2023年9月29日、SHIDAXカルチャーホール(東京都渋谷区)にて、社会課題に立ち向かう映画を作って活用する、NPO法人ブラックスターレーベルを設立について、報道関係者および応援者に向けての発表会が開催された。

このNPO法人の代表理事が昨年、連載「生存戦略会議」に登場していただいた田村祥宏さん(EXIT FILM)。この取材時にも「2、3年前からエネルギー問題についての映画を作っています。(中略)僕は公開という形式についてはいかようでもいいと思っていて、お金の回り方を考えています。レーベルを作ろうと思っています。これは新しいアイデアでも何でもなくて、みんながやっていることなんですが。だから僕も勝ち目のない闘いに身を投じるんです(笑)。映画への対価ではなく、レーベルへの投資をしてほしいということで設計をしている」と語っていたが(全体はこちらから)、それがNPO法人として正式に発表された。

▲冒頭挨拶する代表理事の田村祥宏さん。

ブラックスターレーベルは、『Art With Neighbors』をコンセプトに、アート/エンターテイメントが隣人として寄り添うことで、人々が自然体で社会の在り方に関心を持ち、ゆるやかな行動を起こしていく世界を目指す。社会課題に関するアート/エンターテイメント性の強い映像作品を生み出し、課題の認知を広めるという映画の特性を活かした役割と共に、人々がアートを介して分断を越えた対話のキッカケを作り、課題へ立ち向かうことをサポートしていくという。

NPO法人として以下の3つのアプローチにより活動を展開していく。

▲事業について紹介する理事の阿座上陽平さん。

01.映画興行 -映画を通じた社会参加
ブラックスターレーベルでは、複雑化する社会課題をテーマにした映画作品を制作していく。また、鑑賞者一人ひとりに内省と対話を促す作品を各地の映画館等で上映することで、地域の中に人々のつながりの場を生み出し、取り扱う社会課題への理解や関心を深めることも含め、これまでにはない市民の社会参画を促すきっかけをつくる。

新作映画「Dance with the Issue」は、1時間の映画本編とともに30分のシネマティック・リフレクション(内省パート)を作品に組み込んでいる。本作のコンセプトでもあるコンテンポラリーダンスを媒体に、意識を身体の内側に向けるワークを行い、映画による体験を感覚的に捉え、自分自身が本当に求めていることや未来のオルタナティブな可能性に気づく。

02.ワークショップ -対話と教育の場の創出
作品ごとのテーマである社会課題について、映画のリソースを活用し、対話の場やワークショップ、教育プログラムを開発・提供する。これにより、従来の映画鑑賞を超えた、深い気づきや対話への参加を促す。それぞれの地域や組織の中で、既に課題に取り組む方々や、学校などの教育現場での活用も進める。

03.ネイバーシップ(寄付金) -コミュニティ形成
さらに、レーベルの取り組みに共感し、ともに活動を広げていきたい方々に対して、一般寄付とは別にコミュニティサービスを展開(有償)。情報発信の場を設け、継続的に仲間を増やしてつながりあえる場を創出、強固なコミュニティを築いて社会へアクションを起こす人を増やしていく。

会の中盤では、新作映画の公開予定地である世田谷区下北沢、群馬県前橋市でそれぞれ街づくりに取り組まれている、ボーナストラックを運営する散歩社の小野 裕之さん、前橋まちづくりエージェンシーの橋本 薫さん、そしてブラックスターレーベル理事の太田直樹さんによるクロストーク、さらに群馬県知事の山本一太知事からもメッセージも上映された。

▲写真右から理事の太田直樹さん、散歩社の小野 裕之さん、前橋まちづくりエージェンシーの橋本 薫さん。

その後、新作映画『Dance with the Issue』が上映され(90分)、映画出演者の紹介、質疑応答が行われた。

▲NPO法人ブラックスターレーベルの理事。右から代表の田村祥宏さん、阿座上陽平さん、品川優さん、太田直樹さん、野間寛貴さん。

特定非営利活動法人 ブラックスターレーベル
代表理事:田村祥宏
所在地:群馬県前橋市千代田町2丁目10−2 comm
設立:2023年8月
事業:映画興行/ワークショップを活用した対話と教育の場の創出/コミュニティ形成

【問い合わせ先】
ブラックスターレーベル 広報:鈴木
Email:info@blackstarlabel.org