REPORT◎吉田泰行(アルマダス)

協力◎日本サムスン株式会社/ITGマーケティング株式会社

キヤノンEOS R5 Cは8K 60fpsでRAW撮影が可能な非常にコンパクトなカメラである。筆者は撮影機材を6年ほど前からREDで統一していたが、ジンバル撮影となるとDJI Ronin 2など大型機材が必要となり機動性に大きな弱点を抱えていた。EOS R5 Cの登場により、DJI RS3 Proなど小型高性能なジンバルを組み合わせることで画質を妥協することがなく、機動的な撮影が可能となり、今では現場で非常に重宝する機材となっている。

8K RAWでの撮影や編集となると、検討すべきことが非常に多い。機材に合ったレンズの選定や、編集機器の選定、そして何よりも収録メディアやバックアップ用メディアの選択がとても重要になる。

REDのDSMC2シリーズのカメラの場合、収録には専用の純正SSDが必要となり960GBの容量で50万円前後の価格になっていた。8Kでの撮影では1TBあたり50分前後しか撮影できないため、安定して業務を行うにはメディアを数本用意しなければならず、車が買えるほどの費用が必要であった。


▲RED用の記録メディアは1本50万円ほどとかなり高価で、初期型のモデルでは収録データが消えるなどトラブルも続出していた。

一方EOS R5 Cでは汎用性が高いCFexpress 2.0カード Type Bを使用しており、メディア関係のコストは大幅に下がった。しかしコストは下がったとは言え、それはREDのような専用SSDと比べての話で、8K RAW撮影を行うためには収録メディアに相応の投資が必要である。

現在キヤノンでは、サンディスク、ソニー、ProGrade Digital、Lexarの4社の CFexpressカードで動作確認を行なっているが、たとえばProGrade Digitalの512GBのCFexpressカードは1枚あたり8万円ほどもする。EOS R5 Cでは512GBの容量では8K 60fpsで24分しか収録ができない。値段が下がったとはいえ1日がかりの撮影現場では、512GBのカードは3、4枚必要になり、とすると数十万円のコストが掛かってしまう。ライブ撮影など長時間収録の現場ではできる限りカード交換の頻度を抑え、信頼できるメディアで収録を行いたいところである。

そこで今回はZITAY CFexpress to SSD Converter Adapter CS-305(以下「ZITAYコンバーターCS-305」)とPCIe 4.0対応NVMe SSD Samsung 980 PRO 2TB(以下「Samsung 980 PRO」を使用して、収録時間や機材の取り回しにどう変化が生まれたのか検証を行なった。

▲ZITAY CFexpress to SSD Converter Adapter CS-305

現状のワークフロー

現在、EOS R5 Cの運用形態として、キヤノン認定のProGrade DigitalなどのCFexpress 2.0カードで収録を行い、現場ではSATAの4TB SSDをUSB 3.0接続のケースに入れてバックアップを取り、オフィスに戻ってからはG-Speed Shuttle XLにオフロードして編集を行なっている。USB 3.0接続のSSDは若干スピードが遅いものの、ポータブルハードディスクに比べて4〜5倍程度の速度で転送可能であり、現場の大容量バックアップとしては充分実用的なスピードを持っている。

検証機材でのワークフロー

今回使用したZITAYコンバーターCS-305には内部にSamsung 980 PROを取り付けており、CFexpressカードスロット経由でSamsungのSamsung 980 PRO 2TBに収録ができるようになっている。


▲コンバーターの内部にはSamsung 980 PRO 2TBを装着した。

NVMe接続のSSDは古くからあるSATA接続のSSDに比べ圧倒的に速く、最大書き込み速度は5100MB/sと、REDで使用していたSSDと比べても10倍以上という圧倒的スピードを誇る。今回、このコンバーターを利用して、テストデータ収録後、TB3接続でG-Shuttle XLにデータを転送した。

ZITAYコンバーターCS-305をEOS R5 Cに装着


▲EOS R5 Cで8K 60fps収録するにはVマウントバッテリーからの給電が必要なためTILTAのバッテリープレートと接続して検証を行なった。


▲コンバーターはリグに固定したが絞りのダイヤルを塞ぐ形となった。細長い形状のためリグへの取り付けも工夫が必要だ。

連続書き込みについて

 では、この組み合わせで実際に記録できるだろうか? さっそく試してみた。ちなみに EOS R5での検証についてはこちらのレポートを参照していただきたい。より動画性能を強化したEOS R5 CはR5に比べ放熱対策がしっかりとされており、真夏でも連続した収録が可能である。今回検証として8K 60fps RAWで連続した撮影が可能か検証を行なった。

