玄光社刊行の雑誌VIDEO SALONとCommercial Photoが共同開催した映像と写真の展示会イベント「CREATORS EDGE2023」。過去最高の動員となった同イベントの出展社企業ブースの模様を2回に分けてレポートする。ここではカメラメーカーを中心に紹介。各社新製品や発売前の実機も展示され、参加者も熱心にブースに立ち寄り、説明に耳を傾けていた。周辺機器メーカーのブースレポートはこちら

レポート●武石 修

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1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。iStockコントリビューター/DaVinci Resolve 認定エンドユーザー。https://osamu-takeishi.com/
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キヤノン:EOS R5 Cのリグシステムや新製品のレンズを展示

キヤノンブースにお目見えしたのは発売前のレンズ「RF10-20mm F4 L IS STM」(10月27日発売)。10mmスタートの超広角域なので、Vlogでも画角に余裕を持って使えそうだ。

また「EOS R5 C」はCINEMA EOSシリーズでは取り回しがしやすい小型モデル。リグにセットして展示し、オペレーションを試せるようになっていた。

EOS R5 Cは8Kが撮れる数少ないモデルということで、来場者の関心も高かったようだ。「EOS R5」と同じ約4,500万画素でのスチル撮影ができるのもポイント。

 


RF10-20mm F4 L IS STM。ボディはEOS R6 MarkII。F4通しで、大きすぎないのも良い。


リグを組んだEOS R5 C。レンズは柔らかい描写が特徴で注目されているという同社のSumire Primeを装着。


CINEMA EOSといっても、一般的なミラーレスカメラほどのサイズなのでセットが小振り。ご覧のようにワンオペも十分可能だ。

 

ソニー、来春発売のBURANOの参考展示。α7CRやα7C IIも

デジタルシネマカメラ「BURANO」の実機が展示されていた。高価なCineAltaシリーズなので、なかなかお目にかかれる機会はない。「VENICE」シリーズよりも少人数での制作に向くとのこと。

ミラーレスカメラでは10月発売の「α7CR」や「α7C II」が人気。いずれも35mmフルサイズセンサー搭載で、10bitやイントラ記録対応など動画性能も高い。

レンズでは「FE 16-35mm F2.8 GM II」が新製品となる。新型になって画質が向上しているとのこと。重量も少し軽くなった。

 


BURANOはハイエンドクラスのシネマカメラとして見ると小型の印象だ。


α7CRは6,000万画素あるので、写真も高画素で撮りたい人には向いている。

 


α7C IIは、画素数を抑えて買いやすくしたモデル。


FE 16-35mm F2.8 GM IIの姿も。大口径広角ズームの定番がリニューアルした。

 

ニコン、人気の新機種Z fや大口径中望遠レンズPlenaなど

ニコンブースでなんと言っても人気なのは、35mmフルサイズセンサーを搭載した新機種「Z f」。ニコンFM2を思わせる外観に多くの人が目を留めていた。

Z fは6Kデータからオーバーサンプリングで4K動画を作るため画質にも期待できる。10bitやLog収録にももちろん対応している。

10月発売の新レンズ「NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena」も要注目。同社でも最高レベルの描写力ということで、ぜひ動画撮影でも使ってみたい1本といえそうだ。

Z fは外観はレトロだが、中身は最新のミラーレスカメラだ。


NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena。映像を見せてもらうとぼけもキレイで人物撮影には特に合うように思った。


パンハンドルに付いているのは、リモートグリップ「MC-N10」。手元でフォーカスなどをコントロールできる。

 

パナソニックでは動画ユーザーも見逃せないスペックを搭載したG9PROIIを中心に

動画機能に力を入れた機種を多くリリースしている同社だが、ブースの目玉は10月27日発売の「LUMIX G9PROII」。マイクロフォーサーズのスチル向けフラッグシップ機となっている。

とはいえ、動画面では5.7K 60p収録、リアルタムLUT、Apple ProRes記録、外付けSSD対応などなかなか充実している。

レンズは、マイクロフォーサーズ用の「LEICA DG VARIO-ELMARIT 35-100mm / F2.8 / POWER O.I.S.」と「LEICA 100-400mm F4.0-6.3 II」が新登場した。


LUMIX G9PROII。ボディがLUMIX Sシリーズと同等になり持ちやすく感じた。


新たにライカブランドになったのが、LEICA DG VARIO-ELMARIT 35-100mm / F2.8 / POWER O.I.S.。


望遠ズームのLEICA 100-400mm F4.0-6.3 IIは、2倍のテレコンバーターに対応。遠方の動画撮影にはうってつけ。

 

ブラックマジックデザイン、Lマウントを採用したフルサイズ機BMCC 6K

大きな話題となった35mmフルサイズセンサー搭載のLマウント機「Blackmagic Design Cinema Camera 6K」が展示されていた。フルサイズならではの大きなボケ表現などが魅力の1台となっている。

iPhone用のカメラアプリ「Blackmagic Camera」(無償)を試す人も見られた。こちらはiPhoneを使ってマニュアルメインの動画撮影ができるアプリ。記録形式もシネマカメラに迫るものだ。


Blackmagic Design Cinema Camera 6K。フルサイズなのでセンサーが大きく見える。


Blackmagic Cameraは、Apple ProResなどでの記録も可能。


Blackmagic Cameraの特徴として、同社のクラウドサービスを介してDaVinci Resolveにすぐ取り込める点が挙げられる。

 

ライカ、動画にも力を入れたSL2-S/SL2を中心に展開

ライカのブースでは、7月に発売された「ライカSL2 シルバー」を見ることができた。これまでのブラックに対して、よりクラシックカメラ然としている。

スチルカメラのイメージが強いかもしれないが、10bit 4:2:2の4K収録のほか、Log記録にも対応するなど動画機能も本格的だ。

一方、「ライカSL2-S」は画素を抑えて価格も引き下げたモデルだが、アップデートでRAW動画の外部出力が可能になっている。動画制作にはこちらも注目機種だ。


SL2 シルバー。純正のマウントアダプターがあるので、このようにMシステムなどレンズも安心して使える。


高度な動画撮影ならライカSL2-Sもある。こちらはHDMIからのRAW動画出力に対応している。


スタッフによると、レンズ性能の高さもライカの魅力とのこと。

 

Insta360、小型アクションカメラInsta360 Go3や360度カメラX3

アクションカメラの新モデルとなる「Insta360 GO 3」は、カメラ部分とベース部分が分離することで、より撮影の自由度が高まったカメラとなっている。

カメラ部分は35gしかなく、とても軽量。マグネットを服の裏にいれて固定できるなど工夫があるカメラとなっている。防水なので活躍の場も多そう。

二眼式の360度カメラでは、「Insta360 X3」が比較的新しいモデル。水深10mまでの防水機能もうりになっている。スタッフによると長い棒に付けてドローンのように撮影する手法もあるそうだ。

Insta360 GO 3は、カメラ部分が外れてそのままワイヤレス撮影が可能。


Insta360 X3は小型の360度カメラで持ち運びも容易だ。


Insta360 X3の撮影例。同社はAIを駆使した編集ソフトにも力を入れている。

 

 

●CREATORS EDGE2023公式サイト

https://www.creators-edge.com/