【NDI&PTZカメラ入門番外編】このクラス唯一のNDI対応のPTZカメラ BirdDog Eyes P200追加検証


 

9月号「ライブ配信成功マニュアル」では「NDI&PTZカメラ入門」というレポートをお届けしましたが(連動ウェビナーはこちら)、PTZカメラの中で唯一、NDI|HXではなく、NDIに対応しているモデル、BirdDog社のEyes P200について、フォローアップ記事をお届けします。

講師:泉 悠斗(聞き手:編集部 一柳)

ーー9月号特集のウェビナー、お疲れさまでした。ウェビナーの前に1か月くらいかけて、各社の30万円台で買えるPTZカメラを集めて検証したり、メーカーさんを取材したりしたんですよね。BirdDog Eyes P200(以下P20)は、期間が合わなくて、あとでもう一度借りて検証しました。実はP200のみ、このクラスで唯一、NDI|HXではなくて、NDI対応ということなので、この機器を例に改めて復習もかねて、追加レポートしたいと思います。まずは、NDIに対応したことによる実際のメリットについて、NDI|HXとどこがどう違うのかもう一度教えてください。

まずはNDIであることで遅延量が少ないこと。NDI|HXであっても、普通のライブ配信ではそれほど気になることはないのですが、たとえばSDIやHDMI接続のカメラと組み合わせて使うときにも気にならないということが挙げられます。カメラだけじゃなくてPCからの出力と切り替えるということもありますから、eスポーツなど遅延量が気になるコンテンツだと有利になりますね。

あとは画質ですね。

ーー本誌掲載のレポートでは表組にまとめていただきましたが、転送レートがかなり違いますね。NDIがProRes相当だとしたら、NDI|HXは、H.264圧縮のMP4くらいの差があります。

NDIは、NDI|HXに比べ解像度がフレキシブルに対応が可能です。例えばスマートフォンで視聴するのであれば、あまり変わらないかもしれませんが、大きい画面に映し出したときに結構変わってきます。顔の周りにジャギーが見えてしまうとか、のっぺりした絵になり、ボケたように見えるとか。従来のライブ配信ではそれほど画質にこだわるということはなかったのですが、これからは画質が重要になってくるケースも増えてきていて、目が肥えている人もいます。そういう目で見ると、NDIというのは画質はProRes並み(NDI|HXはH.264、NDI|HX2はH.265)で送れるわけですから、4Kのような高精細な映像クオリティを求める現場でも、NDIであればプロも満足な映像を発揮してくれるわけです。

そこを鑑みても、NDIのPTZカメラがこの価格帯で手に入るというのはいいんじゃないでしょうか?

ーーPTZカメラの比較として他にポイントはありますか?

モーターの音ですね。当然静かなほうがいいわけですが、このクラスだとわりとパンチルト、モーターの音が気になるものがあるんです。近くで聞くとジーと鳴っているような。P200はその音がない。価格は安いのですが、値段なりの感じはしないです。

ーーその他の違いは?

ズーム倍率ですね。比較したなかで30倍ズームというのは唯一でした。大体10倍から20倍くらいですから、30倍というのはなかなかないですね。光学ズームなのでノイズが乗りにくい。

あとどのモデルもHDMI、SDIの出力がありますから、そのあたりは差がないです。

ーーセッティングはちょっと独特ですか?

独特でもあるんですが、ネイティブのNDIということもあって、NDI|HXのカメラにはないパラメータがあります。他の機種は良くも悪くも簡単な設定のみです。

まず開くとこれが現れるのでちょっと怯むかもしれません(笑)。

ーーたしかに最初のダッシュボードがこれだと素っ気ないというか。

中身はシンプルで、無駄な機能はないんです。PTZカメラのパラメータとしては、9つまで設定できる。もっともこちらで設定するというよりは、NDI Studio Monitorとか配信アプリケーションのWirecast側からプリセットを組むことになるでしょう。

こちらがパン、チルトのスピードの設定ですね。

そして、ここがSYSTEMのパラメータで、ここに講座や誌面でも解説しましたが、マルチキャストとかユニキャストの選択が出てくるんです。NDI|HXのカメラだとこのあたりの設定がないんですよ。

ここを設定して、NDIのバンド幅、どれくらいのビットレートで送るかということを決められるんです。

たとえば、ビットレートを抑えるためにフレームレートを落としていくという選択もできるんです。

ーーこれはNDI|HXのカメラにはないんですか?

ないですね。ここでフレームレートを変えたりできるというのがNDIカメラの特徴ですね。

ーーということは、NDIでいろいろなものをつないだときに帯域幅を調整するみたいなことができるわけですね。でも、それってある程度NDIの知識がないとできないですね。ちなみにNDIの帯域を超えてしまうとどうなるんですか?

映像のフレームレートが落ちて動きがもったりしたり、画面の下半分が欠落してしまったりします。

ーー帯域をチェックしてモニターするようなものはあるんですか?

実はこれは誌面に盛り込みたったのですが、個別の帯域をチェックすることはできないのですが、有線LAN、Wi-Fiでの送受信の帯域がモニターできるTCP Monitor PlusというWindows用のTCP/IPネットワークモニターアプリがあります。

ライブ配信しながらこれをチェックするといいと思います。

これはタスクバーからミニモニターとして出しておくこともできますから、たとえばWirecastで配信しながら、これで監視しておくといいでしょう。私はライブ配信中は出しっぱなしにしています。

ーーなるほど。頭の中がすっかり「ビデオ系」で育ってきた私からすると、IP伝送系の知識はほんとにおぼつかなくて、このあたりから考え方に慣れていかないとIP伝送時代に付いていけないですね。本誌の記事も読んで復習します。ありがとうございました。

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