ソニーはInter BEE2014の初日に国際会議場において特別ブースを用意し、放送機器市場の動向とソニーの取り組みについてプレス発表するとともに、12K×2Kのパノラマ高解像度映像のデモなどを行なった。
まずは4K市場拡大に向けて、ソニーの取り組みとしては、
1.4K制作機器のラインナップ拡充
2.IP技術を用いたネットワーク・メディア・インターフェイス開発
3.4Kコンテンツを見せる場の拡大
を揚げた。


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新製品としては、ここ1年でカメラを中心にXAVC機器を次々に投入している。MPEG2ベースからH.264ベース系へ転換するとともに、XAVCは4Kも包括するファイルフォーマット。テープやメディアからファイルベースに完全に移行するとともに4Kにも対応するというのが狙い。NAB以降も、PXW-FS7、PXW-X70、PXW-X200を発表、順次発売するなど精力的にXAVCフォーマットの新製品を投入している。実際のブースにおいても、それらの新製品カメラの操作性や画質を確認するユーザーが多かった。
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PMW-F55はボックス型のカメラだったが、ショルダーでENG的に使いたいという市場の声に応えて、ENGスタイルビルドアップキットを用意。操作系もENGカメラに近くなるボタン配置のショルダーアダプターなどにより、F55をENGカメラライクに使うことができる。
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技術展示では、業務用の4KメモリープレーヤーPMW-PZ1。SxSスロットを用意し、USB3.0経由でHDDへのバックアップや、HDD内の素材の再生も可能。本体の液晶画面を見ながら、本体で操作するだけでなく、USB接続のマウスでの操作も可能になるという。現状では、XAVC S規格のファイルの再生は想定しておらず、業務用専用という位置づけ。
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FS7関連のワークフローでは、ソニークリエイティブソフトウェアのCatalyst Browseをデモ展示。ソニーカメラのRAW/XAVCを含む各種収録素材のプレビュー、メタデータチェックをするソフトウェアで、ファイルコピーやファイル変換が可能。LUTを適用して簡易グレーディングによるルックの確認が可能というもの。ユーザー登録することで無償でダウンロードすることができるが、機能を大幅にプラスした有償版もリリースされている。
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Inter BEEのタイミングで正式に発表されたが30型の4K対応有機ELのマスモニ、BVM-X300。これまでの液晶に比べて色域が格段に広がり、マルチカラースペースに対応できるのが特徴。さらに国際展示場のスイートルームでは、4K高解像度に加えて有機ELのハイダイナミックレンジを活用したHDR制作の提案が行なわれていた。これまでのビデオ映像では、高輝度の色の光などがすべて白に飛んでしまうのは仕方がないこととされてきたが、大判センサーカメラのより階調の広いLogガンマ(RAW)で撮影し、後処理をすることで、高輝度の白ピークと色再現を両立させることができる。実際にリオのカーニバルなど、Log(RAW)で4K/60p(10ビット)で撮影してこのBVM-X300の表現域に合わせてカラーグレーディングしたHDR映像を見せていたが、これまでに味わったことのない映像体験だった。
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同じく国際展示場では、3台の4Kプロジェクターをつなぎ目の見えないようにブレンディングした12K×2Kのパノラマ映像でサッカー中継やライブなどのデモした。撮影はF65の8Kセンサーの素材を利用する。F65は8Kの単板センサーを搭載し、4Kの本来の解像度を実現する。F65の発売以降、8K RAWの収録は可能になっていた。その8K RAWの素材を超解像現像処理により、8K×4Kの映像を作り出し、そこから自由な解像度、アスペクトで映像をカットアウトする。12K×2K映像は、3分割して見せるだけでなく、1枚の映像(1つのカメラの映像)としても見せていたが、その映像は8Kを12Kにブローアップして上下カットしてトリミングしたもの。したがって、そのシーンはやや甘さが感じられたが、今後、さらに高解像度センサーが開発され超解像処理技術が向上すれば、ほとんどスタジアムやライブ会場で見ているような映像がスクリーンで再現されるかもしれない。
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