプログラム出力×1、SD/HDコンポーネントのプログラム出力×1、ダウンコンバートしたSDIプログラム出力×1、ダウンコンバートしたコンポジット出力×1、SDIプレビュー出力×1、SDI AUX出力×6、SDI M/E2プログラム出力×1、USB3.0端子×1。USB端子は10bitのフルHD映像を出力でき、同梱のMedia ExpressでAVIやDPX形式でキャプチャーできる。音声出力はSDI出力×2のエンベデッドとXLR×2。
 両モデルとも4系統のアップストリームキーヤーがあり、クロマキー、シェイプ、リニアキーが独立してトランジションブロックに搭載されている。また、DVEを内蔵し、2系統のダウンストリームキーヤー、スティンガーエフェクト、グラフィックワイプ、フェード・トゥ・ブラックも備える。
 ATEM Television Studioと同様、10チャンネルの映像を1台のHDMI/SDIモニターにマルチビュー表示することが可能。ラベルはカスタマイズでき、セーフエリアのマーカーも設定できる。また、2GBの内蔵メモリー付きのメディアプレイヤーを搭載しており、32の静止画と2つの動画をフィルとキー付きで保存しておき、アニメーションロゴ、背景等に使用ができる。

ハイエンド作品制作に対応する4K SDIキャプチャーカード

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DeckLink 4K
米国価格:595ドル 7月発売
 8レーンのPCI Expressスロットに装着するSDIキャプチャー・再生カード。4系統の3Gb/s SDI入出力を備え、YUV4:2:2とRGB4:4:4カラースペースで非圧縮のネイティブ10bit SD、10bit HD、12bit HD、2K、4K素材の高速な取り込み/再生が可能。DCI規格に準拠し、REC601、REC709、XYZといったビデオ・フィルムのカラースペースをサポートする。Mac、Windows、Linuxで動作するほとんどの主要編集ソフトに対応し、QuickTime、AVI、DPXといった互換性の高いフォーマットをサポートしているため、ポスプロ、放送、映画など様々なワークフローで使用できるほか、長尺の作品のためにPreRes、DVCPRO、DVCPRO HD、モーションJPEGなど様々な圧縮フォーマットにも対応している。また、左目用の2つのフルHD映像を直接キャプチャーでき、3D作品制作も可能だ。
 

非圧縮10bitキャプチャーが可能なSDI/HDMI対応SSDレコーダー

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HyperDeck Shuttle
米国価格:345ドル 5月発売
 電池で駆動するコンパクトなディスクレコーダー。スロットにSSDを装着し、カメラの映像をSDIやHDMIから直接非圧縮でSSDに記録できる。SSDの高速性を活かし、記録したSSDを取り出して直接eSATAでパソコンに接続して編集に取りかかれば、ファイルのコピー時間も短縮可能。堅牢なつくりになっているので、ロケ撮影やスポーツの撮影現場等でも安心して使うことができる。
 入力はHDMI×1、SDI/HD-SDI×1、出力はHDMI×1、SDI/HD-SDI×1。本体に再生操作のボタンがあり、テレビやモニターに繋げばプレビューが可能。デジタルサイネージやスイッチャーに接続し、再生用ソースとしても使用できる。

デュアルスロット&液晶搭載 非圧縮キャプチャー対応SSDレコーダー

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HyperDeck Studio
米国価格:995ドル 7月発売
 HyperDeck Shuttleの上位機種。SDIまたはHDMIから10bit非圧縮の映像をキャプチャーし、SSDに記録する。スロットは2つ搭載し、片方のSSDがいっぱいになるともう片方のSSDにリレー記録を行う仕組み。
 入力はHDMI×1、SDI/HD-SDI×1、出力は、HDMI×1、SDI/HD-SDI×4。1Uラックサイズで、前面には2つのスロットとVTRコントロールボタン、ジョグホイール、映像と共にタイムコードや転送情報を表示する高解像度のLCDディスプレイがある。背面には入出力端子のほか、外部RS-422リモートコントロール端子等を装備する。
 

Davinci Resolveの簡易版を無償ダウンロード提供

Davinci Resolve Lite
価格:無料 7月提供開始
 Davinci Resolveの簡易版の無償提供を開始する。最新のDavinci Resolve 8をベースに開発されたもので、フルバージョンと同様の高品質プロセッシングが可能だが、プロジェクトはSD/HDに限定され、使用可能なカラーコレクションのノードは2つまで、搭載できるGPUとRED rocketはシングルのみになる。最新のiMac、17inch MacBook Pro、Mac Proで動作する。
 Davinci Resolve Liteに含まれる主な機能は次の通り。
・高品質の光学リサイズ
・カーブ・グレーディング
・XMLインポートおよびエクスポート
・32ビット浮動小数点演算方式
・YRGB画像処理
・マルチレイヤータイムライン
・スタビライザー
・ウィンドウトラッキング
・プライマリー、セカンダリーグレーディング
・リアルタイム処理
・デッキコントロールつきのキャプチャーおよび再生機能
・サードパーティ製のコントロールパネルへの対応
 フルバージョンDavinci Resolve 8は995ドルで購入できる。
●ブラックマジックデザイン
http://www.blackmagic-design.com/