(編集部注:EOS R5の8K RAWは最大30fpsまででビットレートは約2600Mbps、EOS R5 Cの8K RAWはLT 60fpsで2570Mbps。ファイル形式は異なるがビットレートに大きな違いはない)

Samsung 980 PRO 2TBを使用すると最大8K 60fpsで103分の収録が可能だ。EOS R5 CをVマウントバッテリーと接続して103分の連続収録を行なったが特段問題なく連続収録が行えた。

室温が15度前後の室内で検証を行なったため、放熱性などの検証はできなかったがCFexpress2.0カードでの収録でも真夏の現場でも連続撮影が可能であったため、運用上連続収録を行なったとしても特に問題は生じないと考えられる。


▲2TBのSamsung 980 PROでは103分の長時間収録が可能だ。

ただ、現在のところコンバーターを使用するとメディアの蓋が開きっぱなしになったり、リグに固定したりする必要があったりと若干取り回しに苦労する点があるが、3Dプリンター等でしっかりとした蓋ができれば取り回しの面でも非常に良くなると思われる。



▲EOS R5 Cはメディアの蓋が閉まっていないと電源が入らないためコンバーターに付属されている赤い栓を取り付けて電源を入れるようにする必要がある。一円玉と比べてもかなり小さいので紛失には注意が必要である。

転送スピードを確認する

今回ZITAYコンバーター CS-305をProGrade Thunderbolt 3専用 シングルスロットカードリーダー PG04と接続してスピード計測を行なったところ、読み書きともに概ね1400〜1500MB/sのスピードが安定して出ていた。

▲ProGrade Thunderbolt 3専用 シングルスロットカードリーダー PG04

比較のために編集部から同じ2TBの容量を持つSunEastのCFexpress Type Bをお借りして、 現在弊社が使用しているいくつかのカードリーダーと接続して計測したところ、書き込みの速度は400-500MB/sと遅く、読み出しの速度は400-1400MB/sと大きく変動して、バラツキがあった。理由はわからないが、カードリーダーの種類によっても変動するようだ。

ちなみにSunEastのCFexpressカードはキヤノンの動作保証リストにはないが、8K 60fps RAWをカードフルまで記録することができた。

コストパフォーマンス

現在認証が取れているCFexpressカードの中で最大容量を有し、かつ安定的に撮影が可能なカードはProGrade Digitalの650GB(実売価格11万前後)である。ただ、このカード容量だと約30分前後しか撮影できないため、EOS R5 C自体は長時間収録が可能でもメディアを頻繁に交換しないといけない。余裕を見ると長時間撮影の場合メディアは4枚以上(合計44万前後)を揃える必要があるだろう。

一方ZITAY コンバーターCS-305とSamsung 980 PRO 2TBの組み合わせは実売価格で6万円前後とコストパフォーマンスは圧倒的である。またひとつのメディアで2時間近くの長時間収録が可能ということは、メディア交換等の手間を省けるため、ライブ撮影のような現場では非常に頼もしい。

まとめ

現在4K撮影が当たり前のようになり、8Kに対応したカメラも続々と発表されている。RAW撮影もどんどんハードルが下がり、カレーグレーディングの親和性が高く、圧縮コーデックに比べ処理スピードが速いRAW映像は今後も需要が高まっていくと考えられる。そうした環境にあって大容量の信頼のおける収録メディアのニーズはますます高まっている。

Samsung製SSDは弊社でも5年以上使用しているが、一度も現場で不具合を起こしたことがなく非常に高い耐久性と信頼性を持っている。今回のような大容量の8K収録を低コストで達成可能なSamsung SSDとコンバーターの組み合わせは、今後のRAW収録を行う上でのひとつの検討要素となるであろう。

Samsung 980 PRO 2TB
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ZITAY CFexpress to SSD Converter Adapter CS-305
https://www.zitay.com/Search-cs-305/list-r1.html