「映像業界で働くあらゆる人が安心して働けるようになってほしい」 そのような想いから、 NPO 法人映画業界で働く女性を守る会(swfi)が、映画やドラマ、TV 番組全般に携わる仕事をしていた人を対象に「[ 映像業界] なぜやめた? アンケート調査」を実施したところ、118 名の回答が集まった。
質問内容は回答者の部署や職種、経験年数、やめた理由など計18項目。なかには自由記述の質問もあり、映像業界の労働環境の実情をリアルに知ることができる。
アンケートを実施したswfi は子供を育てながら働ける映像業界を目指し、業界全体の労働環境の改善に取り組むNPO。月1回のオンライン談話室や映像業界の実態を調査するアンケート、相談窓口の設置などを行なっている。
代表のSAORIさんは自身も映画やドラマの撮影現場で小道具担当として映像業界で働いている。子育てをしながら仕事を続ける難しさに直面したことが団体を立ち上げるきっかけになったという。
「今回のようなアンケート調査は業界で働く人へはもちろん、映像業界以外の外の世界にも現状を伝えていくことを目的に行なっています。外の目が入ることによって、一気に変わるのは難しくても少しずつ変わる部分もあるのではないかと。最近、映像業界で告発が続いています。そのなかでセンセーショナルな性被害が注目されやすい傾向にあることはたしかです。しかし、それ以外のことも発信していくことで映像業界以外の人に知ってもらい意見が出ることで、映像業界の内側にいる人たちも自分たちの状況を客観的にとらえられようになれば、少しずつ流れも変わってくるのではないかと考えています。」
swfiの活動も4期めに入り、特にここ数カ月は新聞への記事掲載やラジオへの出演など露出も多い印象だが、業界内での反響をたずねると意外な答えが返ってきた。
「じつは、業界内で反応してくれる人はそれほどたくさんいるわけではないのが実情です。個別でひっそり応援してくれる人、
それにはスタッフの多くがフリーランスであることや、縦割り的な関係のなかで仕事が進むという映像業界の構造が関連しているという。しかし、身近なことからでもできることはあるはずだと続ける。
「業界全体をいきなり大きく変えようとするのはなかなか難しいです
また、SAORIさん自身もswfiの活動以外に、普段からアシスタントに事前にNG日を確認してから仕事を依頼するといったように、自分にできることから働きやすい環境づくりを意識しているという。
最後に、これまでを振り返りながら今後の展望を力強く語った。「以前はそもそも問題点について意見交換するという機会自体がほぼなかった
▼swfiの活動内容
- オンライン談話室
- 月に1度実施。映像業界の労働環境に興味のある人であれば誰でも参加することが可能。
- アンケートでの実態調査
- 心得カードの配布
- フリーランスで映像の仕事を受ける際に気をつけておくべきポイントをまとめたカードを無料配布している。
- 相談窓口の設置
- 労働環境に関する悩みや、相談がある人の相談窓口。気軽に悩みをシェアする機会を提供するだけでなく、必要な人には専門機関の紹介を行なっている。
- 業務委託契約書 ひな形の公開
- フリーランスとして働くスタッフが多い映像業界。誰でも使える契約書の雛形を公開している。
直近では1月20日に映像業界向けにインボイス説明会を企画している。
▼イベント詳細
https://swfi-jp.org/posts/news/invoice-seminar/
◉swfi 公式HP
https://swfi-jp.org/