LUMIX BGH1とMFT大口径ズームLEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm / F1.7 ASPH.を現場で使ってみた


レポート● 角 洋介

パナソニックからLUMIX BGH1というミラーレス機が登場しました。Z CAMやRED KOMODOな ど、最近流行りの(?)サイコロ型のカメラです。GHシリーズの最新機種で、簡単に言えばGH5Sを更に動画仕様に特化させたカメラだと認識しています。スチルを撮影することは想定されてなさそうです。今回LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm/F1.7 のMFTズームレンズと一緒にお借りすることができました。最初は簡単なテストができれば、くらいに思っていたのですが、ちょうど良いタイミングでインディーズ映画の撮影を予定していたので、そこに実戦投入することにしました。

私はEVA1とGH5を所有しているので、基本的にはその2機種との比較という目線で、かつ画質の評価ではなく主に現場での使用感のレポートとなっています。

▲手前がEVA1、奥がBGH1、右がGH5。

余談ですが、今回BGH1を使用した渡邉聡監督の『虹の彼方の物語(仮題)』では、監督の強い意向により「可能な限り多様で膨大な量のカットを収める」ことを目的に、メインカメラをEVA1とし、サブカメラとしてEVA1、GH5、GH5S、BGH1、Z CAM E2 M4、α7lll、EOS R5、GoPro Hero6、iPhone12 Proなど、友人知人に頼って、ありったけのカメラを集め、3か月に渡り様々なロケーションで撮影しました。特撮をふんだんに用いた、とても力が入ったSFなので非常に見応えのある作品となると思います。年内には完成予定なので、カラコレが上手くいったかどうかも含めて、ぜひご確認ください…笑

また、Z CAM E2 M4も同時期にお借りしているので、そちらについてもまた追ってまとめようと思っています。

BGH1使用時の撮影環境はすべて外光の入らない屋内でした。撮影部は日によって2人ないし3人で、2カメでしっかり抑えつつ隙を見てGoProやiPhoneなどの小型カメラを仕込んでいきました。 現場全体のスタッフが7人前後という小規模な現場でした。

そんな混沌とした撮影の中でBGH1の使用用途は

①会話シーン撮影時のBカメラとして
②Ronin RS2に搭載しジンバルワークを行う

この2つを主としてとして運用しました。

 

会話シーン撮影時のBカメラとして

今回は時間的な制約も大きく、登場人物も多かったので、対話シーンは2カメで狙っていきまし た。さすがに同じパナソニック、同じV-Log(正確にはBGH1はV-Log L)だったのでAカメラのEVA1 のカットバックとして遜色のない撮影ができました。センサーサイズの差こそあれど、内部収録 形式はEVA1と同等(4K/60p 10bit 420)まで可能で、EVA1のサブカメラとして実に有用だと感じました。GH5Sと同じくデュアルネイティブISOなのも便利です。メニューのレイアウトはLUMIX機を踏襲しているのでなんの迷いもなく使用できました。

バッテリーはパナソニックのパナソニックAG-VBR系のバッテリーが使えます。EVA1と共通のバッテリー規格です。IDXのSL-VBD96を使用しましたが、丸1日使用してもまだ半分ほど残量が残っているくらいの消費電力の少なさでした。

本体にモニターが一切ないので外部モニターが必須です。HDMIとSDI出力があり、今回は Blackmagic Video Assist 5インチをSDIで接続しました。どちらの接続にせよ、若干の遅延を感じました。

また、これはこの個体の問題かもしれませんが、ごくまれにRECを開始すると数秒モニターが停止する現象が発生しました。数秒間の停止後は問題なく動き、またプレイバックで確認すると停止中の数秒間も収録は問題なく行われていました。

 

