ブラックマジックデザインは、パラマウント映画制作のエルトン・ジョンの半生を描く伝記ミュージカル映画のカラーワークフロー全体を通して、DaVinci Resolve Studioが使用されたと発表した。「ロケットマン」は、マーヴ・フィルムズとロケット・ピクチャーズにより制作され、デクスター・フレッチャー(Dexter Fletcher)氏が監督を務めた。

同作は、ジョージ・リッチモンド(George Richmond)撮影監督(BSC)により撮影され、オンセットDITのワークフローは、Onset Techのジョシュア・キャリス=スミス(Joshua Callis-Smith)氏の手で開発・管理された。また、最終デジタルインターミディエイトとオンラインはGoldcrest Postが手がけた。シニアカラリストのロブ・ピッツィ(Rob Pizzey)氏が最終グレーディングを行い、Dolby Vision Domestic and Theatrical HDRとSDR Rec.709で書き出し、ラス・ホワイト(Russ White)氏とダニエル・トムリンソン(Daniel Tomlinson)氏がオンラインを担当した。

ピッツィとリッチモンドの両氏は映画の美術を使用して、レンズ、露出、照明のセットアップなどを行う、初期のテスト段階において、メインのLUTを決めることからプリプロダクションを開始した。「オンセットDITを通して、映画のベースとなるルックとして、複数の露出で3種類のLUTを作成しました。私は、ストーリーの推移を知らせるデイリー用の微妙なカラーの変化の作成を手伝いました」とキャリス=スミス氏は語る。

同氏は続ける。

「デイリーを担当したラボは、今回初めてBlackmagic eGPUを使用したのですが、5KのiMacでThunderbolt 3を介して今まで以上に速い処理速度を得られました。H.264エンコーディングでも同様の結果が得られたことには大変驚いています」

制作完了後、リッチモンドとピッツィの両氏は、撮影した映画から350フレームのスチルを選び、最終的なグレーディングに使用する、カラーの見本を作成した。その後、2日間かけて各シーンのルックを選び、それに基づきピッツィ氏が2週間におよぶグレーディングを行った。同氏は、カラーの見本を基に、美的な一貫性を保つために異なるルックをマッチさせたり、再編集に対応したり、必要に応じてVFXを追加するなどの作業を行った。

「幼いレジーの世界には、若干抑えた、彩度の低いルックを採用しました」とピッツィ氏は語る。「映画が進行するに従い、エルトンとしての世界が制御不能に陥ると、色が鮮やかになります。また、ビンテージのレンズを使用して、フレアを強調して、明るく刺激的な感覚を生み出すようにしました」

「ビンテージのレンズのソフトなルックを保つように心がけ、カーブの底部を調整しすぎないようにしました。あるシーンで、エルトンとレジー以外はすべて抑えたルックにしたかったんですが、シーンのラッシュには、多数の色が含まれていました。家のレンガは赤で、庭は緑に溢れ、ダンサーはカラフルなコスチュームを身につけていました。そこで、意図したルックを得るために、VFXチームにマットを作成してもらい、カラーグレーディングがダンスに参加する他の登場人物に及ばないようにしました」

と同氏は締めくくった。

 

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