【リモートプロダクション構築の核は、池上の映像パケット化多重光伝送装置iHTR】

池上通信機株式会社は、大分県別府市・日出町をエリアとするケーブルテレビ局CTBメディア株式会社に映像パケット化多重光伝送装置「iHTR」をパナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社経由で納入し、8月1日に行なわれた「べっぷ火の海まつり」生中継で運用したことを発表した。

今回の中継は、4台のカメラで捉えた全ての映像・音声を本社サブまで光ファイバーで伝送するリモートプロダクションとしての運用スタイル。映像パケット化多重光伝送装置「iHTR」とローランドのネットワークオーディオ伝送装置「デジタル・スネーク」を用いて約6km離れた本社サブで最終段のスイッチング、ミキシング等を行い、番組を放映した

(iHTRは映像信号だけでなく、LAN信号やシリアル信号・接点、TS(DVB-ASI)の多重伝送も可能なため多彩な運用スタイルが構築できるが、今回の運用では、カメラコントロールは現場(VE担当)にて実施した)

今回の「べっぷ火の海まつり」でiHTRによるリモートプロダクションを初運用したCTBメディア株式会社制作部部長真砂聡一郎氏は

「既にiHTRを運用している長崎ケーブルメディア様に伺い、演出的なことも含めディレクターと一緒に実際の運用を見せて頂きました。独自で考えた運用ではなく、長崎ケーブルメディア様が形作ったものを非常に参考にさせて頂きました。エリアの光化を進める中では光伝送装置の更新もあり、素材伝送を単純に光で行なう手法もあると思いましたが、CATV局にとって一番重要なのは省力化であり、それが実現できる装置だと判断しました。以前の中継スタイルですと、現場と本社にSWとMIXが2クルー(計4人)必要だったのですが、このスキルを持つ4人を2人にすることができ、現場にもスキルのある人間を回せるようになりました。初めての中継で最初はとまどいもありましたが、実際に運用してみるとストレスは感じませんでした。」

「機器の選定に関しては、光の伝送機やIPの伝送機などがあるので、それぞれのメリット・デメリットを見比べて考えました。単純に映像を光で伝送する機器はありますが、自分たちのやりたいことが明確でないと選定は難しいのではないかと思います。他メーカーの光伝送装置も局間伝送で使用していますし、据え置きならばそれで良いと思います。しかし、今回のような中継用途で考えた場合、他の機器ですとスロット数が多くなり、筐体も大きく、コスト面で割高になってしまいます。その点、iHTRは、今回の中継の用途を満足させるCH数と価格帯でした。」

「池上とローランドが、このシステムで協業しているのも採用の決めての一つです。音声に関して、ローランドの機器ならば、REAC信号をiHTRとCat5eケーブルで接続すれば済むわけですから手間がかかりません。」

とコメントした。

 

iHTR series
映像パケット化多重光伝送装置

1本の光ファイバーに対してHD-SDIを非圧縮で最大6CHを多重し双方向で伝送することが可能な装置。また、映像信号だけでなくLAN信号やシリアル・接点、TS(DVB-ASI)の多重伝送も可能で煩わしいケーブル敷設作業を最低限に抑える。さらに、対向接続、ループ接続、チェーン接続など運用に応じた接続機能や信号のマルチドロップ機能、無瞬断回線切替機能など今までの光伝送装置では実現出来なかった様々なシーンで利用可能な製品となっている。

用途に応じて様々な運用スタイルが可能
◆ 対向接続
例えばスタジアムと放送局。6素材のカメラ映像と2CHの送り返し映像を1本の光回線で伝送できる。(ダークファイバー1芯で20km)

◆ チェーン接続
例えば、中継車を核とした出先現場。チェーン接続では、現場映像の伝送中に他の出先現場を追加したり切り離したりすることができる。現場中継の機動性が高まる。

◆ ループ接続
パケット多重伝送技術で今までは実現が難しかったループ状の接続が可能。どの出先からでも任意の映像の入出力が可能。

◆ 送電機能
送受電アダプタとの組み合わせにより、1km先の電源の無い場所から、光複合ケーブルで電源を供給できます。イベント会場等の出先と中継車間を結ぶ接続に最適。

◆ 冗長化
光複合ケーブルによる数珠繋ぎ運用において、1個所の出先現場で電源障害が生じても他の出先現場の映像に影響を与えない。

◆ 制御・監視機能
一つのiHTRに接続したタブレットPCから、全ての伝送を一括設定できる。

iHTR-100 series : 映像パケット化多重光伝送装置