DJI RS2に搭載しジンバルワークを行う

このサイコロ型(モジュール型というのが正しい?)のカメラの形状は、まさにジンバルやドローン搭載で活きてくるのだろうと思います。Ronin Sの後継機のRS2は耐荷重も安定性も向上し、ギリギリEVA1クラスのシネマカメラすらも搭載できるのですが、やはり片手持ちのジンバルではミラー レス機やBGH1くらいのサイズ感が扱いやすいと感じます。

モニターは、オペレート用にSDIからBlackmagic Video Assistへ、監督用にHDMIをRaven Eyeへ出力しました。 Raven eyeはHDMIのスルーがなく、出力系統がひとつしかないカメラだと実質一人しかモニタリングできない点が悩ましく感じていたので、これには地味に助けられました。

また、GH5は動画撮影時のAFは心許ないのでほぼMFでの運用をしていますが、BGH1はAF機能が大きく向上しているらしいとのこと。一緒にお借りした10-25mm f1.7もあったので、ジンバル搭載時はAFでの撮影にトライしてみました。 ジンバル使用時には演出的なフォーカスワークは特になく、基本的には移動する人物にしっかりとフォーカスを追従させる、というシチュエーションのみだったので問題なく撮影することができました。奥が明るく薄暗い廊下で人物が手前に向かって歩くのを引っ張る際には、ややAFが迷い、 外れると大きくボケてしまう、というのを繰り返したのでMFで撮影しました。 一発勝負のシーンでAFを使用するのはまだ少し躊躇うかもしれません。

 

LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm/F1.7ASPH.について

こちらのレンズは上記の映画撮影の他に、GH5に装着し新宿でスナップ的なポートレートの撮影を行いました。俳優の新川千華さんにご協力いただきました。

撮影してみて端正なレンズだと感じました。絞り開放でもしっかりと解像していてボケ感も嫌味がなく、ワイド端でも歪曲もほぼありません。人物を被写体としても硬すぎずにきめ細やかな描写をしてくれます。LVFで見た時点で、特に肌の描写が美しいと感じました。“単焦点レンズ5本分のレ ンズ”という謳い文句にも勝るのではないかと思います。いわゆる”味”のあるレンズではないですが、しっかりと美しく被写体を浮かび上がらせてくれます。 MF時にはフォーカスリングに距離の指標も出すことができ、回転角も相対角度でなく絶対角度でフォーカスを送れるので、映像用途での使用にも使い勝手の良さを感じます。

焦点距離は35mm換算で20mm-50mmです。特にジンバル使用時には望遠域を使用することは少ないので、このレンズ一本で全てカバーできそうです。実際、上記の自主映画撮影ではジンバル搭載時にはこのレンズのみしか使用していません。アプローチ次第ではこの一本で映画を撮り切ることも可能だというポテンシャルを感じました。

ただ、せっかくのマイクロフォーサーズのレンズとしては大きく重いので、気軽に持ち出すような用途だと扱いが難しいかもしれません。

▲10mm F1.7

▲21mm F1.7

▲25mm F1.7

▲25mm F1.7

 

総評

BGH1の用途としては、シネマカメラとしての運用だけでなく、マルチカメラでのライブ配信などの機能も充実しているようです。そちらについては試せてないので言及できませんが、しかしモジュール型だからこそカスタマイズ次第でどんな場でも役立つカメラとなりうるのではないかと思います。フルサイズ機全勢の時代ですが、個人的にはGHで得られる画はとても気に入っているので、この高画質とサイズ感を考えると、少人数で撮影する場面が多い私個人としてはぜひ所有しておきたいと感じるカメラでした。

特にBGH1 + 10-25mm f1.7 + DJI RS2はひとつ非常に強い組み合わせとして提案できるのではないかと思います。

 

▲BGH1撮影

▲EVA1撮影

▲BGH1撮影

▲EVA1撮影

▲BGH1撮影

▲BGH1撮影

写真協力
・STUDIO MOVES『虹の彼方の物語(仮題)』(渡邉聡監督 2021年内 完成予定)
・新川千華 (ゴエンプロ)